13位と14位のJ1リーグ残留争い直接対決
【vissel kobe】
とはいえ、12位の清水エスパルスから17位のガンバ大阪までの勝点差はわずか「3」。1節毎に順位変動の可能性を秘めた大混戦は続いている。その中で、13位のヴィッセル神戸と14位のアビスパ福岡が激突する今節は、J1リーグ残留争いの行方を占う注目カードと言えるだろう。
ヴィッセル神戸はホームで3位の広島、残留争いの湘南、1位の横浜FMとの対戦を残している(9月30日現在) 【vissel kobe】
だが、残りの対戦カードを比較すると、必ずしもヴィッセル神戸の優勢とは言い切れない。ヴィッセル神戸は今回のアビスパ福岡戦の後、3位のサンフレッチェ広島戦、J1リーグ残留を争う湘南ベルマーレ戦、そして優勝争いを繰り広げている2位の川崎フロンターレ戦と1位の横浜F・マリノス戦を控えている。全ての相手が非常に高いモチベーションを持って挑んで来ることになる。
一方のアビスパ福岡は、ヴィッセル神戸戦の後にもJ1リーグ残留を争う北海道コンサドーレ札幌との直接対決を控えている。ただ、その後は優勝や残留に絡むような位置にいない柏レイソルと浦和レッズとの対戦になる。もちろん、この2チームが手を抜くわけではないが、モチベーションはアビスパ福岡の方が高いと予想される。
つまり、ヴィッセル神戸にとっても、アビスパ福岡にとっても、今節は非常に重要な意味を持つ戦いということだ。
2週間のインターバルでは公開練習など含め良い雰囲気でトレーニングが行われた 【vissel kobe】
9月の公式戦は、ヴィッセル神戸が2勝1分け2敗(天皇杯準々決勝の鹿島アントラーズ戦を含む)、アビスパ福岡は1勝1分け4敗(天皇杯準々決勝のヴァンフォーレ甲府戦、ルヴァンカップ準決勝2試合を含む)。白星の数に加え、2連勝中を考慮するとヴィッセル神戸の方が勢いはありそうだ。
それらのデータとは別に、ポイントの一つになりそうなのが代表ウィークの過ごし方だ。ヴィッセル神戸は9月18日のガンバ大阪戦から約2週間のインターバル期間に入った。連戦の疲れを癒しつつ、アビスパ福岡戦へ向けた対策を充分に練る時間があった。
一方のアビスパ福岡は9月17日の清水エスパルス戦の後、21日と25日にルヴァンカップ準決勝を戦っている。選手のコンディション面や今節に向けた戦略という点ではあまり時間がなかったかもしれないが、試合感覚は研ぎ澄まされた状態にあると思われる。この違いがどう影響するか、興味深いところだ。
トレーニングでチームメイトに指示を出す大迫勇也 【vissel kobe】
また、前節のガンバ大阪戦で2ゴールを挙げた大迫勇也がどれくらい出場できるかも気になるところ。前節は後半から出場して45分間プレー。代表ウィーク期間中にさらにコンディションが上がっている可能性も高い。
アビスパ福岡の注目選手を挙げるなら、前節の清水エスパルス戦で復帰したMF中村駿とチームトップの9ゴールを挙げているFW山岸祐也か。中村駿は前節に見事な直接フリーキックで同点ゴールを挙げており、山岸祐也は2ゴールでチームを勝利へ導いている。また、ルヴァンカップ準決勝の第1戦でサンフレッチェ広島から2ゴールを叩き出した長身FWフアンマ デルガドも攻撃面でのキーマンになりそうだ。
ルヴァンカップでは2戦とも惜敗。今節は雪辱を期す戦いとなる 【vissel kobe】
とはいえ、内容よりも結果が最優先される直接対決では、戦略や戦術よりも前に球際や運動量などのベーシックな部分が重要になりそうだ。
フリーライター 白井 邦彦
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