落ち着くことを拒絶する34歳。キューバ五輪代表相手に闘争心むき出しで戦う猿田洋祐

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【ONE Championship】

 世界最大級の格闘技団体・ONEチャンピオンシップ株式会社(以下、ONE)が4月22日(金)開催するシンガポール大会。日本人選手も4人が参戦し、AbemaTVでも生中継される注目の大会だ。
今回は、その第9試合ストロー級マッチに出場する猿田洋祐にこれまでの人生や価値観、今思うことを聞いた。

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高校までは機械体操をしていた

待ちに待った試合となる。キューバでレスリング(グレコローマンスタイル)のオリンピック代表にもなったことのグスタボ・バラートとの試合は、2月の「ONE: BAD BLOOD」で対戦が予定されていた。だが現地での検査で、猿田が新型コロナウイルスの陽性の判定をと受けてしまい、直前に試合はキャンセルされていた。
無症状であっただけに悔しさもあったが、すぐに気持ちを切り替えていた猿田のもとに、再び両者のカードが組まれる知らせが届いた。

これまで修斗とONEでそれぞれストロー級王者となった経験を持つなど、輝かしい実績を残してきた猿田。格闘技との出会いは18歳の頃だ。器械体操を幼い頃から取り組み、埼玉・大宮東高まで競技を続けていたが自身は関東大会止まり。大学は教員になろうと文教大に進んでいた。

そんな時、近所に総合格闘技のジムができることになり入門。体操仕込みの身体操作性でどんどん技を覚えていくと、楽しくなりのめり込んでいった。部活動の感覚で毎日のようにジムへ通って、急成長を遂げていった。修斗でのデビュー後に2連敗を喫したり、怪我を負ったりなど順風満帆なことばかりではなかったが、「辞めようと思ったことは一度もないし、自信はどんな時もあったんです」と自らを磨き続けた。

そして国内で王者となると、2018年12月にONEデビュー。参戦2戦目でジョシュア・パシオを破ってONEでも戴冠。その後、パシオとはダイレクトリマッチを含め2度敗れ「毎年、対戦しているような感覚です」と笑う。
3回目のパシオ戦に敗れた前戦からの再起戦はキューバのフィジカルエリートと相対する。

相手の印象を尋ねると「レスリングのオリンピアンでテイクダウンやフックを振り回す戦い方。心身ともに“やり通す”タフさを感じます」と分析する。
そんな相手に対して「戦略はもちろんありますが、前回のパシオ戦で出せなかった闘争心を出す、正面からぶつかる戦いができれば良い試合運びができると思います」と自信を見せる。

34歳になり、格闘家として様々な経験を積んで様々な技術を習得した。プライベートでも結婚し子宝にも恵まれた。
あらゆる面で「落ち着いて」もおかしくはないが、「格闘技だけは自分のわがままで、どんなことがあっても自分のために続けてきたので貫き通したいです」と話す。試合においても「戦い合う競技なので、初心に帰って相手をぶっ倒すような気持ちで戦います」と、落ち着きよりも貪欲な姿勢を大切に臨むつもりだ。

この試合に勝てば、ストロー級のグランプリ開催を提案したいのだという。アジアだけでなく北中米からも強豪が集まる中で最強を決める戦いをしたい。
ベテランの域に達しても、入門したての時のような向上心は変わらず、さらに熱を帯びて、猿田を突き動かしている。

取材・文=高木遊
 
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シンガポール発、アジアで絶大な人気を誇る格闘技団体「ONEチャンピオンシップ」! 世界トップクラスの選手や日本人注目選手の最新情報をお届けいたします。

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