2022年度 第1回臨時理事会後チェアマン定例会見発言録
【©J.LEAGUE】
2022年2月16日
2022年度 第1回臨時理事会後チェアマン定例会見発言録
2022年2月16日(水)17:30〜
オンラインにて実施
登壇:村井満 チェアマン
樋口順也 競技運営部長
陪席:原博実 副理事長
黒田卓志 フットボール本部長
〔司会より決議事項について説明〕
本日14時から臨時理事会後を開催させていただきました。本日の議題は、「2022 J1参入プレーオフ決定戦の大会方式および試合方式について」です。
《決議事項》
1.2022 J1参入プレーオフ決定戦の大会方式および試合方式について
昨年12月に事務局の意図せぬ形で理事会にて決議し、公表させていただいた案件でございますが、本日の理事会にて決議をいたしましたので、ご報告させていただきます
2022シーズンの決定戦については、従来の方式どおり、90分間の試合を行い勝敗が決しない場合は、明治安田生命J1リーグ年間順位16位のクラブを勝者とすることにいたしました。
なお、競技運営部部長の樋口より、今回のJ1参入プレーオフ決定戦の大会方式および試合方式の決定に至る経緯、結論に関してご説明させていただきます。
〔競技運営部樋口部長より説明〕
今回の議論に関し、少し過去の議論についても、遡ってご説明をさせていただきます。
2012年からJ1昇格プレーオフを導入しており、J1とJ2の入れ替えは3枠で実施していました。
2018年から入れ替えを2.5枠に変更して、現在のJ1参入プレーオフを運用しているところです。近年、2017年から4回ほど昇降格に関する議論をしています。
まず、2017年の議論です。
このときは、枠数を3枠から2.5枠に変更しています。また、それに伴って昇格プレーオフを参入プレーオフへ変更しています。J1・16位と勝ち上がったJ2クラブが戦う決定戦は90分間で勝敗が決しない場合、J1・16位のクラブを勝者とするというルールを、この際に決定しています。
その後、2019年にもう一度議論をしています。
この際の議論のテーマは、参入プレーオフ・決定戦の大会方式を変更するか否かでした。2017年の議論の際は、90分でJ1・16位が勝者となると決めましたが、延長・PK戦まで行うべきではないかという議論があがり、この時に実行委員会・理事会で議論しています。複数回の議論の結果、この時は2020シーズンの大会方式は変更しない。ただし、2021シーズン以降の大会方式については、もう一度議論をするという取り決めをしていました。
2019年の議論が終わった直後に、新型コロナウイルス禍の状況となり、そこから2年間、参入プレーオフは実施していません。2020年3月頃に、もう一度昇降格に関して議論をし、この時は降格は無し、昇格を2枠にしています。
そして、シーズン終盤の秋口から冬頃に、2020シーズンを降格無しとしたことにより、2021シーズンのクラブ数がJ1・20クラブになっているため、それを1年間でどのように戻すのかを議論いたしました。この時、昇格を2、降格を4にして入れ替えに関するプレーオフは実施しないということを決定しています。その際に2022シーズン以降は元に戻すことにしていました。そして、今回の議論に続きます。
昨年12月の実行委員会・理事会において、リーグ事務局の本来の意図とは異なる内容で決議をして、発表いたしました。従来の大会方式と同じとするならば、90分で勝敗が決しない場合、J1・16位のクラブが勝者とすべきだったところを、延長・PK戦まで実施するという内容で発表いたしました。メディアの皆様からご指摘をいただき、誤りに気づいたため、1月から改めて議論を開始しています。実行委員会で3回、今日の臨時理事会も含めた理事会で2回、今回の大会方式に関し議論いたしました。各クラブからも様々なご意見をいただき、最終的に今日の臨時理事会に至るまでに4案に絞りました。
(1)「従来の大会方式」から変更しない
(2)2022シーズンは「従来の大会方式」から変更せず、2023シーズンに向けて継続議論を行う
(3)J1ホーム開催/延長・PKまで実施/外国籍はJ2にあわせる
(4)中立地開催/延長・PKまで実施/外国籍はJ2にあわせる
本日の臨時理事会でこの4案を提案し、最終的な議論の結果、今シーズンについては従来の大会方式から変更しないが、2023シーズンに向けて継続的に議論を行くという結論に至っています。
