【新門司NOW】慣れ親しんだ場所で。乾 貴哉選手

ギラヴァンツ北九州
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前半戦ラストゲームとなった17日のFC岐阜戦。同点で迎えた終盤に均衡を破ったのは北九州だった。86分、相手の左サイドから対角に出たロングパスを左サイドバックの乾貴哉選手が猛然とダッシュしてインターセプト。決勝点につながる大ファインプレーであった。

「岐阜戦は1週間練習してきたことを全面に出せたゲームでした。あのシーンは相手が外を見ていましたし、ボールを出そうとしているのは予測していました。もちろんインターセプトできると思って走りましたが、仮にできなくても、言葉を選ばずに言えば削ってでも止めようと思って。タイミングがよかったですね」

最近は本職の左サイドバックで輝きを放つが、今季は元々ビルドアップ能力を買われ、プレシーズンからセンターバックを務めていた。

「プレシーズンからやってきてはいましたが、どちらかと言うとセンターバックの方が難しさはありました。チーム事情もあって今は左サイドバックをやらせてもらっていますが、今までずっとやっていたポジションだったので、全く違和感なくやれているのかなと思います」

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ただ、センターバックとしてプレーしていたからこそ、サイドバックに戻っても活かされていることはあるという。

「チームコンセプトとしてはセンターバックをやっていた時から変わったわけではないので、サイドバックに戻っても変わらずやれています。本来、自分の良さは前へのチャレンジだと思っていて、特に岐阜戦ではそこを出せました」

左サイドバックの主軸として期待され加入した昨季、右前頭部骨折による長期離脱などもあり、満足いくプレーを披露することができずにシーズンを終えた。

「昨年は全くと言っていいほど自分の良さを出せなくて…。ケガもあって気持ちの面でも下を向いていた時期が長かった。それに比べれば今年は練習からチャレンジできていますし、そういったところが最近の試合にもつながっていると感じています」

消化不良に終わった昨季の分まで活躍を誓った今季。キャンプから調整も順調で、開幕からしばらくはセンターバックとして先発メンバーに名を連ねた。

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ところが、順調に前進していた中で迎えた第5節のアスルクラロ沼津戦からチームは暗転。乾選手自身も沼津戦、そして同じ静岡勢の藤枝MYFC戦で失点につながるミスをしてしまい、先発での出番も減っていった。

「自分のミスからの失点もあり、メンタル的な部分での影響は相当大きかったです。やっぱり落ち込みましたね」

昨季と同じく下を向いてしまいかねない状況だったが、今季はそこからが違った。

「落ち込んでも仕方ないなと。練習から取り返していこうと、とにかく懸命にやり続けました。今季はセンターバックとして練習してきましたし、左サイドバックでというよりは与えられたポジションでベストを尽くし、チャンスをつかもうと考えていました」

諦めずに努力を続けた男にサッカーの神様は微笑む。鹿児島ユナイテッドFC戦でついに本職の左サイドバックでの出場機会が巡ってきた。

鹿児島戦、敗れはしたものの内容的には今季でも指折りのものであったし、その後のガイナーレ鳥取戦と岐阜戦では連勝を飾り、前半戦ラストを良い形で締め括ることができた。

「最後の数試合はいい流れで来ていましたし、もう少し早いタイミングでこういうサッカーをできていれば上の順位にいたと思います。そこは反省しなければいけませんが、そういうことも後半戦に活かしてまずは少しでも上の順位にいきたい。そして、昇格争いに絡める位置を狙っていきたいです」

J2自動昇格圏内の2位松本山雅FCとの差は、現在17ポイント。もちろん、厳しい状況なのは間違いないが、『逆転可能な勝点差=試合数』というサッカー界の通説でいくと、ギリギリ逆転できる勝点差だ。まだ希望はある。

「もちろんポイント差が気にならないと言えば嘘になります。ただ、あまり気にし過ぎると『勝たなければいけない』とプレッシャーになってしまいます。まずは1試合1試合目の前の相手に集中すること。絶対負けないように、最悪でも勝点を積み上げることが大事ですし、とにかくできる限り勝点を積み上げられるように戦いたいです」

さらに個人として貢献したい点を聞くと、意外な答えが返ってきた。

「チームにアクセントを加えて攻守ともに運動量でチームを鼓舞したい。あと、アシストや得点も決めたいです。え、得点は意外ですか?実は取りたい気持ちはあるんですよ(笑)」

岐阜戦ではエリア内に侵入しPKを獲得したシーンもあった。自身のこうした意欲があれば今後の得点には大いに期待できるだろう。

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後半戦、初戦と2戦目の相手は前半の対戦時に個人としてもチームとしても苦汁を飲まされた沼津と藤枝だ。

「前半戦ではその2チームに対して、個人的に悪い印象しかありません。なんとしてでもそのイメージを払拭したいし、リベンジしたいです。両チームともに勢いがあるチームですが、それに負けないように自分たちも勢いを出していければ絶対に勝てると思っています」

最後に、後半戦での大逆襲を祈るファン・サポーターの皆さんへ力強い メッセージをもらった。

「前半戦は良い流れで締めることができて良かったと思います。これを後半戦に繋げたいし、この流れを続けていければ昇格ラインに近づけるはずです。そうなるように僕たちも頑張っていくので、引き続き応援をよろしくお願いします!」

後半戦での巻き返しには全選手の活躍が不可欠だ。だが、その中でも奇跡の扉を開くための大きなカギを握っているのは、慣れ親しんだ場所で輝きを取り戻しつつある乾選手なのかもしれない。

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著者プロフィール

イタリア語で"ひまわり"という意味の「Girasole」と"前進する"という意味の「Avanzare」を組み合わせた造語。ひまわりは、ホームタウン北九州市の市花で、太陽に向かって力強く伸びていく元気を象徴する。「Girasole」は、本来「ジラソル」と発音するが、ここでは「ジラ」部分を「ギラ」と読み、太陽の輝きと躍動を想起させる強い語感に。「北九州から、日本、アジア、そして世界へと飛躍すべく、常に成長・前進を続ける光り輝くチームであり続けたい」「サポーターや地域が輝き、元気になる、その象徴でありたい」という願いが込められている。

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