早大競走部【最終回】4年・鈴木創士駅伝主将=静岡・浜松日体 箱根事前特集『RE:』

チーム・協会

【早稲田スポーツ新聞会】

【早稲田スポーツ新聞会】取材・編集 戸祭華子

 名門復活へ――。期待されながらシード権を逃した前回大会の悔しさを晴らすべく、腐心してきた鈴木創士駅伝主将(スポ4=静岡・浜松日体)。これまで出場した東京箱根間往復大学駅伝(箱根)では、いずれも区間5位以上で走るなど幾度となくピンチを救ってきた。この1年間の振り返りからチームの状況、最後の戦いに懸ける思いまでお話を伺った。

※この取材は12月11日に行われたものです。

今年1年を振り返って

関東インカレではハーフマラソンに出場した鈴木 【早稲田スポーツ新聞会】

――今年、花田勝彦駅伝監督(平6人卒=滋賀・彦根東)体制になって変わったことはありますか

 (駅伝監督が)花田さんになり、練習メニューなどは変わりましたが、大きなところは実際変わっていないんです。それでも、その結果として1月〜3月に比べ、夏はケガ人が少なく今年はきているので、良い影響が出ていると思います。

――トラックシーズン(前半シーズン)に点数をつけるとしたら何点ですか

 前半シーズンはあまり良くなかったので、30点くらいです。

――そのような前半シーズンで、練習で意識していたことはありますか

 結局、前半シーズンではレースもまともに出られずという状況だったので、なんとか練習だけはうまくつなぐことを意識していました。駅伝シーズンで挽回しようと考え、夏に記録を出すことより秋シーズンにシフトしました。

――4年間で一番良かったという夏合宿は振り返っていかがですか

 本当に消化率としてもほぼ100%に近く、自分の想定よりもよくできました。個人的には秋の駅伝シーズンにすごく期待の持てる夏合宿だったと感じています。

「今年のチームは芯が強い」

夏合宿にて、集団の先頭を走る鈴木(前列右) 【早稲田スポーツ新聞会】

――夏を越え、予選会(東京箱根間往復大学駅伝予選会)に向かう上で、チームの士気を高めるために主将として意識していたことはありますか

 僕は、「なめてかかるなよ」ということだけは言っていたため、浮かれている人はいなかったと思います。僕たちは予選会を通過点と捉え、箱根駅伝でどう結果を出すかを掲げています。その一方で予選会に全てをささげてくる大学もいて、そういうチームに負ける経験を3年前にしていたので、その経験値はしっかり生かして次の世代につなげていかなければいけないということを、花田さんと話していました。

――鈴木選手の個人的な調子はいかがでしたか

 夏合宿からの調子はあまり良くなかったです。やはり練習がしっかりできた分、疲労もたまっていました。それでもなんとか予選会までには自分の及第点あたりには戻してこられたと感じています。

――予選会を経て全日本(全日本大学駅伝対校選手権)へ向かうにあたり、チームとしての調整は難しかったですか

 まあ難しかったですね。ですが、僕が1年生の時は中1週間で全日本だったので、それに比べたらまだましかな。

――そのような中で、不出場となった全日本の結果はどのように捉えていますか

 個人的にはやはり(全日本に)出たい思いもあり、すごく複雑な心境でした。実際僕は現地に行ったのですが、自分が出ていたらもう少し良い結果が出たかもしれないと思う反面、僕を抜いた8人で他大学と戦えることが証明できたことは、主将の観点から見てシンプルにうれしかったです。


――全日本が終わった後、チームはどのような雰囲気ですか

 集中練習に入るということで、今年は主力の選手は記録会に出ることもせずに練習を積んできているので、一つ一つの練習を集中してできていると思います。

――全日本、箱根予選会を戦ってみて、他大学と比較して箱根で早大が勝つにはどういう強さが必要だと感じますか

 僕たちができることは、箱根に出走する10人、ベストメンバーをそろえることと、その10人が誰もミスすることなく走ることだと思っています。正直駒沢や青学に殴り合って勝てる状況ではないので、相手が落ちたところをしっかり拾えるようなレースの流れにする必要があります。一方で僕たちは1人2人ミスしたらシード権を落としてしまうところにいると思っています。もちろん上を見ないといけないところがある反面、しっかり危機感を持って、シードを落とすという同じ過ちを繰り返さないようにしないといけないと感じています。