〔村井チェアマンよりコメント〕
これまでの議論のプロセスについて、樋口部長よりご説明いたしました。本来、新型コロナウイルス前の状態に戻すということであれば、従来方式だと思っていたのですが、延長・PK戦と誤った記載をしてしまったことが、今回の議論の入り口となりました。
記載ミスでしたので、従来方式に戻して議論を終えることも方法論としてなかったわけではないのですが、新型コロナウイルス禍以降、議論が十分にできていないことから、現時点でできる限りの議論はしようということで、実行委員で何回か議論を重ねてきました。
本日は4つの大枠で議論いたしました。(1)(2)は従来どおりの大会方式です。(3)(4)は大会方式を変えて、延長・PK戦まで行うということです。従来どおりか、延長・PK戦まで行うかが大きな分岐点ですが、従来どおりとする意見においても、意志を持って従来どおりがいいということか、まだまだ議論が十分にしつくされておらず、他の議論も多々あるので全体感をもって議論をすべきと分かれています。延長・PK戦とするという意見でも、開催を中立地で行うか、J1ホームで行うかというところが分かれていましたが、従来どおりでいくか、決着をつけるかというところが議論の分岐点でした。
本日の議論の冒頭で、クラブが何回も議論を尽くし、アンケートも2回行い、様々な意見を出していただいたことをお伝えし、また実行委員会の議論をリスペクトし、十分理解した上で議論をしていただきたいこと、J1・J2のクラブ選出の理事の方々も、理事会では個々のクラブの代表でなく、リーグ全体の視点で議論することをお願いし、議論をスタートしました。
結論として、従来どおりながら、もう少しリーグで議論をしていこうという最終結論に着地したのですが、事前のアンケートでも、この意見が一番多かったと理解しています。
議論すべき要素ですが、一つには今後、ACL等の大会方式が変わってくることが想定されること。またワールドカップの隔年開催、もしくはACLの大会方式の改革がJリーグにどのような影響を与えるか。日程的にどのような影響を与えるかも、視野に入れた方が良いのではないか。
日程が影響するところでは、現在の一発方式の開催地をホームにするか、中立地にするかという議論。入れ替え戦をH&Aの2試合で行うことができれば、より公平になりますが、今年はそういう日程をワールドカップイヤーのため取れませんでした。今後は、スケジュール面も考慮して永続的な施策を考えた方が良いのではないかという意見もあります。
また、今後J3とJFLの間で入れ替え戦が想定されますが、J1・J2の入れ替えのフォーマットを決めるだけではなく、リーグ全体としてJFLも含めた 入れ替えの考え方を固めた上で、個々の議論をした方が良いのではないかという議論もあり得るかもしれません。
思想として、しっかりと決着をつけることに重きをおくのであるならば、リーグ戦全部に延長を無くしPK戦をやるというようなことも極論ではあり得るわけです。リーグ戦の戦い方は、PK方式があるのが正しいのか、そうではないのか、引き分けも十分リーグ戦としては考えられるのか、ノックアウト方式のカップ戦とは違うリーグ戦のあり方をもう少し議論すべきではないかというところもあったと思います。
それから、J2 4位・5位・6位がプレーオフで昇格することがということも議論になっています。本当に強いものが勝つということで言うと、J2・3位とJ1の入れ替え戦が正しいのではないか。これをJ1・J2入れ替え戦ということだけで議論をすると大局観を失うので、全体のJリーグ全体としてどうあるべきか、リーグ戦の考え方はどうあるべきか、勝ち点はどこまでリスペクトすべきなのかなどをもう1回整理して議論していこうというのが、大枠の議論のストーリーラインだったと理解しています。
