早大フィギュア 島田がSP1位、西山が3位!女子は3人がFS進出

チーム・協会

【早稲田スポーツ新聞会】

東京選手権大会 9月30日 東京・ダイドードリンコアイスアリーナ
【早稲田スポーツ新聞会】記事 及川知世、水平櫻子、濱嶋彩加、吉本朱里 写真 吉本朱里

年末の全日本選手権の予選会に位置付けられている東京選手権が開幕した。早大フィギュア部門からは7人が出場。30日に行われたショートプログラム(SP)では、女子は実戦復帰の川畑和愛(社3=沖縄・N)をはじめとする3人がフリースケーティング(FS)に進出。男子は島田高志郎(人通3=岡山・就実)が1位、西山真瑚(人通3=東京・目黒日大)が3位につけるなど、好演技を披露した。

★川畑は復帰戦で笑顔!それぞれの魅力が光る演技を披露し3人がFSの舞台へ(女子SP)

コーチからの言葉に力強く複数回頷いてスタートポジションに向かった馬場はるあ(社3=東京・駒場学園)。披露するのは昨シーズンから継続のプログラム、『Within/Nero』。凛とした表情で滑り出し、エレメンツへ入っていく。最初のジャンプは3回転サルコウ。夏のローカル大会から冒頭の単独ジャンプで苦戦していたが、今回も力みがあったのか、回転が抜け、1回転に。ノーバリューの判定になってしまった。しかしすぐに立て直し、3回転―2回転のコンビネーションを危なげなく決めた。続く、難しいターンから入る2回転アクセルも美しく決め、ジャンプエレメンツをまとめた。昨季からルール改正のあったスピンは、夏の大会で苦戦していた部分だったが、今回の演技では、後半の2つのスピンでレベル4を獲得。ステップも大きなミス無くまとめあげ、上を見上げるポーズを取り、演技を締め括った。夏以降、ジャンプ以外のエレメンツをブラッシュアップしてきた馬場の得点は41・93点。夏の大会より得点を大幅に伸ばし、16位で翌々日のFSを決めた。

SPで演技する馬場 【早稲田スポーツ新聞会】

木南沙良(人通2=東京・日大一)は第2グループの2番滑走で登場。「苦しみの中で彷徨う所から、自分を信じて立ち上がる」というストーリーを表現する『Courage to change』の曲に合わせた演技が始まった。最初の予定要素はコンビネーションジャンプ。1本目の3回転トーループの着氷が乱れ、手をついてしまう。なんとか2本目に2回転トーループをつけ、コンビネーションにしたが回転不足の判定になってしまった。続く3回転フリップの単独ジャンプも転倒となり、得点源の前半のジャンプでミスが重なってしまう。最後のジャンプエレメンツである2回転アクセルは流れるような着氷を見せ、2つのスピンでレベル4を獲得。ステップシークエンスでも、指先まで神経の行き届いた動きでプログラムのストーリーを体全体で表現した。しかし序盤のジャンプミスが響いて得点は伸びず、38・33点の21位。演技後は涙ぐむ様子も見られ、木南にとって悔しい演技となった。しかしながらFSに進出できる上位24人にはなんとかとどまることができた。FSでは、和の世界観を表現するプログラム、『SAYURI』での挽回に期待だ。

SPで演技する木南 【早稲田スポーツ新聞会】

淡い水色の衣装を身にまとった川畑が氷上に帰ってきた。久々の実戦での演技となる今大会は3回転ルッツ+2回転トーループの連続ジャンプで始まった。少し乱れ、回転不足となってしまったが、続く2回転アクセルは大きく流れるように跳び、優しく着氷。決まったジャンプは美しく、出来栄えにおける加点がついた。その後の3回転ループは着氷に乱れがあったが、スピードを落とすことなく演技を続けた。後半、『シェルブールの雨傘』の音楽に合わせたステップシークエンスでは指先まで繊細に表現し、優しく風が吹き抜けるような、柔らかく、かつスピード感のある滑りを見せた。表現力あふれる演技を、伸びやかなスケーティングに乗せ優雅に演じ切った。演技後は川畑らしい変わらぬ笑顔で画面越しの観客からの「おかえりなさい、待っていたよ」の声に応えるかのようにお辞儀を深々とし、リンクを後にした。得点は48・04点、SP9位でFS進出を決めた。昨年は全日本選手権を棄権する決断を下し、復帰への道のりも長く、簡単なものではなかった。演技後、久々の試合出場に関して、「すごく緊張していたが、全力を出し切れたので、少しほっとした」と振り返った。少し遠回りとなった全日本選手権への道へと今、駆け上がる。

