早大スケート部・島田高志郎が銀メダル!全日本フィギュア男子シングルで初の表彰台に

チーム・協会

【早稲田スポーツ新聞会】

全日本選手権男子FS 12月25日 大阪・東和薬品RACTABドーム
【早稲田スポーツ新聞会】記事 吉本朱里 写真 及川知世

 大混戦となった全日本選手権(全日本)男子シングル。4回転ジャンプを2本投入する高難度のプログラムをまとめ、SP2位につけていた島田高志郎(人通3=岡山・就実)は、会場のボルテージが最高に高まった最終グループに登場。緊張感の中、細かいミスはあったものの4回転ジャンプや3回転アクセルを着氷してFS6位となり、見事銀メダルを獲得した。

FSで演技をする島田 【早稲田スポーツ新聞会】

 全日本前に語った目標は「出来ることをただやること」。自分の演技をすることを意識して大会に臨んでいた中で、SPではその成果を見せて2位発進となっていた。島田への注目は高まり、自身も順位を意識する部分はあったという。そんな自分の感情を受け入れ、「自分はファイターだ」と感じながら、島田は決戦のFSに臨んだ。

 引き締まった表情でポジションについた島田。プログラムは昨シーズンから継続の『チャップリン・メドレー』。柔らかな音色に合わせ、最初に挑んだのは4回転サルコウ。勢いよく踏み切ったものの着氷時に手をついてしまい、SP同様、完璧な着氷とはならなかった。2本目の4回転、トーループジャンプは成功し、1・76点の加点を得る。続く3回転アクセル+3回転トーループのコンビネーションジャンプもしっとりとした曲調に合う滑らかな着氷を見せる。プログラム序盤の高難度ジャンプを回りきり、得点を重ねた島田。その後は3回転ループを僅かに堪えながらも降りると、長い手足を存分に生かし、時折柔らかな笑顔を見せながらステップを刻んだ。

 そして演技中盤、軽快な音楽に変わると、島田もコミカルでチャーミングな振り付けを見せる。観客も手拍子を送り、会場全体がチャップリンの物語の舞台に。そんな楽しげな踊りを見せた島田だが、再度しっとりとした曲調へと変化すると、どこか儚く切なげな表情で舞う。得点が1・1倍となる3回転アクセルからの3連続ジャンプを加点が付く素晴らしい出来栄えで決めると、プログラムの見せ場の一つであるコレオシークエンスを披露。手を前に差し出すような振り付けや、伸びやかなスケーティングを見せた。会場が島田の作り出す世界観に引き込まれる中挑んだラスト2本のジャンプ。3回転フリップの予定が1回転になってしまうというミスがあったものの、島田はプログラムの流れを断ち切ることなく最後のシークエンスジャンプを着氷。ポジションが美しいスピンで演技を締めくくった。

 音楽が止まったその瞬間、感極まったような表情を見せた島田。氷に触れてから笑顔でリンク中央に向い、拍手を送る観客に丁寧に挨拶をした。ミスはあったものの、SPに引き続き全体的に安定した演技を見せた島田の得点は164・87点。総合は252・56点で暫定1位となる。キスアンドクライでは満面の笑みで喜んだ。最終順位は2位となり、実力者がひしめき合うこの全日本で見事、輝かしい銀メダルを獲得した。

【早稲田スポーツ新聞会】

 全日本直前には、目標は「自分が出来ることをただやること」と語っていた。島田の言う「ただやること」は、本人が「簡単に聞こえるがこれが結構難しい」と話すように、容易なことではないのだろう。それでもこれを見事実行し、結果を掴み取った。自分のスケートとよく向き合い、前を向いて努力を続けたその成果が、全日本という大舞台で発揮された。島田はこの結果により、2月に行われる四大陸選手権の日本代表となった。掴み取ったその切符と自信を胸に世界の大舞台へと羽ばたく島田から目が離せない。

