【北海道・札幌2030オリンピック招致特別企画】ネクストシンボルアスリート 小林誠也選手インタビュー

日本オリンピック委員会
チーム・協会

【写真:フォート・キシモト】

 北海道・札幌オリンピック・パラリンピック冬季競技大会招致サイトに掲載されているインタビューをご紹介します。(2022年7月掲載)

 北京2022冬季オリンピックにリュージュ1人乗りで出場した小林誠也選手。リュージュ種目の日本人選手としては2014年ソチ大会以来2大会ぶりのオリンピック出場を果たし、今後そり競技をけん引するエースとしてのさらなる活躍が期待される小林選手に、北京大会での経験、アスリート人生の原点として息づいている1998年長野冬季オリンピックのレガシー、また、札幌2030大会開催への期待・目標をお伺いしました。

■日本のアニメ、キャラクターを通じた国際交流

――北京2022冬季オリンピックからおよそ半年が経過しました。大会後、人生で何か変わった点などありますか?

めちゃめちゃ変わりましたね(笑)。こうしてネクストシンボルアスリートにも選んでいただきましたし、メディアからの取材もたくさんありました。そういうところでオリンピックのすごさというものを感じました。また、そうなることで周りからの見られ方も変わるのかなと思いました。今年から会社に入ったのですが、会社の人たちと関わる中でもやはりオリンピック選手となると注目のされ方も違いますので、もっと自覚を持たなくてはと思うようになりました。

――北京大会に出場して、一番印象に残っている出来事、これぞオリンピックだと感じた場面などはありましたか?

ワールドカップやほかの国際大会と比べて、ボランティアの方たちの数もそうなのですが、大会に関わっている人たちの数が目に見えて違うなと思いました。自分も選手村で中国の地元ボランティアの方たちから「日本のことが好きです」と話しかけられることが多かったですね。自分が滞在していた選手村はそり競技とアルペンスキーの選手だけだったので、多分、日本人選手が珍しかったのかもしれません。それで日本のアニメを好きな方たちがすごく話しかけてくれたのが印象に残っています。

――日本のアニメやキャラクターなどの話題を通じて交流したのですね。では、少しさかのぼって東京2020大会はテレビなどでご覧になったと思います。選手としてオリンピックに出場し、また見る側・応援する側としては自国開催のオリンピック・パラリンピックを経験したことを踏まえ、自国で開催されるオリンピック・パラリンピックの良さ、意義はどこにあると思いますか?

リュージュに関して言いますと、できる場所が限られてしまうのでリュージュを生で見るという機会がすごく少ないと思います。現在ではスパイラル(長野市ボブスレー・リュージュパーク)も冬場は氷を張っていないですし、競技を見づらい環境になってしまっています。もし札幌2030大会の開催が決まれば、そり競技は長野で行うという話もありますので、そうなれば自分の地元である長野の方たちが生で競技を見てくれるというのは、自分としても嬉しいですね。そこがやはり地元開催の強みかなと思います。今まで応援してくださって、自分のことを知ってくださっている方が実際に現地で見てくださるというのは大きいですね。

――やはり応援の力はすごいものですか?

そうですね。これまで自分が見ていたオリンピックはゴールした後の歓声や応援がすごかったわけですが、それが北京2022大会は無観客での開催で体験できなかったので、2030年にはぜひとも地元で体験してみたいですね。

■長野オリンピックがなかったら、競技を始めるきっかけもなかった

――小林選手は2001年生まれということで、1998年の長野冬季オリンピックを実際には体験していませんが、長野県で生活している中で、または競技生活の中で長野オリンピックのレガシーを感じることはありますか?

やはりスパイラルですかね。長野オリンピックのそり競技会場として作られて、自分が初めて滑ったコースでもあります。札幌2030大会が決まれば、またスパイラルを使用するという計画もあるみたいですので、自分が初めて滑ったコースでオリンピックに出られるかもしれないと思うと、スパイラルが自分にとって長野オリンピックを身近に感じる場所ですね。

――もし長野オリンピックが開催されていなかったら、小林選手もそり競技を始めていなかったかもしれないと思うと、生まれる前の出来事とはいえ、長野オリンピックはアスリートとしての小林選手の原点なのかもしれないですね。

そうですね。また、自分がそり競技を始めたきっかけというのは、長野県のSWANプロジェクトという冬季オリンピックのメダリスト発掘育成プロジェクトがありまして、その募集を見て始めました。SWANプロジェクトにしても、これは僕の勝手な想像ですが、やはり長野オリンピックが開催されたから今後ももっと冬季競技を盛り上げていこうという思いや目的もあったと思います。ですから、もし長野オリンピックが開催されていなかったらSWANプロジェクトもなかったかもしれず、僕が競技を始めるきっかけもなかったのかもしれないと思いますね。

――同じ長野県の先輩アスリートであるノルディック複合の渡部暁斗選手も、長野オリンピックのスキージャンプ団体の金メダルを会場で見たことをきっかけに競技を始めたとおっしゃっていました。渡部選手、小林選手のように地元でのオリンピック・パラリンピック開催が未来のアスリート誕生のきっかけになるといいですよね。

はい、競技を始めてくれる子供たちがたくさん増えてほしいですね。僕は今、チームリレーにすごく出たいと思っているんです。男子1人乗り、女子1人乗り、ダブルスでチームを組んで競うのですが、それにぜひとも出場したいですね。

――今、各競技で男女混合チームを組んで競う種目が増えていますから、そうした多様な種目をきっかけに、2030年へ向けて盛り上がっていく中で男子も女子も含めて競技人口が増えていくといいですね。

はい、そうなるように願っていますし、そり競技を始めてくれる人たちが増えていくと嬉しいですね。

■リュージュは経験が重要、2030年にはメダル獲得を目標に

――では、最後に札幌2030大会開催への期待と、そこへ向けての目標などをお聞かせください。

リュージュはすごく経験が大事なスポーツで、北京大会のメダリストも金、銀メダリストは30代半ばの選手で、銅メダルも28歳の選手でした。2030年には自分も28歳です。それまでにたくさんの経験が積めると思いますし、しかも自国開催でしたら本番コースでの練習もたくさんできます。北京大会もそうだったのですが、中国の選手がすごく安定していて、たくさん練習してきたのだなという滑りをしていましたので、やはりそこが自国開催の強みでもあると思います。だから、もし札幌2030大会が開催されるのだとしたら、それまでにフィジカル面も経験も上がっていると思いますので、メダル獲得を目指して頑張っていきたいと思います。

■小林誠也(こばやし・せいや)
リュージュ男子1人乗りで2022年北京冬季オリンピックに出場。TEAM JAPANネクストシンボルアスリート。
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日本オリンピック委員会(JOC)は、「スポーツの価値を守り、創り、伝える」を長期ビジョンとして掲げ、オリンピックの理念に則り、スポーツ等を通じ世界の平和の維持と国際的友好親善、調和のとれた人間性の育成に寄与することを目的に活動しております。 JOC公式ウェブサイトでは、各種事業の活動内容をはじめ、オリンピック日本代表選手団や、世界で日本の代表として戦う選手やそのチームで構成されるTEAM JAPANに関する最新ニュースや話題をお届けします。

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