12位・13位対決。 勝敗を大きく左右するのは先制点の行方か
【vissel kobe】
佳境を迎えている明治安田生命J1リーグ(J1リーグ)。優勝争いは横浜F・マリノスと川崎フロンターレの2チームに絞られたものの、J1リーグ残留争いは10位の名古屋グランパス(勝点40)以下9チームにまだ降格の可能性が残る大混戦となっている。特に13位の湘南ベルマーレ(勝点35)から17位の清水エスパルス(勝点32)までは勝点3差の中に5チームがひしめく状況だ。
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両チームのJ1リーグでの過去の対戦成績は、5勝7分け9敗でヴィッセル神戸の黒星が先行している。今年5月のJ1リーグ第14節でもヴィッセル神戸が1対2で敗れており、相性が良いとは言えないだろう。
とはいえ、勢いではヴィッセル神戸の方が上と見る方が自然だろう。前節のサンフレッチェ広島戦に勝利し、今シーズン初の4連勝を達成している。ここ2試合は、守備で大きく貢献していたDFマテウス トゥーレルとMF飯野七聖を欠いた中で、チームが一丸となってクリーンシート(無失点試合)も達成している。前節は、GK飯倉大樹に代わって入ったGK前川黛也が好セーブ連発でゴールを死守している。
前半早々に相手選手との接触で治療を受けるも、その後も積極的な飛び出しを見せた前川黛也選手 【vissel kobe】
そんな両チームの対戦は先制点の行方が一つのカギになりそうだ。というのも、両者ともに先制点を奪った試合の勝率が高いからだ。先制点を奪った試合の勝敗を比較すると、ヴィッセル神戸は9勝3分け3敗(勝率6割)、湘南ベルマーレは7勝1分け2敗(勝率7割)。ちなみに前回の対戦では、湘南ベルマーレが40分に町野修斗のゴールで先制に成功し、最終的に勝点3を手にしている。結果論といえばそれまでだが、両チームにとって先制点が大きな意味を持っているのも事実だろう。
直近3試合で2ゴール1アシストとチームを牽引する大迫勇也選手 前節広島戦でも前線で起点になりながら、チーム2点目のアシストを決めた 【vissel kobe】
大迫勇也はケガからの復帰戦となった9月18日のJ1リーグ第30節・ガンバ大阪戦で2ゴールを挙げてチームを勝利へ導くと、その後2試合でも圧倒的な存在感を見せつけて勝利に貢献している。コンディションは上々と言って問題ないだろう。
一方の町野修斗も前節のFC東京戦で今シーズン10ゴール目を挙げるなど調子は上向きだ。J1リーグ得点ランキングでも首位のチアゴ・サンタナ(清水エスパルス)まで2ゴール差に迫る4位タイにつけている。前回のヴィッセル神戸戦で2ゴールを挙げていることを考えても、彼の活躍が今節の勝敗を大きく左右する可能性は高い。
福岡戦に続き、前節広島戦でもゴールを決めた小林祐希選手 両サイドに顔を出しリズムを作りながら、ゴール前のスペースまで飛び込むなど前線で幅広い動きを見せている 【vissel kobe】
小林祐希はJ1リーグ第30節のアビスパ福岡戦に続き、前節のサンフレッチェ広島戦でもゴールを挙げている。パスをさばいて攻撃をクリエイトしながら、チャンスの場面ではゴール前に顔を出す。サンフレッチェ広島戦後のコメントを見ても、得点への意識が高まっていることが予想される。
「(自身を)FWとして使っているということは、点を取ってこいという意味だと思う。何かすごい制限があるわけではないですし、前での働きは求められていると思うので、常にゴール前へ入っていく意識は持っています」
大迫勇也に相手DFが引き付けられ、空いたスペースに小林祐希が走り込んでゴールを奪う。ヴィッセル神戸の新しい得点パターンは今節も見どころの一つと言えそうだ。
また、古巣対決となるのが湘南ベルマーレのウェリントンだ。今シーズンは2ゴールと思うような結果は残せていないものの、強靭なフィジカルと足元の高い技術を活かしたポストプレーは抜群。前節のFC東京戦では86分間プレーし、前線で攻撃の起点を作り続けた。ウェリントンが出場するなら、DF菊池流帆やDF小林友希らとのデュエル(1対1)が先制点をめぐる一つのカギになりそうだ。
text by フリーライター白井 邦彦
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