サマーマイルシリーズの結末は!? 京成杯AHを分析する
【2022/7/24 小倉11R 中京記念(G3) 1着 14番 ベレヌス】
人気別成績
■表1 【人気別成績】
年齢別成績
■表2 【年齢別成績】
ハンデ別成績
■表3 【ハンデ別成績】
もっとも、出走例が決して多くはない「3歳」は牡牝ともに傾向を読み取りづらく、ひとまず言えるのは明らかに不利なハンデはなさそうということぐらい。表2の項で確認した通り、基本的に3歳は好走率が高めで、どのハンデでも一定以上の注意を払っておこう。
「4歳以上の牡馬」では55キロや56キロの出走例が多いものの、どちらも好走率は普通。もっとも重い58キロでも複勝率40.0%としっかり走っていることや、もっとも軽い53キロだった15年のフラアンジェリコが激走1着を決めたことを指摘しておきたい。
「4歳以上の牝馬」では、52キロで出走した4頭中2頭が1着だった点は注目に値する。また、牝馬としては重い部類の55キロや55.5キロにも好走例があり、牡馬同様に重いハンデでもさほど苦にせず走っているようだ。
前走斤量との比較
■表4 【前走斤量との比較】
「前走1〜2着」の場合、「今回減」だと成績が振るわない。同クラスの前走で連対を果たしながらハンデ減という有利にも思えるシチュエーションだが、結果にはつながりにくい。むしろ「増減なし」や、前走の連対をしっかり評価されて「今回増」のハンデを課された馬のほうが結果を出している。
また、「前走3着以下」だった場合でも、「今回減」に大きなアドバンテージは見られない。連対率と複勝率の数値は「今回増」がもっとも高く、次いで「増減なし」の順。ただし、前走3着以下から巻き返し1着があるのは「今回減」だけで、単勝回収率109%ということからも一発には注意が必要だ。
前走距離との比較
■表5 【前走距離との比較】
前走クラス別成績
■表6 【前走クラス別成績】
ほかに、前走オープン特別・リステッド競走組も一定の出走数があるものの、成績は合わせて【1.1.1.31】と振るわない。また、前走3勝クラス組は8頭出走して3勝と侮れない成績を残しているのだが、今年の登録馬には該当する馬がいなかった。
前走G3出走馬の各種データ
■表7 【前走G3出走馬の各種データ】
続いて前走人気を見ていくが、前走で上位人気に推されていた馬の成績が思いの外よくない。好走が多いのは前走5番人気や前走6〜9番人気で、回収率も高く、注目のゾーンといえる。しかし、前走10番人気以下は3着1回だけと苦戦。こうしてデータを確認すると、前走G3組は前走の人気、着順ともにひとケタには収まっておきたいところだ。
前走G1出走馬の各種データ
■表8 【前走G1出走馬の各種データ】
もうひとつの前走の馬体重増減別成績は、なかなか興味深い傾向を示している。注目したいのは「前走減」の7頭がすべて4着以下に終わっていること。つまり、前走のG1でマイナス馬体重を記録していた馬は、今走(京成杯AH)の馬体重にかかわらず好走できないことを意味している。馬体重を絞り込んで春のG1に出走した馬にとって、秋競馬の開幕週に組まれる京成杯AHは、思った以上に回復するための時間的な余裕がないレースなのかもしれない。
【結論】
このうち8頭が前走G3組で、今年も最大勢力となっている。表7の項で述べた通り、この組は前走の着順と人気がいずれもひとケタ台に収まっていたい。これを満たすのは前走中京記念のベレヌス、ファルコニア、ミスニューヨーク、シャーレイポピーと、前走エプソムCのダーリントンホールの5頭となっている。
サマーマイルシリーズ優勝をかけての出走となるのが、前走中京記念1着のベレヌス。表7の項で確認した通り、前走G3で1着だった馬は3頭とも凡走に終わっている(注:集計から除外した14年は、前走関屋記念1着のクラレントが1着。この年は関屋記念、京成杯AHともに新潟芝1600mで開催)。この不振データは気になるものの、過去の凡走例では新潟→中山もしくは中京→中山のコース替わりがあった。その点、今年の中京記念は小倉開催で、小倉→中山のコース替わりとなる。急坂の有無はあるが、小倉、中山ともに右回りで最後の直線が短いことも共通しており、通常のカレンダーの年より対応しやすい可能性はある。
もちろん、複勝率42.9%の前走3着に該当するファルコニアとダーリントンホール、複勝率40.0%の前走2番人気に該当するミスニューヨークもチャンスは十分。また、表3の項で4戦2勝と述べた「4歳以上牝馬でハンデ52キロ」のシャーレイポピーにも注目しておきたい。
前走G1組はクリノプレミアムのみ。表8の項で述べた通り、前走ヴィクトリアマイルの16着という着順は気にしなくていいだろう。チェックしたいのは、表8で確認したもうひとつのデータである前走馬体重増減。同馬のヴィクトリアマイル時はどうだったかといえば増減なしで、前走G1組の好走条件はクリアしている。
あとは前走オープン特別・リステッド競走組が6頭いるが、この組は京成杯AHとの相性がもうひとつ。それでも馬名を挙げるとすれば、表2の項で好走率が高いことを確認した3歳馬コムストックロードと、表4の項で好成績と述べた「前走1〜2着→今走斤量増減なし」に該当するダディーズビビッドの2頭としたい。
文:出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。
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