【鳩スタ殿の13人】#024 大澤健太(鎌倉インターナショナルFCクラシック 選手)ー『鳩スタ』は息子たちとの関係を築く場所にもなっている
【Kazuki Okamoto (ONELIFE)】
ここでは「鳩スタ殿の13人」と題して、「鳩スタ」に関わる人々のそれぞれの思いに迫る。今回は、クラブ創設初年度からプレーする選手で、今季はサードチームのキャプテンを務める大澤健太。
(文・本多辰成/スポーツライター)
本業は小学校教員、鎌倉インテルの初代選手会長
コロナ禍での開催となった2020年シーズン、昇格決定戦に敗れ1部昇格は叶わなかった 【Kazuki Okamoto (ONELIFE)】
「鎌倉インテルへ入団したのは、当時監督を務めていた元Jリーガーの宇留野(純)さんとフットサルの大会で知り合ったのがきっかけでした。当時、僕は東京の中学校の教員をしていたんですが、結婚して双子の男の子が生まれたこともあって、土日に時間をつくれる環境を求めて妻の実家がある横須賀市の小学校に転勤したんです。落ち着いたらサッカーをしたいなという気持ちはずっと持っていて、そのタイミングで宇留野さんの存在をきっかけに鎌倉インテルを知って入団することになりました」
愛知県出身の大澤は、愛知高校時代にインターハイ出場の経歴を持つ。攻撃的な中盤のポジションで初期の鎌倉インテルを支え、2020年シーズンには10番を背負って選手会長も務めた。
「僕が初代選手会長ということで、2020年に1シーズン務めさせてもらいました。監督、キャプテン、副キャプテンと話をしながら、選手たちの不満なんかも聞いてチームに還元したりする役割です。選手としても背番号くらいの得点を決めて昇格を決めようと思っていたんですが、あまりチームに貢献することができず。その年は結果的に昇格決定戦で敗れてしまい、悔しいシーズンになってしまいました」
「鳩スタ」の計画を最初は「嘘なんじゃないか」と思った
「鳩スタ」が完成する2021年10月までは各地のグラウンドを転々として練習を行っていた 【Kazuki Okamoto (ONELIFE)】
「鎌倉市外のグラウンドであったり、ときには東京や埼玉まで行って練習することもありました。2時間の練習時間のうち1時間はフットサルコートでの練習、残りの1時間もサッカー場の4分の1しか使えなかったりという環境でした。試合もいろんなところで行われていて、交通の便が悪いところもあったのでいろいろと大変なことは多かったです」
そんななかでクラブは創設当初からスタジアムの建設計画を掲げていた。だが、創設されて間もない県リーグ所属のクラブが自前のホームグラウンドをつくるというのは想像しがたく、当初は「嘘なんじゃないか」と思っていたという。
「何かすごいことを言っているな、とは思っていましたが最初はあまり現実感はなかったというか。ただ、本当にできたらそこで働きたいな、とも考えていました。でも、やっぱりすぐにはできず。そんななかで僕は去年、仕事と家族の都合で練習にあまり出れない環境になってしまったので、一度チームを離れることにしたんです。その間に『鳩スタ』が本当に完成して、やると言ったことはやるクラブなんだなと実感しました」
初めて「鳩スタ」に足を踏み入れ、鳥肌が立った
2022年シーズンはサードチームの選手として鎌倉インテルに復帰 【Kazuki Okamoto (ONELIFE)】
「1年間でもう一度サッカーをできる状況を整えて、チームに戻ってくることができました。今シーズンからトップチームは週5日間の活動になったのでさすがにそれは無理でしたが、新しくできたサードチームであればなんとか活動に参加できる。2020年シーズンに一緒に戦った武田(航平)監督が今年はサードチームの監督をしていて、馴染みのある選手たちも多くいます。サードチームでやらないかと誘っていただいて、戻ってくることになりました」
「鳩スタ」ができた昨シーズンにちょうどチームを離れていたため、初めてその場所を訪れたのは今年1月の初蹴りのときだった。
「GMの吉田(健次)さんから初蹴りに呼んでもらって、初めて『鳩スタ』に足を踏み入れました。草がぼうぼうに生えていたあの場所がきれいな芝のグラウンドになっていて、鳥肌が立ちました。これまで長期間サッカーを離れるということがなかったので、この1年はサッカー以外に楽しいことを探してみたんですが、やっぱりサッカーより楽しいことはなかった。その楽しいことを『鳩スタ』の広いピッチで思う存分できるのはうれしいですし、以前の環境を知っているので本当にありがたく感じています」
「鳩スタ」は息子たちとの関係を築く場所にもなっている
「鳩スタ」でボールを蹴る大澤の息子たち 【Kazuki Okamoto (ONELIFE)】
「いろんな人に見られている、関心を寄せられているなというのはすごく感じます。教員をしている学校でも、サッカーをしている生徒から『先生、鎌倉インテルの選手なんですか』と聞かれたこともありました。今の生徒は先生の名前をネットで検索したりするので、それで出てきたんだと思います。横須賀でも鎌倉インテルの存在はけっこう浸透してきているのを感じますから、恥ずかしくないプレーをしなければいけません」
「鳩スタ」での初蹴りには、5歳になる双子の息子たちも連れていったという。それをきっかけに、親子で「鳩スタ」を訪れる機会も増えた。
「初蹴りのときに連れて行ったら、めちゃくちゃ楽しかったからまた行きたいということで。子どもたちもよく連れてきて、芝生でボールを蹴らせています。僕の仕事の都合で今は時間帯的に難しいんですが、できることなら息子たちを鎌倉インテルのスクールに入れたいと思っています。将来的に鎌倉インテルがJリーグに入ったら、息子2人にツートップでやってもらおうと計画しています(笑)」
大澤にとって「鳩スタ」は、親子の新たな関係を築く場所にもなっている。
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