SPで演技する川畑 【早稲田スポーツ新聞会】

女子SP、早大勢の中で最後に登場したのは今年主将を務める小室笑凜(スポ4=東京・開智日本橋学園)。新調したライトブルーの衣装に身を包み、落ち着いた表情でリンク中央へと向かった。プログラムは映画ムーランの代表曲、『Reflection』。今大会では、ジャンプの難易度を落として挑んだ。一つ一つの技を慎重にこなしていったが、コンビネーションジャンプを跳べなかったことに加え、回転不足などのミスが出てしまう。しかし転倒はなく、演技の流れを途切れさせずに滑り続けた。ジャンプ以外の要素では小室の魅力である、しなやかな体の使い方や緩急のあるスケーティングで曲を表現し、持ち味を発揮。得点はジャンプのミスが響き、33・12点。SPを32位で終え、上位24人が進出するFSに進むことはできなかった。それでも美しく氷上を舞った小室は、得点が伸びる余地を残す。大学ラストシーズン、まだまだここでは終われない。

SPで演技する小室 【早稲田スポーツ新聞会】

★島田1位、西山3位!充実した表情を浮かべる(男子SP)

シニア男子SPでは早大勢3人が前半グループに集まった。その一番手として登場したのは、廣田聖幸(スポ2=千葉・東邦大東邦)。昨シーズンから継続で、今シーズンに入ってからも滑り込んできたプログラム、『Overtake』に合わせて演技を始めた。疾走感のある音楽に乗って、まず挑んだのは3回転フリップ。直前練習では決めていたジャンプだったが、回転が足りず、転倒してしまう。ミスを引きずらずに、続く3回転+2回転のコンビネーションジャンプは着氷。中盤のスピン、ステップへと繋げる。スピン、ステップでは少しの減点やレベルの取りこぼしはあったものの、体を大きく使い、躍動感のある動きで堂々とした滑りを見せ、後半に行くにつれて盛り上がっていく曲を表現。疲れが出る演技終盤に跳んだ2回転アクセルはわずかに着氷が乱れるも堪え、プログラムを演じ切った。得点は41・69点。8月末の東京夏季大会で好演技を披露し、SPを3位で通過していたただけに、今回のジャンプのミスは悔やまれる。それでも、表現面での成長や、磨き上げてきたプログラムの成熟度は画面越しの観客にも伝わっているだろう。何度も「ブロック大会(東京選手権)に向けて」という言葉を口にしてきた廣田。2日に行われるFSに挑んでいく。

SPで演技する廣田 【早稲田スポーツ新聞会】

​​第1グループ、廣田に続いて5番滑走で登場した島田。直前までコーチと入念にジャンプの確認を行い、落ち着いて最初のポジションについた。曲は『Sing Sing Sing』。演技が始まると、冒頭の4回転サルコウを成功させて幸先の良いスタートを切る。続く2本目の4回転からのコンビネーションジャンプ、3本目の3回転アクセルはわずかな回転不足を取られてしまったものの見事着氷。高難度の演技構成に挑みながらも大きく崩れることなく、まずはジャンプ3本をしっかり揃えた。演技後半では、テンポの良い曲に合わせたステップと豊かな表情で画面の向こう側のファンを魅了する。丁寧に滑りながらも勢いの良いスケーティングで、見ている人を楽しませる演技を披露した。終始圧倒的な存在感を示した島田の得点は89・90点。90点まであと少しという高得点を叩き出した。国内トップレベルの選手が集まる今大会で、SPを堂々の1位で終え、演技後には「今後も新たな挑戦、安定性を求めていきたい」と話した。2日に行われるFS。どのような挑戦が見られるのか、期待せずにはいられない。

SPで演技する島田 【早稲田スポーツ新聞会】

スタイリッシュな黒の衣装をまといスタート位置についた西山。滑り出した途端に目を奪われるその滑らかなスケーティングで演技をスタートすると、西山の世界へと見ている人を一気に引き込む。冒頭の3回転フリップ+3回転トーループの連続ジャンプを流れるように着氷。続く3回転ループも大きく加点がつく出来栄えで決め、後半の2回転アクセルも軽やかに着氷した。また、西山の武器である滑らかなスケーティングと表現力溢れる濃密な演技で、西山らしさを魅せた。中でもステップシークエンスの完成度が高く、最高評価のレベル4を獲得。自らも一部手がけている振り付けで、美しく多彩なスケーティングを披露し、スピードを活かした幅と流れのあるジャンプを3つ全て成功させるなど、ノーミスの素晴らしい滑りを見せた。点数は、前回SPを披露した東京夏季大会から点数を20点近くあげ、本人も驚きの74・36点。演技後のインタビューで、今季限りでシングルの舞台を退くことを明らかにした西山だが、「残り少ないシングルを思いっきり楽しんで滑りたい」と胸弾むシングルラストシーズンの幕開けを感じさせた。

SPで演技する西山 【早稲田スポーツ新聞会】

ブロック大会の開催により、盛り上がりを見せるフィギュアスケート界。選手たちにとっても、この東京選手権は特別な意味を持つ大会だ。演技後に充実した笑顔を浮かべた選手も、課題が残る結果となった選手も、おのおのが磨き上げてきたスケートを見せた。力強く、気持ちのこもった演技は、無観客試合であったとはいえ、見ている人を引き込むものであった。2日に行われるFSではどのような演技を披露するのか、期待が高まる。

