「スタメンはじゃんけん、全員が同じプレータイム」アルバルク東京ユースの活動を紹介!アメリカに留学する選手も輩出(2)
【アルバルク東京】
アルバルク東京ユースはアルバルク東京の育成チームであり、トップアスリートの育成を目的として活動しています。特徴的な部分としては、特に「バーンアウト(燃え尽き症候群)」や「練習や試合のやり過ぎによる慢性的な傷害の発生」等を予防しながら、将来的に競技力を最大限に高めていくための心身の素養を育むことを目指しているということが挙げられます。どのような指導を実際にしているのかをユースの桝本純也コーチと中村領介コーチに聞いてみます。
桝本コーチは「どんなことを実践しているかは、我々の活動を実際に見てもらうのが一番なのですが、特徴としてまず僕たちはバスケットが好きだとか、遊んでもらうということが大事だと考えていて、そこで心掛けているのは練習中も試合中もほとんどコーチが口を出さないということです。試合中はベンチの一番端のエンドラインのところに座っています。スタメンもじゃんけんで決めていて、メンバーチェンジも選手が自分たちで決まった時間にTOに告げにいきます。これらの取り組みはコーチの権力を手放すことで選手が主体的にプレーできると考えているからです。タイムアウトも基本的には指示をしませんし、全員が同じ時間試合に出場するというシステムを構築し、実践しています。」と、その特徴的な取り組みを紹介します。
桝本 純也コーチ 【アルバルク東京】
松崎選手はユースでプレーした5年間を「僕がユースで学んだことは、自分で学んで行動するということです。選手には試合中でのプレーのすべての判断が任されています。コーチからは練習や試合中に指示されたことはないですし、全部自分たちで考えてプレーしてきました。」と。自分自身の5年間の取り組みについて話します。
ただしこういった特徴的な指導に結果を伴わせるのは凄く難しい作業です。「まだまだ結果として表れていないので、難しい部分ではあります。ただ、チームとしてどれだけプロセスに取り組むことが出来たかに重点を置いています。特に育成年代は勝敗よりもどういうプロセスを踏んで努力してきたかが大事で、勝っても内容が悪ければ満足できないですし、1点差で負けても仕方ないと思えるような努力をしたのであれば、それは次への糧になると思います。」と大事にしているポイントを強調しています。
実際に松崎選手もその部分には苦労したようで「最初はチームがうまく噛み合わなかったり、試合中にボールが貰えなかったり、うまく仲間とコミュニケーションを取れなくて悩んだりした時期はありました。なかなかチームとしてまとまることができませんでしたが、この状況を自分たちでなんとか乗り越えようと、試行錯誤を繰り返しながらやってきました。でも、自分で考えて行動してみた結果、チームにとって良い方向に行くポイントに気がつくことができました。」と話します。
Bリーグチャンピオンを獲得した試合の観戦後にルカ前HCと 【アルバルク東京】
桝本コーチは「選手たちはもっと長い時間試合に出場したいという思いが全員あるのは理解しています。しかし全員出場することの戦術的なメリットも多々あり、U18選手にはしっかりと理解して突き詰めていってほしいです。引き続き、育成年代のいろんなチームにも取り入れてもらえるように我々も継続していこうと思っています。」と、指導者として訴えかけるべきところを挙げました。
松崎選手も「自分で失敗していろんな事を経験するからこそ初めて、監督や選手が言っていることが本当の意味で分かるようになるし、物事の本質を見分けることを実感しました。アルバルクでプレーしたからこそ、ここまで考えることが出来たし、バスケット選手、そして一人の人間として成長できたと思います。」との実感を持って自信を持ってアメリカに向かいました。
ユースの指導方針を熱く語ってくれた最後は2人から松崎選手へのエールとして、桝本コーチは「本当に人間的に面白い選手で彼を嫌う選手はいないですし、最後の集合写真の笑顔などはみんな最高でした。それが人柄などを表していると思いますし、彼自身らしくこれからも進んで行って欲しいと思っています。」と話してくれました。
2022年7月アメリカへ旅立つ松崎選手(ご家族提供) 【アルバルク東京】
今回の記事ではユースの松崎選手のアメリカ留学という話から、その考え方を生んだアカデミーという組織の話を紹介させていただきました。非常に先鋭的な取り組みをしているアルバルク東京アカデミーへの注目もぜひ引き続きよろしくお願いいたします。
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