豪華メンバー集結! 札幌記念を分析する

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【2021/8/22 札幌11R 札幌記念(G2) 1着 13番 ソダシ(2番人気)】

今週は札幌競馬場でサマー2000シリーズの第4戦・札幌記念が行われる。同シリーズの他の4戦がG3のハンデ戦で行われるのに対し、札幌記念はG2の定量戦と性格がまったく異なっており、実力馬の参戦が多く見られるレースだ。今回はこの札幌記念の過去の傾向をJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して分析したい。

人気別成績

■表1 【人気別成績】

過去10年、1番人気は複勝率80.0%と安定しているが勝利なし。単勝1倍台の馬が5頭もいながらすべて2〜3着に敗れており、1着候補としては不安が残る成績だ。一方で2番人気は5勝を挙げ、複勝率でも60.0%と上々。優勝馬10頭は2〜6番人気から出ており、7番人気以下の勝利はない。.

枠番別成績(2013年函館除く)

■表2 【枠番別成績(2013年函館除く)】

函館で代替された2013年を除く枠番別の成績では、4勝を挙げる1枠が勝率、連対率とも断トツ。2、3枠は勝利こそないが、3枠は複勝率2位の40.0%、そして2枠は好走した2頭が6、12番人気で複勝回収率100%超を記録する。4、5、7、8枠は複勝回収率が低く、好走確率と回収率をあわせてみれば内よりの枠を引いた馬を重視したい。

年齢別、性別成績

■表3 【年齢別、性別成績】

年齢別では3歳や5歳の複勝率が高いものの、4歳や6歳もさほど悪くはなく好走馬も多い。7歳以上のベテランになると苦しいが、6歳以下であれば年齢だけで取捨を決めるのは避けたい。性別では牝馬が勝率〜複勝率で牡・セン馬を上回る一方、3着以内の好走馬数は牡・セン馬が30頭中22頭と軽視はしづらい。ただ、ここ2年は牝馬が2頭ずつ馬券に絡んでおり、この流れを重視するなら牝馬を上位にみたい。

1〜3着馬の前走着順

■表4 【1〜3着馬の前走着順】

続いて表4は、各年の1〜3着馬について前走着順を調べたものである。2013〜15年は3着以内馬9頭中8頭が前走でも1〜3着に入っていたが、16年以降は前走で馬券圏外だった馬が毎年2頭以上好走している。傾向が大きく変わっており、前走に関係するデータになる表5〜7はその16年以降を対象にしたい。

前走クラス別成績(2016年〜)

■表5 【前走クラス別成績(2016年〜)】

前走のクラス別では中央のG1に出走していた馬が複勝率42.3%の好成績。次いで、数は少ないが海外遠征帰りの馬が複勝率28.6%。中央G2〜G3組は劣勢だ。

前走G1(海外含む)からの好走馬(2016年〜)

■表6 【前走G1(海外含む)からの好走馬(2016年〜)】

表6は海外を含む前走G1からの3着以内好走馬13頭で、前走から距離延長・同距離・距離短縮に分けてまとめている。まず13頭すべてに共通するのは、G1で3着以内に好走した実績を持っていたこと。そして13頭中12頭はこのレースで4番人気以内の支持を受けていた。

また、距離延長・同距離の6頭はいずれも前走5着以内。この前走G1組で「距離延長または同距離、前走5着以内」の馬は合計で【2.3.1.5】複勝率54.5%になる。一方、距離短縮馬は前走着順を問わず【1.2.4.8】複勝率46.7%と安定しており、好走馬7頭中6頭は前走4着以下からの巻き返しだった。

前走G2・G3からの好走馬(2016年〜)

■表7 【前走G2・G3からの好走馬(2016年〜)】

最後に表7は、前走G1以外からの好走馬5頭で、すべて前走は馬券圏外。このうち、ブラストワンピースとペルシアンナイトはG1優勝実績馬だが、残る3頭はG1どころか重賞勝ちもなかった。好メンバーが揃う札幌記念となれば、前走G3で馬券圏外に敗れた上に重賞勝ちもないような馬は狙いづらいが、安易に切り捨てないよう注意したい。

【結論】

今年の札幌記念でもっとも注目を集める馬といえば、連覇を狙うソダシだろう。4歳牝馬、前走マイルG1優勝からの距離延長という点に特に不安はない。しかし気になるのは過去10年勝利がない1番人気に支持されそうなこと。その1番人気も複勝率は80.0%と高く3連複の軸としては信頼できるが、馬単や3連単を買うなら他に1着候補を探したい。

その候補となるのが、ソダシと同じ4歳牝馬・ユーバーレーベン。前走G1組のため4番人気以内に推されることが条件になるが(表6)、前走ドバイシーマクラシック5着という成績や、G1好走実績(オークス優勝)も問題ない。同じくG1組でもう1頭、2走前のドバイターフで海外G1制覇を果たしたパンサラッサも有力。前走の宝塚記念は8着に沈んだものの、G1組の距離短縮馬であれば前走着順は不問だ。繰り返しになるが、この2頭はレース前に4番人気以内に入っているかどうかを確認してから買い目を組み立てたい。

前走G1以外の組では、函館記念で6着だったアラタ、クイーンSで8着だったフィオリキアリ(抽選対象)に穴で注目したい。重賞での最高着順はアラタが昨年の福島記念3着、フィオリキアリは一昨年の桜花賞7着と実績では見劣るが、表7で触れたようにこういった馬にもチャンスはあるレースだ。

文:浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。
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著者プロフィール

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