2019-20シーズンから2シーズンの間、秋田の地で同じ時間を過ごしたPGの2人。年齢は離れていても、プライベートでも親交の深かった長谷川暢と細谷将司（シーホース三河）が久しぶりにオンラインで対面を果たした。奇しくも現在チャンピオンシップ進出争いをしている両チームの司令塔が、この時期に合間見えるのは異例だ。ブースターも知らない多くの逸話が飛び出た今回の対談、異例の3回に分けてお届けする最終回は、いよいよ迫った直接対決への意気込みやポストシーズンへの意欲など、バスケ中心の内容でお届けしていく。

--4月16日と17日は両チームにとって大一番、今シーズンのBリーグのハイライトになるような、シーズンを占う直接対決になると思います。そこに向けて、どのようなお気持ちでいらっしゃいますか。まずは細谷選手からお伺いできればと思います。

（細谷）運命なのかなとか思ってしまいますし、大事な試合ではあります。もちろん楽しみではあるんですけど、その前にも試合があるのでしっかりと1つずつ1つずつ勝っていくことしか今は考えていないですね。秋田との試合が来たら、その試合にフォーカスをしていくっていう状況ではあります。でも、もちろん意識していますよね。複雑な思いではありますけどね、秋田にもチャンピオンシップに行って欲しいという想いが本当にあります。僕は秋田のことが好きなので。だけど僕らもやっぱり行きたいですし、そういう思いの中でプレーをできることは幸せかなって思いながら、今は過ごしています。だからこそ、一戦一戦を大事に戦うことだけを、今は意識してやっていますね。

--その中で細谷選手にとっては、今シーズンは後半戦も含めて大事な局面で多くの時間をコートで過ごしていたりしています。その中での重要な試合が秋田の地で行われるというのは、ご自身にとっては大きいのではないでしょうか。

（細谷）その時には入場制限のないブースターでいっぱいになったCNAアリーナでプレーするのがかなり久しぶりなので…昨シーズンはコロナ禍の影響もありましたので。あのアリーナの雰囲気っていうのは、本当に僕にとって忘れられられない景色です。そして、今でも恋しいです。そこでプレーするっていうのは本当に幸せだなとは思っているんで、より勝って恩返しをしたいっていう想いは強いですよね。

--長谷川選手は、この一戦に向けてどのようなお気持ちでいらっしゃいますか。ホームを守る、そして優勝を目指している中での通過点でもある、初のチャンピオンシップ進出が懸かっている部分もあると思います。

（長谷川）三河さんはもちろん伝統のあるチームだし、歴史あるチームだと思っています。秋田にとっては、このまま行けば初めてのチャンピオンシップ出場になります。そういった意味では、まずは前提として今シーズンがすごく重要かなという風に思っています。自分たちもここまでちゃんと積み重ねてきたものもありますし、その中での三河さんとの対戦は何よりも本当に大きいですね。そして、「早くマッチアップしたいな」って思い描いていた中で、細谷さんと試合で対戦できる。自分もここまでステップアップしてスタートで使ってもらえている機会が多い中で、ぜひお互いにスターティング5でマッチアップできるような機会であれば、より良いなと感じています。もしかしたらブースターの皆さんも、たくさんそういう時間が増えるのを楽しみにしているかもしれません。すごく気持ちの入る一戦ですけど、一つ一つ積み重ねて行くことが大切なので、僕は冷静にやりたいなと思います。

--細谷選手にとっては、今シーズン伝統のある三河に移籍して、やはりポストシーズンに進みたいという気持ちは大きいと感じています。その部分に関して、どのようなお気持ちを抱いていらっしゃいますか。

（細谷）今シーズン、三河に入ってきてシーズン最初の方は上手くいっていましたけど、中盤になって怪我人が結構多く出てしまいました。加えて新型コロナウイルス感染症にも悩まされてしまって……色々とチーム状況が良くない中で終盤戦を迎えてきて、本当にチームとして徐々に徐々に良くなり、1人1人の役割がはっきりしてきた。その中で今、勝ちを重ねている状況です。でも、もっと良くなれると思う。今、僕らはチャンピオンシップに進出するイメージしか湧かないというか、それぐらいの今チーム力があると思っています。どのチームにとっても脅威になれるチームだなと思うので、本当に今は早く試合がしたいっていう気持ちですよね。全然チャンピオンシップに行かなきゃというプレッシャーみたいな気持ちではなくて、早くこのチームで1試合ずつ戦っていきたいっていう思いが、今は強いですね。

--長谷川選手にとってはポストシーズンで戦えるというのはキャリアにとっても念願が叶う部分でもあり、その中で今はスタートで試合に出場しています。今シーズンはチームとしても崩れにくくなっているというのを感じている中で結果が残り、チャンピオンシップも目の前に少しずつ見えてきていると思います。

（長谷川）ポストシーズンに向けて、もちろん僕としてもすごく楽しみなチャレンジです。試合はスタートで出してもらっていますけど、本当に先輩たちが自分を引っ張ってくれているというか、助けてくれる場面がたくさんあります。僕は今でも何か思いっきりプレーするだけだなという気持ちですね。それと共にチームとしては、全員が噛み合ってきて、徐々に秋田らしく戦えているなっていう風に思っています。僕たちもレギュラーシーズン全試合が終わった時にどうなっているのかというのが重要だと思っていて、そこにチャンピオンシップというものが付いてくるというような形にしたいなと感じています。本当に一戦一戦をしっかり戦っていくだけですね。キャリアとして、このような立ち位置に立てるのもなかなか無いですし、本当にチャンピオンシップ進出を狙える位置にいるので、是非掴み取りたいなと思っています。

--秋田で2シーズンという時間で濃密な関係性を作られた中で、ぜひお互いにエールを送ってもらえたら嬉しいですが、いかがでしょうか。


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文・鳴神 富一

◆選手プロフィール
名前 長谷川暢（はせがわ のぼる）
ポジション PG（ポイントガード）
身長／体重 173cm/81kg
生年月日 1996年12月21日
出身地 埼玉県
経歴
上尾市立大石中学校 → 秋田県立能代工業高等学校 → 早稲田大学※→ 秋田ノーザンハピネッツ(2018-)
※2018年12月、早稲田大学4年次に特別指定選手(プロ契約)として入団。

名前 細谷将司（ほそや まさし）
ポジション PG（ポイントガード）
身長／体重 173cm/72kg
生年月日 1989年10月2日
出身地 神奈川県
経歴
秦野南が丘高校→関東学院大学→TGI D-RISE→兵庫ストークス→サイバーダインつくばロボッツ→横浜ビー・コルセアーズ→秋田ノーザンハピネッツ→シーホース三河(2021-)