結果
▽男子FS
島田高志郎

FS 6位 164・87点
総合 2位 252・56点

島田高志郎(人通3=岡山・就実)コメント

【早稲田スポーツ新聞会】

※囲み取材より抜粋

――2位という結果について

 すごく嬉しいのですが、まだ実感が湧かないです。本当に順位が出た瞬間は喜びが最高潮になっていたのですが、なんとなく今は自分の演技の反省点の方が、出てきているなと感じています。

――今日の演技について

 自分自身ショートと同じように、集中して臨むことができました。緊張はもちろんしていたのですが、自分が良い緊張だと実感でき、できるスタートラインには立っていたので、あとはどうなるのか自分でも楽しみにしていました。

――教え子が1位、2位となりましたが、ステファン・ランビエールコーチは喜んだと思いますか

 表彰式のときは僕と昌磨くん(宇野、トヨタ自動車)よりもステファンコーチの方が喜んでくださっていて、僕はまだ実感が湧いていないのでどれくらい嬉しいかというのは表現し難いのですが、喜びを代わりにステファンが思いっきり外に発散してくれていると思います。

――SP後、表彰台をどのくらい意識していましたか

 意識しないようにと言ってはいたのですがやはりどうしても気になってしまうもので、その自分も受け入れることにしました。やっぱり欲が出るということはアスリートにとってすごく大事なことだと思いますし、その自分をころしてしまっては本来の自分ではないなと感じたので、しっかり戦いにいくぞと、自分はファイターだと言い聞かせるというより、それを感じながら滑りました。

――ジャンプについて

 最初のサルコウを少し失敗した後も、かなり(4回転ジャンプ)2本は練習してきたものではありますし、昨日からの練習で自分のペースを守りながら、自分ができる最高の練習はできていたと思うのでそこで自信はありました。

――ステファンコーチからはどのような言葉をかけられましたか

 今日は本当に自分に自信を持って、また同じ言葉かもしれませんが、「自信を持ってミッションをこなしてこい」、「やるべきミッションはここであなたのスケートを存分に発揮することだ」という風に言われましたし、終わった後にミッション達成おめでとうと言われました。

――ジュニアグランプリファイナルでの銅メダルからなかなか結果が出ない日々が続いていましたが

 やはりこの全日本前もそうですが、自分自身結果を求めてスケートをするのがあまり似合わないなということがわかりました。なので、あまり気にしないようにしなが、本当に自分がスケートをやっている理由はスケートが好きで、少しでも「スケートって素敵だな」と思えるような演技をすることが目標だったので、それにただただ結果が付いてきた、運が良かったなという感じです。

――長身ですが、自分をどう生かしたいですか。ジャンプで苦労した部分などはありますか

 長身であるということは武器にもなりますし、逆に言えば、例えば手足が曲がっていれば目立ってしまうなど、長所と短所両方あると思うのですが、本当に長い手足を生かしたら本当に良くなるよと振り付け師の方から言われ続けてきたので、まだまだステファンコーチやチームメイトのデニスくんには遠く及ばないですけれども、自分なりのスタイルを持ってどんどん自分のスケートを突き詰めていきたいなと思います。

――グランプリイギリス杯で自己ベストをマークされましたが

 数々の試合経験が僕を成長させてくれたというか。試合に向かうまでの気持ちの持ち方だったりとか、どうやって戦いに攻撃的に行けば良いのかというところがだんだん掴めてきていたところで、グランプリイギリスでの良い演技だったので、同じように臨みました。
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著者プロフィール

「エンジの誇りよ、加速しろ。」 1897年の「早稲田大学体育部」発足から2022年で125年。スポーツを好み、運動を奨励した創設者・大隈重信が唱えた「人生125歳説」にちなみ、早稲田大学は次の125年を「早稲田スポーツ新世紀」として位置づけ、BEYOND125プロジェクトをスタートさせました。 ステークホルダーの喜び(バリュー)を最大化するため、学内外の一体感を醸成し、「早稲田スポーツ」の基盤を強化して、大学スポーツの新たなモデルを作っていきます。

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