<国内男子ゴルフ>10年前も今も持ってる石川遼「今までの優勝とひと味違う」10年、12年と22年。3世代のV変遷

日本ゴルフツアー機構 (JGTO)
チーム・協会

【10年と12年と、22年。ぜんぜん違う。当然だけど©JGTOimages】

■第50回記念「三井住友VISA太平洋マスターズ」(賞金総額2億円 優勝4000万円)11月10日ー13日 太平洋クラブ御殿場コース (静岡県)/ 7262yard・par70/ 13日(大会最終日)

石川遼が、2年11ヶ月ぶりの通算18勝目を御殿場で達成した。
19歳の2010年に初制覇し、21歳の2012年に2勝目を飾り、31歳で大会最多タイの3勝目を挙げた。

3世代で制した初大会となった。

2019年に改修も完成し、10年前とはコースも、戦う選手の顔ぶれも、3年前から改造に取り組む自身のスイングも、マネジメントも、なんなら髪型もぜんぜん違う。
予選落ちした先週末にばっさり切ってすぐ勝った。

【©JGTOimages】

応援に来てくれた河本力と中島啓太は弟・航の大学のチームメイトだ。
2人とも超がつくほど将来有望で、今のツアーを背負う子たちだ。

星野陸也とのプレーオフに挑む直前に、「頑張ってください!」と、元気な声をかけてくれた河本はあり得ないほど飛ばし屋だ。

「ショットの迫力でいったら、河本選手のあとに僕を見たらスローモーションに見えちゃうくらい」と苦笑しながら「誰にも負けたくない」と、31歳なりに必死で抵抗。努力を重ねる。

1勝目の優勝スコアは2位と2打差の通算14アンダーで、2勝目が1差の15アンダーで、プレーオフによる3勝目は8アンダー。

「ティショットからの景色や、グリーンも全面改修されたわけではないので実際は1日に2打違うのに、甘く見積もってしまって罠にはまる。実際の難易度と、自分のイメージが追いついていない。6番と11番がパー4になったり、バンカーの配置が変わったりでこんなに難しいんだ、と」。

1勝目の2010年は、コースやゴルフの怖さを知り始めた時期でもあり、2年前のデビュー時よりは、刻むホールも増やし始めた頃ではあるが、それでも今より格段に、1Wへのこだわりが強かったし、18番も常に2オン狙い。

だが、10年ぶりの3勝目は「イーグルを取っての決着は現実的ではない。がむしゃらに打ったら上手くいくのじゃないかというのはなかった。丁寧にプレーすることを意識したし、いかに安定して2メートルのバーディパットを打つかというマネジメントを意識した」と、プレーオフの最初はその通りに1.5メートルにつけたが決められずに「かなりズシンときた」と言い、「結局は、泥臭くバーディ獲って終わり」と、右林のほうから左ラフに飛ばして手前4メートルを沈めた2ホール決着にも苦笑した。

【©JGTOimages】

相手の星野は、彼がジュニア期から知る5つ下の後輩で、「ツアーでも、仲が良いんですけどなかなか優勝争いはできなかった。お互いにお互いのことを他の選手よりかは分かっていて、一度争いたいと思っていたけど、いざ一対一になると良いショット打って欲しいし、ベストを出して欲しいし、でも自分も負けたくない。やりにくさがあった」と、複雑な心境も明かした。

星野とともに、プロ2戦目のプロ初勝利をかけた蟬川泰果を3打差から追った最終日は、最初に3つのバーディで追い抜いても、14番で池ポチャのダブルボギーを打ったりすぐ追いつかれて最後まで、大混戦は変わらなかった。

「これ以上ない完璧なプレーをしたと自信を持っていえる感じではなかったですけど、今までの優勝とはまたひと味違った感情がある」と、2勝目時のような感泣はなくても、ジワるものはある。

決着のバーディパットは「打った瞬間真っ白。でも、集中はできていたし。やるべきことはやった」と、ひそかな自負も。

3年をかけて地道に取り組んできたスイング改造は「もっと磨ける。まだまだデコボコ。勝てたからいい状態なんだと調子に乗って、盲目になるのではなく今年は残り3戦で固めきっていく。ゴルフに対する考えも変わっていて、勝てたことにほっとするよりもっと頑張りたい思いが強い」と、全身で喜びを表現した1勝、2勝時より先に自制が働く。

1勝、2勝時には軽く1万人以上を集めた来場者数。
3勝目は、3日目に今季最多の1万67人を数えた。
最終日は雨中で7334人。「その力は間違いなくありました」と、感謝した。

「試合中は、見に行きたいと思ってもらえるように頑張りたい、としか言わなかったですけど本当はその前に、お金を払ってでも、という言葉をつけたかった」と、V会見で明かした。
「潜在的に興味を持ってくださる方がいて、観に来たら面白いね、となると思うんですけど会場まで来てもらうことにはきっかけが必要ですね」と、主催者の英断とご厚意にも頭が下がる思いだ。

「あの選手を生で見たいな、と思ってもらえる選手が何人いるか。今は若い選手のキャラが立ってきているところだし、みんな凄く雰囲気がいいですし、向上心もハングリー精神もある。バチバチ感が見ていてきっと面白いはず。爆発的は無理でも、今の関係性を続けていけば見に行きたいと言ってくれる人が増えるはず、と確信しています」。

その契機としたい節目の記念大会で、2年と11ヶ月ぶりの復活優勝を飾ってまた自ら主役になった。
持ってる選手であることは、10年前も今も変わらない。

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