【新門司NOW】J初ゴールにまつわるエトセトラ。平山駿選手

ギラヴァンツ北九州
チーム・協会

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本人も、サポーターもどれだけ待ちわびただろう。J3第26節福島ユナイテッドFC戦で、昨季加入した2年目の平山駿選手がようやくJ初ゴールを決めた。

「素直に嬉しい気持ちもありましたが、状況的に0-2から1点返しただけだったので、さほど喜べなくて。次はゲームを決められるような得点を取ってファン・サポーターの皆さんと喜びたいです。1-2の状況でもう1点取れるチャンスもあったので、そこで決めてチームに勢いをもたらせたかったと思っています」

そう謙虚に振り返るが、彼を支えてきた人たちからは多くのお祝いメッセージが届いたようだ。

「家族LINEで弟や兄、それから父もメッセージをくれました。試合の前日が父の誕生日だったこともあり、ゴールでお祝いできたのもよかったです。それに加えて友人たちからもメッセージをもらえて、本当にいろいろな人に応援されているのだなと感じましたし、さらに頑張ろうと思えました」

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2か月前に同期からもたらされた刺激もまた、糧となっていた。

「ゼン(狩土名禅選手)が先に決めたことで、プレッシャーになっていたわけではないですが、やはり気にはなっていました。同じ攻撃のポジションで同期ですし、自分も早く決めなければならないという気持ちはあったので、やっと決められたという思いですね」

ここまで、ゴールを取るまでと取ったあとの素直な気持ちの面について聞いたが、ここで改めてプレーそのものについて問うた。あの得点シーンに、これまでの成長の跡が詰め込まれているように感じたからだ。

「ゴールシーンは中央突破の縦パスが入ってそこからサイドに流れた時、コタ(藤川虎太朗選手)からのクロスに対して、GKとDFの間に入ってもらおうと思っていました。その後相手にボールが当たってマイナスに行き、自分はそのまま中に入りましたが、大河くん(前川大河選手)のシュートの打ち損がたまたま自分に来て、そこからはGKも見えていたし後ろのカバーも少し目には入りましたが、冷静に流し込めました」

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今季を振り返ると、同じようなシュートシーンが2か月前にもあった。ホームで迎えたJ3第15節鹿児島ユナイテッドFC戦、1点ビハインドで迎えた後半44分に、浮き球のパスを胸トラップした平山選手は振り向きざまに左足で鋭くボールを捉えるも、相手GKに阻まれ自身のJ初ゴールと同点機を逸してしまった。同じく胸トラップ後にシュートを放った2つのシーン、結果が変わった要因は何だろうか。

「鹿児島戦ではシュートの時にGKを見る余裕がなかったんです。胸トラップしてとりあえずゴールに流し込もうという感じで蹴って、ちょうどGKが飛んで止めやすい位置にボールが行ってしまいました。あそこでもう少し冷静になってニアに打つ、GKの位置を見て打つ、そういうことができれば入っていたのではないかと思います」

鹿児島戦での悔しさを2か月後の結果に変えられたのは、やはり練習の積み重ねだ。

「ここ最近の練習で、相手DFやGKを見てシュートを打つということができていて、余裕をもってプレーできている感じはあります。相手がスライディングするのをちゃんと見て切り返してシュートを打ったりとか、2か月前と見えている部分が違ってきている感じはあります」

「練習でやっていることしか試合には出ないと思いますが、福島戦ではそれをしっかり出せたんじゃないかと思います。途中出場だったので、まずは動こうと思って背後を取ったり起点になるプレーをして時間を作り、良いリズムが自分の中にもできたし、その中で入って10分くらいで得点できたので、そこからまた良い流れに乗れたのかなと。
終盤に、裏に抜け出してゴール前に行ったシーンもありましたが、あそこももっと貪欲に強引にシュートに行ければよかったとは思います」

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日頃の練習における成長が、結果と効果的なプレーに表れたからこそ、さらに貪欲になれている。福島戦で今後に向けて大きなきっかけを掴めたのは間違いないだろう。

想定外に長かったJ初ゴールまでの道のりにおいて、昨年からの積み重ねと苦い経験も決して無駄ではなかった。ルーキーイヤーの昨季、終始苦しい状況だったチームと同様、個人としても先発出場は2回に終わり苦い門出のシーズンだったが、毎日の筋トレだけは欠かさなかった。みるみるうちに体は大きくなっていった。

「一人でやっていた時もありましたけど、続けられたのはやっぱり一緒にやってくれる仲間の存在が大きかったです。あとは試合に出た時に、体の強さ、フィジカルの差を去年は結構感じていて、足りないと思っていたので毎日続けようと思っていました。
カテゴリーが1つ下がったとはいえ、今季はそれほど負ける気はしないし、競り合いでも筋トレの成果かジャンプ力も上がってヘディングで勝てるようになったので、去年やっていたことが少しずつ実を結んできているのかなと思います」

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順風満帆というわけではないプロ入りの後の2シーズン。だが、苦しい時期にも向上心を絶やさず、初ゴールという大きな一歩を踏み出せたからこそ、これからの展望も開けてきた。

「プロに入る前は、試合に出て活躍し、ゴールを決めてファン・サポーターの方と喜び合いたいという思いが自分の中で一番ありました。なかなかうまくいかず、苦しいことや大変なことばかりですが、それでも自主練習をやり続けて、今年もケガで出遅れたり順調にはいってないですが、いろいろな人が支えてくれて頑張れました。今回やっとゴールを取れて、たくさんの方たちからメッセージをもらえてパワーになりましたし、これを続けていきたい。これからも個人練習、筋トレはしっかり続けて、良いパフォーマンスを出していきたいです。
応援してくれている人たちのためにも、自分はゴールで結果を残すことが恩返しになると思います。残り8試合ですが、自分が点を取ってチームを勝たせることを目標に、少しでもチームが高い順位で終えられるように頑張ります」

ようやく呪縛から解き放たれ、そのプレーにはさらに自信がみなぎってきたように感じる。
次節はホームゲーム。喜べなかった先週末の分まで、長く自身のゴールを待ってくれていた多くのファン・サポーターと共に喜びを爆発できるゴールを、次こそ!

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著者プロフィール

イタリア語で"ひまわり"という意味の「Girasole」と"前進する"という意味の「Avanzare」を組み合わせた造語。ひまわりは、ホームタウン北九州市の市花で、太陽に向かって力強く伸びていく元気を象徴する。「Girasole」は、本来「ジラソル」と発音するが、ここでは「ジラ」部分を「ギラ」と読み、太陽の輝きと躍動を想起させる強い語感に。「北九州から、日本、アジア、そして世界へと飛躍すべく、常に成長・前進を続ける光り輝くチームであり続けたい」「サポーターや地域が輝き、元気になる、その象徴でありたい」という願いが込められている。

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