「子どもたちの楽しいを引き出す!」第1回 TeamHub × 鳩スタカップ開催

鎌倉インターナショナルFC
チーム・協会

【Kotaro Matsuo】

 昨年10月、クラブ創設当初から計画されてきた待望のホームグラウンド「みんなの鳩サブレースタジアム(鳩スタ)」が完成した。これまで鎌倉には存在しなかった人工芝フルコートのグラウンドの誕生は、チームの練習や試合の環境としてだけでなく地域に多くの価値を提供している。

 オープンから1年、鳩スタを舞台にさまざまなイベントが開催されてきたが、そのひとつが今夏に行われたTeamHub × 鳩スタカップだ。鎌倉市内の小学生が集って開催されたサッカー大会は、鎌倉インテルと鳩スタの存在価値が表現された意義あるイベントとなった。

(文・本多辰成/スポーツライター)

鎌倉市内の小学生が参加した第1回 TeamHub × 鳩スタカップ

鎌倉インテルサッカースクールチーム集合写真 【Kotaro Matsuo】

 8月22日、鎌倉インテルのホームグラウンド「鳩スタ」には鎌倉市内でサッカーをする小学4年生から6年生までが集結した。鎌倉市待望の人工芝フルコートのグラウンド、みんなの鳩サブレースタジアムを舞台としたクラブ主催の大会「TeamHub × 鳩スタカップ」に参加するためだ。

 昨年10月にグラウンドが完成して以来、神奈川県リーグを戦うトップチームの公式戦は全て鳩スタで行われている。試合には毎回多くの人たちが足を運んでいるが、鳩スタにはトップチームの試合以外にも多くの人たちが集う機会が設けられてきた。

 サッカー以外にも幼児から小学生を対象とした「バルシューレ教室(ボール運動教室)」やシニア層を対象とした「健康体操教室」などが行われており、今年8月11日には鎌倉市深沢地域の活性化を目的に「鳩スタ祭 2022 夏」も開催された。鎌倉におけるスポーツ文化の発展に向け、地域住民や利用者の声も汲みながら老若男女が集まることのできる場所となっている。

 その一環として企画されたのがTeamHub × 鳩スタカップだ。TeamHubは「ワクワクする最高のスポーツライフを提供する」をテーマにITという側面からアマチュアスポーツを応援するスマホアプリ。チームのスケジュール管理や入力したスコアの自動集計など、チームスポーツに役立つ機能が搭載されている。このTeamHubを提供する株式会社 Link Sportsとサッカーを通してチャレンジすることを伝える鎌倉インターナショナルFCが手をとりあい、独自のルールを設けた子供たち主体のカップ戦イベントを新たな挑戦をサポートする鳩スタで開催。参加費は無料で行われ、参加選手たちには鎌倉銘菓の鳩サブレーが配られた。

 大会に参加したのは鎌倉市内の4チームに鎌倉インテルのスクールチームを加えた計5チーム。夏休み後半の月曜日、U-12のサッカー少年、少女たちが鳩スタの芝生のピッチで元気にボールを蹴った。

鎌倉インテルサッカースクールが目指す「純粋にサッカーを楽しめる環境」

決勝ゴールに喜びを爆発させる鎌倉インテルサッカースクール(島沢真紘くんと小澤慈映くん) 【Kotaro Matsuo】

 初開催となったTeamHub × 鳩スタカップには、鎌倉インテルサッカースクールが実践する指導方針をさらに多くの子どもたちに体験してほしいという思いも込められていた。

 鎌倉インテルのサッカースクールでは大前提として純粋に子供たちがサッカーを楽しめる環境づくりを重視してきた。特に小学生年代においてはサッカーを始めた時期によってレベルにも差があるため、なんとなくサッカーを始めた子がサッカーの楽しさを知る前に嫌いになってしまうのはもったいない。そんな思いから、指導者が子供のアイディアを尊重し、プレーを制限したり子供たち同士で仲間のプレーを否定したりすることのないよう徹底。今ではルールを設けなくても自然とそういった環境がつくられているという。

 現在、鎌倉インテルのサッカースクールには小学生、中学生を中心に約150人が在籍。鳩スタを舞台にコーチにはトップチームの選手たちも加わり、トップチームとスクール生の交流があるのも魅力のひとつとなっている。そんななかで当初から貫かれている指導方針は確実に子供たちの上達につながっていると、創設時から指導する武田コーチは話す。

「サッカーを始めたばかりの子というのは、『なんとなく始めてみた』というフェーズの子がほとんどです。そこからサッカーが上手くなりたいという気持ちが芽生えるためには、土台として純粋に無条件でサッカーが楽しいということを実感してもらうことが必要だと思います。この年代では、そこが一番大事な要素だと今は確信しています」

 鎌倉インテルのサッカースクールでは当たり前になっている環境を、より多くの子供たちに体験してもらいたい。そのために企画されたのがTeamHub × 鳩スタカップだった。

好評だった3つの独自ルール、第2回は来年1月開催

全員が順番に試合に出てベンチにいる時もみんなで戦っている 【Kotaro Matsuo】

 鎌倉インテルのサッカースクールで実践されていることを、大会として形にするのにはどうしたらいいのか。検討された結果、TeamHub × 鳩スタカップでは以下のような3つの独自ルールが設けられることとなった。

 1. 必ず全選手に平等な出場時間を与える
 2. 試合中に指導者がベンチからプレーの指示をしてはいけない(子どもたちの判断・プレーを尊重すること)
 3. 選手同士で味方のプレーを否定する発言をしてはいけない

 いずれも鎌倉インテルのサッカースクールで実践されていることで、小中学生の年代が成長していく上で最も重要だと考える要素だ。固定メンバーで試合をしたり、子供の自由なプレーを制限したりすること。さらには、熟練度が高い選手がサッカー経験の浅い選手のプレーを否定するような言動をすることなども、できる限り排除した環境をつくる意図が3つのルールに込められた。

 TeamHub × 鳩スタカップにはその趣旨に賛同するチームが参加。3つの独自ルールで行われた大会は、参加チームの指導者や保護者らにも好評だったと武田コーチは振り返る。

「実際、大会後にアンケートのような形で出場チームに感想を聞いたんですが、本当に好評でした。大会後にも、TeamHub × 鳩スタカップを見て鎌倉インテルのスクールがすごくいい雰囲気だったということで体験に来てくれた方も数名いらっしゃいました。普段、スクールでやっていることを大会という場で提供することができて、鎌倉インテルが体現したかった大会にすることができたと実感しています」

 大成功に終わった第1回のTeamHub × 鳩スタカップ。第2回大会は「鎌倉ハム富岡商会 × 鳩スタカップ」として、来年1月5日、参加チームを12チームに増やして開催される予定だ。
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著者プロフィール

鎌倉インターナショナルFC(通称:鎌倉インテル)は、世界で最もグローバルなスポーツであるサッカーを通じて未来の日本を国際化していくため、2018年に設立された新しいサッカークラブです。現在は神奈川県社会人リーグに所属していますが、プロサッカークラブ(Jリーグ参入)、そして世界を目指して活動をしています。『CLUB WITHOUT BORDERS』をビジョンに掲げ、日本と世界を隔てる国境をはじめ、性別、年齢、分野、そして限界、あらゆる“BORDER”(境界線)をもたないサッカークラブを目指しています。

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