【新門司NOW】積み重ねを自信に 長谷川 光基選手

ギラヴァンツ北九州
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8月28日に行われた第22節AC長野パルセイロ戦。先発メンバーに、ルーキー・長谷川光基選手がようやく名を連ねた。第20節Y.S.C.C.横浜戦で途中出場を果たし、プロデビューを果たして以来の出場機会となった。

「先発を告げられて一番に出てきた感情は素直に嬉しい、楽しみという前向きな、ポジティブなモノでした」

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左サイドバックで出場を続けていた乾 貴哉選手が試合直前でアクシデントに見舞われ、急遽本人も予想していなかった形でリーグ戦初先発を飾ることとなった。ポジティブな感情を抱きながら、いざ試合になると慣れない左サイドバックでのプレーに戸惑いもあった。

「急遽だったこともあり、試合に入ってからも少しパニクるというか頭がパンクしそうになりました。与えられた役割としては、左に張って高い位置で受けて運ぶということでしたが、監督からも動けている点やハードワークの部分を認められての出場だったので、誰よりも動くこと、走ることは意識してやりました」

YS横浜戦では後半途中から右サイドバックとしてプレーし、ビルドアップの面において効果的なプレーをするも最後に失点に絡んでしまい、試合後にもその対応について悔やんでいた。

「失点につながったプレーで入れ替わってしまったところを踏まえ、練習でも1対1や対人のメニューで入れ替わらないこと、ボールを奪いきることを意識してきました。長野戦でも何回か入れ替わってしまう場面はありましたが、練習から積み上げてきたところを少しは出せたかなと思っています」

天野賢一監督が試合後に明かした通り、長野戦では本人の出来云々ではなく戦術的な理由で、前半終了後にベンチに退くこととなったが、この45分の経験は非常に大きいものになったようだ。

「公式戦におけるスピード感や会場の雰囲気を先発として感じられたことは大きかったです。長野はすごくプレッシャーに来て、強度も高かったですし、その中でやれたというのは経験として大きなものになりました。これを練習でも意識して取り組めれば、強度もプラスされて良い方向に持っていけるのではと感じています」

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負傷などによりなかなかメンバーが揃わない中、センターバックあるいはサイドバックとしてプレーできる長谷川選手は貴重な存在だが、本人が希望するポジションはどちらなのだろうか。

「大学の時も時々サイドバックをやる機会はありましたが、やはりセンターバックがいいなと思っていました。ただ、プロ入りしてここ最近は右サイドバックをやっている中で、右サイドバックの良さ、ボールに関わる回数や前に運ぶ回数が増える、その面白さを見つけたんですよね。なので、今はセンターバックをやりたいというよりは右サイドバックで活躍したい気持ちが大きいです。本来、結構上がりたいタイプですからね(笑)。上がってゴールに関わる仕事が好きなので、その意味ではサイドバックの方が上がりやすいですし楽しいと感じるのかなと思います」

センターバックから右サイドバックへの転向と言えば、昨季まで北九州で活躍した大学の先輩・村松航太選手(現:V・ファーレン長崎)も今季途中から右サイドバックとして活躍している。

「長野戦の後にすぐ連絡がきて、『お前、前半で代わってるやん』って言われて…。いつも試合を見てくれているので嬉しいなと思いますし、『俺は頑張っているんだ』というのをアピールするためにも、次の出場機会ではもっと頑張りたいと思いますね。航太くんからアドバイスですか?いや、それはくれません(笑)。こちらから聞いたら色々話してくれますが、自分から言ってくることはないです。本当に困った時は連絡しようかなと思っています」

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サイドバックとしてのプレーにも自信が出てきたという長谷川選手だが、振り返れば4月の天皇杯県予選決勝の福岡大学戦でも右サイドバックとして先発出場していた。あの頃とはプレーの精度も随分変わったが、この4か月でどう変わっていったのか。

「あの時は何をしたらいいかわからないままプレーしていた感じなんですけど、最近はやることも明確になってきて迷いなく動けていることが大きいと思います。やはり練習で積み重ねてきたところ、最近は自主練も多く取り組んでいますし、誰よりもたくさん走るということを意識したり、そういったところが自信につながってきているというか。練習や自主練で積み重ねてきたものを少しずつ出せている、そういった自信がついてきているのが一番大きいんじゃないかと思います」

実直に成長しようと取り組む長谷川選手だが、多くのサポーターの方もご存知の通り、ピッチを離れればムードメーカー的な役割も担う。特に4月に志村 滉選手が大宮アルディージャへ期限付き移籍してからは、チームの笑顔の源にもなっていると感じる。

「前から人と話すのが好きだし、明るいキャラというのはずっと言われてきたので、素でこの感じなんだと思います。ただ、滉くんという一番明るいキャラが抜けてしまいましたし、もう少し滉くんのようにムードメークできるように頑張っていきたいとは思いますね」

一方で、チームの好転に向けて思うこともある。自戒も込めて、こんな話をしてくれた。

「なかなか勝てず、皆がもがきながらなんとか結果を出そうとやっています。今は何人か熱い選手もいて、意見を交わすような場面も増えましたけど、もっとお互いに意見をぶつけ合ってもいいのではと感じています。言いたいことを溜めたままやっている選手もまだいると思うので、そういうのをすべてさらけ出してぶつかることも必要だと思います。自分もさほど言うタイプではないので、もっと思っていることを伝えてぶつかることも必要だと思っているんです」

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苦しいシーズンとなっている今季も、残りはわずか3か月。この間に個人として、チームとして何を求めていくか、最後に尋ねた。

「個人としては、徐々に出場機会をもらえているので、スタメン定着を果たすことが大きな目標です。チームとしては、結果が出ていない状況ですが、シーズンが終わる頃には自分たちのサッカーをサポーターの皆さんに示してそのうえで結果を求めていければと考えています。今は苦しい状況でサポーターの皆さんを笑顔にできていないですが、僕たちを信じてもらいたいです。僕たちも絶対勝つという気持ちで毎試合やっていますし、諦めずに応援いただければ、必ず結果で返すのでその時は一緒に喜び合えれば嬉しいです」

積み重ねてきた努力が自信に変わり、ようやく花を開こうとしている今。長谷川選手の開花と共に、チームが積み重ねてきたものも花開く、そんな3か月になることを期待したい。

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著者プロフィール

イタリア語で"ひまわり"という意味の「Girasole」と"前進する"という意味の「Avanzare」を組み合わせた造語。ひまわりは、ホームタウン北九州市の市花で、太陽に向かって力強く伸びていく元気を象徴する。「Girasole」は、本来「ジラソル」と発音するが、ここでは「ジラ」部分を「ギラ」と読み、太陽の輝きと躍動を想起させる強い語感に。「北九州から、日本、アジア、そして世界へと飛躍すべく、常に成長・前進を続ける光り輝くチームであり続けたい」「サポーターや地域が輝き、元気になる、その象徴でありたい」という願いが込められている。

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