――箱根に向け、チームとしてより強化していきたいところを教えてください

 ここからタイムが飛躍的に上がるということはないので、それぞれが自分のベストコンディションを持ってくることや、試合当日に負けないようなメンタリティーをつけることが必要だと思います。

――夏にもお聞きしましたが、今のチームは過去3年と比べていかがですか

 過去3年間のチームは、タイムを持っていてネームバリューのある選手も多かったです。今年は、27分台が3人、28分台前半が数人いるという状況ではないのですが、練習の出来を見る限り、過去3年より強いチームがつくれているのではないかと思います。外側から見た(今年の)早稲田は弱く見えるかもしれないですが、意外と内側の芯の部分は固めることができていると感じています。

――「内側の芯」とは、ここ1年お話を伺う中で鈴木選手がよくおっしゃっている意欲の部分になるのですか

 そうですね。主体性や自主性といったところ、早稲田の根本的な思想が強く根付いていると感じています。普段の練習でも、ここ3年間はレーシングシューズ、厚底のシューズなどを使っていたのですが、今年は薄底のシューズで練習をするなど、試合よりもきつい状況で行っています。それでも難なくこなせているというところは、例年よりも強いチームだと思います。

――新チームが始まってから駅伝主将として行われてきた改革の進捗、成果はいかがですか

 今年の結果が、成果になると思っています。これでシードを落としてしまうようであればそれが僕のやってきた成果ですし、2番や3番を取れたらそれも成果だと思っています。生活面は今でも言うところがあり、まだまだ僕たちは伸び代が多いチームだと思います。

いざ、最後の箱根へ

質問に答える鈴木 【早稲田スポーツ新聞会】

――集中練習の消化率と調子はいかがですか

 集中練習というかたちで今年はやっていないのですが、全日本を回避したところから少しケガをしていた部分があったので、60%くらいです。

――その中で、現在のチームの雰囲気はいかがですか

 幸いケガしている人が主力にはほぼいないので、チームとしては上出来だと思います。

――これまで出場した3回も踏まえて、鈴木選手にとって箱根はどのような大会ですか

 人生観で見ても、その人に与えられる(箱根に臨むことができるチャンス)は4回しかなくて、ありがたいことに僕は1年生から出ていますが、残すはあと1回です。オリンピックや世界大会を除いたら、確実に一番世間的に注目が集まる大会だと思っているので、良い結果で、笑顔で終わりたいと思う大会です。

――箱根ではどのような走りをしたいですか

 抽象的に言ったら「キャプテンらしい走り」、それが区間賞なのかもしれませんが、流れをつくる走りやチームとして元気がつくような走りができたらと思います。

――最後に、箱根に向けて意気込みをお願いします

 もちろん優勝したいし、優勝できたら何よりだと思います。しかし、今年1年間戦ってきたこのチームで、最後「よく頑張ったね」と言って終わることができたらと思います。

――ありがとうございました!
◆鈴木創士(すずき・そうし)

2001(平13)年3月27日生まれ。176センチ。静岡・浜松日体高出身。スポーツ科学部4年。自己記録:5000メートル13分54秒40、1万メートル28分26秒41、ハーフマラソン1時間3分07秒。箱根第98回7区5位、第97回4区3位、第96回7区2位。最後の箱根駅伝が終わったら、截拳道(ジークンドー)を習いたいという鈴木選手。俳優のブルース・リーが開発した、相手の『拳』を、気で感じて『截』(たつ、防ぐ)この武術。厚さ5センチほどもある板を拳一つで破る動画などを観賞し、日々イメージを高めています。習得したら、見聞色の覇気を身に付けたいそうです!
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著者プロフィール

「エンジの誇りよ、加速しろ。」 1897年の「早稲田大学体育部」発足から2022年で125年。スポーツを好み、運動を奨励した創設者・大隈重信が唱えた「人生125歳説」にちなみ、早稲田大学は次の125年を「早稲田スポーツ新世紀」として位置づけ、BEYOND125プロジェクトをスタートさせました。 ステークホルダーの喜び(バリュー)を最大化するため、学内外の一体感を醸成し、「早稲田スポーツ」の基盤を強化して、大学スポーツの新たなモデルを作っていきます。

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