【TEAM DIARY BY KAMAKURA INTER】#009 田中竣也 ー 鎌倉インテルとともにステップアップしていきたい

鎌倉インターナショナルFC
チーム・協会

【Kazuki Okamoto (ONELIFE)】

 昨シーズン途中に待望のホーム「みんなの鳩サブレースタジアム」が完成し、初めてホームグラウンドで開幕を迎えた2022年シーズン。チームは大幅に活動日数を増やし、強力な新戦力も多く加入して神奈川県リーグ1部昇格を目指して戦っている。

 ここではクラブ創設5年目のシーズンを戦う選手、スタッフらにスポットを当てる。今回は、開幕戦でデビューゴールをマークした加入1年目の田中竣也。

(文・本多辰成/スポーツライター)

開幕スタメンデビュー、初ゴールで開幕戦勝利に貢献

開幕戦では24分に追加点を挙げ、チームを勝利に導く 【DAN IMAI】

 神奈川県リーグ2部を戦う鎌倉インテルFCの今シーズン開幕戦。ホームの「鳩スタ」に日本工学院FCを迎えたその一戦ではスタメンに6人の新加入選手が名を連ねたが、FWで起用された田中竣也もそのひとりだ。

「開幕戦はまず、神奈川県リーグ2部の試合にこんなに多くの人が見に来てくれるということにびっくりしました。去年もコロナ禍でほとんど無観客の中で試合をしていましたから、いろんな人たちが来てくれる中で試合ができるのは本当にうれしく思っています」

 試合は序盤から鎌倉インテルFCが積極的に仕掛けてリズムを掴むと、22分にコーナーキックからDF北村万宙のヘッドで先制。その直後の24分、左サイドを突破した片野史安からのパスを田中がペナルティエリアで受けると、切り返して左足を振りぬいたシュートがゴール左上に突き刺さった。

「今までやったことがないような切り返しから決めることができて、自分でも驚くようなゴールでした。珍しいタイプだと思うんですけど、昔から練習でもできないようなことがたまに試合でできてしまうことがあるんです。開幕戦は絶対に点を取りたいと思っていたので、本当によかったです」

 先制点の直後に奪った田中の2点目でチームの勢いは加速し、さらに1点を加えて3対0の快勝。県リーグ1部昇格へ向けて好発進を決めた開幕ゲームは、デビュー戦を初ゴールで飾った田中にとっても最高のスタートとなった。

欧州で開花した点取り屋の才能

FWとして活躍したオーストリア時代(写真左) 【田中竣也】

 田中は1997年生まれ、埼玉県の出身。埼玉県の強豪・大宮東高を卒業後、一昨年までの4シーズンは海外を舞台にプレーしていた。

「高校時代はトップチームには入っていたんですが、公式戦にはあまり出場できませんでした。高校卒業後はもう一回ちゃんとサッカーをして、自分が納得できる形でサッカーをやめたいなと。もともと海外には興味があったので、卒業して少ししたタイミングで海外に挑戦することを決めました」

 高校卒業後、クラブチームに所属しながら海外挑戦の道を探っていたという田中は、合格すれば欧州のクラブに入団することができるセレクションに参加。そのチャンスを見事に掴み、スペイン5部のチームとの契約を勝ち取った。

 海外での最初のシーズンはほぼフル出場して経験を積むと、翌シーズンはオーストリア4部のチームに移籍。4部とはいえステップアップを目指す才能ある若手が多く所属するチームであったためレベルは高く、そのシーズンは独走で3部リーグ昇格を果たした。実際に現在は1部や2部でプレーする選手たちが数多く所属していたそのチームで、田中は貴重な経験を積んだ。

 高校時代は主にFWとサイドバックで起用されることが多く、海外でも当初は両ポジションで起用されていた。しかし、オーストリア4部のチームでプレーした欧州最後のシーズンはほぼFWに固定されると点取り屋としての能力が開花。毎試合のようにゴールを重ねてチームに貢献し、「FWが楽しい」という感覚が初めて芽生えたという。

「海外の選手は1対1を絶対に外さないんです。なんでだろうかと思ってプレーを観察していたら、やっぱりちゃんとコースを狙って打っていることに気づきました。インステップでズドーン、ではなくて、けっこう繊細にインサイドやインフロントで流し込んでいたんです。自分もそれを真似してみて、感覚を掴んだ瞬間からかなり点を取れるようになりました」

 田中にとっては「ほとんどのサッカー感を海外で得た」と振り返るほど大きな経験を積んだ欧州での4シーズン。しかし、コロナ禍によって帰国を余儀なくされ、再び日本で挑戦の場を探すことになった。

鎌倉インテルとともにステップアップしていきたい

チームと一緒にステップアップを目指す 【㋚写真】

 日本に帰国した昨シーズンは関東リーグに所属するエスペランサSCでプレー。同チームでは出場機会に恵まれず、トレーニングマッチで対戦したことがきっかけとなって今季は鎌倉インテルを新天地とすることとなった。

 高校卒業後から海外でプレーしてきた田中にとっては、日本のチームが逆に新鮮に感じる面もある。昨年所属していたエスペランサSCはアルゼンチン人監督の下で海外のチームに近いやり方をしていたため、鎌倉に来て初めて感じるギャップもあり、特に苦労しているのが守備のチーム戦術だという。

「海外のチームはディフェンスの戦術とかがあまりなくて、個人戦術で自分でボールを取り切らないと評価されない感じでした。個人でボールを取りに行って、はがされてもまた次の人が飛び込んでいく。でも、インテルではチームとしての守備のオーガナイズがあって、みんなで守備をしている感じがすごくあります。そういった部分はこれまで所属してきたチームにはなかったものなので、個人的には難しさを感じています」

 海外のチームで外国人としてプレーする場合、評価されるためには得点をはじめとする数字に表れる結果が非常に重要になる。田中も欧州時代はそういった環境の中で競争し、ステップアップを求めてサッカーを続けてきたが、その面でも鎌倉インテルの環境はこれまでとは異なる。

「去年までは個人としてステップアップしたいという思いでサッカーをしている人たちばかりの環境でやってきましたが、鎌倉インテルの場合はいろんなスタンスの選手がいます。そのなかで昇格という目標やクラブのビジョンに向かってひとつになっている。これだけ多くの人がサポートしてくれるチームなので、応援してくれる人たちのためにも頑張りたいですし、僕自身もチームと一緒にステップアップしていきたいと思っています」

 デビュー戦ゴールをマークした開幕戦の後、田中はケガで公式戦2試合を欠場。トレーニングマッチではその後も得点を重ねているが、リーグ戦では現在のところ1ゴールにとどまっている。リーグ戦後半、欧州で磨かれた田中の得点力が爆発すれば、昇格を目指すチームにとって頼もしい力となる。

【Kazuki Okamoto (ONELIFE)】

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著者プロフィール

鎌倉インターナショナルFC(通称:鎌倉インテル)は、世界で最もグローバルなスポーツであるサッカーを通じて未来の日本を国際化していくため、2018年に設立された新しいサッカークラブです。現在は神奈川県社会人リーグに所属していますが、プロサッカークラブ(Jリーグ参入)、そして世界を目指して活動をしています。『CLUB WITHOUT BORDERS』をビジョンに掲げ、日本と世界を隔てる国境をはじめ、性別、年齢、分野、そして限界、あらゆる“BORDER”(境界線)をもたないサッカークラブを目指しています。

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