結果

▽女子SP

川畑和愛
SP 9位 48・04点

馬場はるあ
SP 16位 41・93点

木南沙良
SP 21位 38・33点

小室笑凜
SP 32位 33・12点

▽男子SP

島田高志郎
SP 1位 89・90点

西山真瑚
SP 3位 74・36点

廣田聖幸
SP 19位 41・69点

コメント

▽女子SP

川畑和愛(社3=沖縄・N)

――久々の試合出場でしたが、試合感などはいかがでしたか

 試合中はとにかくできることをやらなければと集中していました。終わった後にどっと疲れが出てきて、すごく緊張していたんだなと実感しました。

――SPの演技を振り返っていかがですか

 予定していた構成をノーミスとはいきませんでしたが、自分の中では全力を出し切れたので終わったあとは少しほっとしました。

――FSに向けて意気込みをお願いします

 最後まで集中力を切らさず滑り切りたいです。


▽男子SP

島田高志郎(人通3=岡山・就実)

※zoom囲み取材より抜粋

――SPを終えて、いかがですか

 やっと4回転を試合で成功させることができたのですごく嬉しい気持ちと同時に、これを当たり前にしなければならないなと思いました。なので、今後も新たな挑戦、安定性を求めていきたいと感じています。

――手応えは

 演技自体はジャンプの出来栄えも今日の朝の練習よりも全然良いものが飛べていたので、6分間練習で良い感覚を掴めて、その感覚を試合に持っていけたというのは少しずつ成長できているのではないかと感じています。

――ジャンプを難しくしていると思うのですが、前々から考えていたのですか

 体の状態を見て悩んでいたりしましたが、CSではFSで守りに入ってしまったというか、リスクを負う覚悟が足りていなくて、その練習の一環として、自分にとっての最高難易度でSPに挑戦し、リスクを負う練習をしました。失敗を受け入れる覚悟というものが自分にとって必要だと思ったのでどんどん挑戦していこうと思いました。

――FSに向けてどのように挑んでいきたいですか

 万全の準備をして、今できる自分の最高の演技をどの試合でも出していけたらなと思っているので自分のやるべきことをただやるだけだと思います。

――今年の目標を教えてください

 SPもFSも完璧を目標にしているのですが、僕の性格上完璧を求めすぎると強張ってしまうので、自分のスケートの持ち味は自分がスケートを楽しむことなので、スケートの良さというのを体や感情で表現できたら良いなと思っています。なので、そこを根本的に忘れずに楽しみながらスケートをしたいと思います。

――特にどんなところが自分のジャンプでよくなったと思いますか

 体のラインの作り方だったり、あとは気持ちの問題なので、試合での望み方だったり自分の技術への信頼だったり、練習で得ていく作業などがジャンプに繋がったと思います。まだまだ改善点もたくさんありますがそこをみつめてもっともっと頑張っていきたいなと思います。

――今日のSPで成長を発揮できていたのはどこですか

 まず挑戦できたことにすごく喜びを感じていますし、挑戦したところでしっかりと自分のやるべきことができたのでいつもと少し違ったと思います。なので、そこは成長したと言っても良いかなと思います。

西山真瑚(人通3=東京・目黒日大)

※zoom囲み取材より抜粋

――素晴らしい演技でした。ご自身で振り返ってみていかがですか

 自分もすごく嬉しくて、練習してきたことが積み重なって、今回実になったのですごく嬉しいです。

――久々のブロック大会に出場となりましたが、いかがですか

 今年シングルの大会に出るのが2年半ぶりでドキドキだったのですが自分がシングルをするのも残り少なくなってきたので、思いっきり楽しんで滑りたいなと思いました。

――70点越えの点数についてどう思われましたか

 正直自分はこんなに点数を出していただけると思っていなかったので、点数を見た時に、10点違うのではないかと思ったのですが、それだけ評価をしていただけたということなので、素直に受け止めたいと思います。

――FSに向けていかがですか

 FSも今までやってきた練習どおりのことを実際に本番で滑れたらいいなという気持ちで挑みたいと思います。

――アイスダンスとシングルを両立されていましたが、相互に影響を及ぼしあう要素はありますか

 アイスダンスをしていたからこそエッジワークに意識を向けられるようになったと思います。シングルの時はステップシークエンスに力を入れていなかったのですが、アイスダンスを始めてからは無意識にエッジワークを意識することが出来るようになりました。また、アイスダンスはリフトなどが必要なのでそれに向けたトレーニングにより体が安定し、結果的にジャンプの安定に繋がったと思います。
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著者プロフィール

「エンジの誇りよ、加速しろ。」 1897年の「早稲田大学体育部」発足から2022年で125年。スポーツを好み、運動を奨励した創設者・大隈重信が唱えた「人生125歳説」にちなみ、早稲田大学は次の125年を「早稲田スポーツ新世紀」として位置づけ、BEYOND125プロジェクトをスタートさせました。 ステークホルダーの喜び(バリュー)を最大化するため、学内外の一体感を醸成し、「早稲田スポーツ」の基盤を強化して、大学スポーツの新たなモデルを作っていきます。

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