これまでもJリーグは、年間勝ち点をリスペクトした考え方を前提として参りました。一時期は2ステージ制もありましたが、やはり、1年間をかけて勝ち点を取ったところをリスペクトするという思想から、2年で2ステージ制を廃止したのは記憶に新しいところです。直近ですと、本年度、J2からJ1に2チームが自動昇格のみとさせていただきました。これを議論した時も、自動昇格は1、プレーオフを行って出場権を獲得した1チームが昇格とする起案もありました。その時に理事会は、やはりJリーグは年間勝ち点をリスペクトすべきということが過去からの考え方であり、自動昇格とプレーオフによる昇格が1と1という同数はあり得ないとし、必ず年間勝ち点で昇格する数の方が多くなることを求めました。これまでの議論の下敷きの中にも、年間の戦い方をリーグ戦においては重視するという考え方が土台にありましたが、今後、場合によってはJ2内のプレーオフでも年間勝ち点をひっくり返して上がることを是とするのかどうかの議論もしっかり踏まえた上で、その延長線上にある入れ替え戦の決着の仕方も議論しようということだったと思います。
結論でいうと、1年間かけてしっかり議論して、あるべき姿を考えるので、2022シーズンは従来方式を暫定的な位置付けで踏襲するということを、最終的には全会一致でお認めいただきました。
質疑応答に入る前にもう一つお話します。今日、本件を議論した後に私と木村専務理事で首相官邸に行き、岸田総理と直接お話しをする機会をいただきました。NPBの斉藤コミッショナーと一緒に、野球・サッカーともに新規の外国籍選手の入国をお認めいただけていない状況であることから、選手・家族、そしてコーチングスタッフの今後の入国緩和を要請いたしました。こうした話が、両団体にとってとても重要であることは認識しており、改善すべく善処していくというコメントをいただきました。具体的に、いつから緩和されるかは、今後、政府に委ねることになりますが、前向きに検討いただけるということでした。
〔質疑応答〕
Q:制度の思想的背景ということで、年間勝点のお話をされていましたが、上位カテゴリーを優遇するという思想的背景があるのでしょうか。J1を経験したクラブがJ2にも十分いるので、入れ替えは必要ないだろうとか、現行制度の流れの中での思想的背景があれば教えてください。
A:村井チェアマン
これ以上J1経験クラブを増やしたくないということが思想的にあるわけではありません。むしろ逆で、いわゆる枝葉が高く天まで届くのがJ1、それを支える幹はJ2、根っこを貼るのがJ3だとすると、太い幹であることはJリーグの全体の成長にとっては極めて重要ですので、J2で高みを知っているクラブが多いことは我々にとってはプラスだと思っています。なるべく上げにくくしたい、J1経験チームを減らしたいということがあるわけではないです。むしろ逆だろうと思います。
上がりやすさ、上がりにくさというのは言葉として非常に誤解を招きやすいのですが、自動昇格3より2.5の方が落ちにくいのは、数字的には事実です。昇格枠数については、J118クラブの内の3クラブが自動降格だった当時、22枠だったJ2から落ちるのは1、1.5だったと思います。
リーグ全体の公平性、適正性、世界のフットボールの昇降格を見たときに、18分の3に関して修正すべきところで言うと、確かに数字的に落ちにくくする議論がその当時ありました。今回は、むしろ落ちやすい、落ちにくいという思想的な背景というよりは、リーグ戦としてあるべき決着の付け方とはどのようなことかということが、議論の中核だと思っています。
また、確かに過去においてはJ2の6位で上がってきたチームが、昇格して早々に1年で姿を消していくというような、年間を戦い抜く競技力が整わず、早々に降格を繰り返すということが事象としてありました。
先ほど樋口が過去の議論について説明しましたが、この辺りの反省や議論をしっかりと続けてきて最終的にあるべき姿に近づいたかというと、まだ十分な議論を果たせていないというのが今回の結論でした。この辺りのあるべき昇降格の在り方をもう少し議論しようというのが今回の議論でした。数字の制限ありきの議論では全くありません。
Q:そもそものところを教えていただきたいのですが、2017年議論で今回の形になった理由。引き分けの場合はJ1クラブが残留、決定戦はJ1クラブのホームで開催することになった理由、経緯を教えてください。
A:フットボール本部 黒田本部長
2017年に3枠から2.5枠にするときに、ご説明した「従来の方式」にしています。当時は世界的に見てJ1の降格率が高いということ、J2の3枠目の昇格クラブが翌シーズンJ1で戦うもののすぐに降格してしまうこと、さらに加えるとしたら、J1のクラブでACLに出場クラブがJ2に降格することを心配し、ACLに全力で望めず、その結果ACLで優勝できなかったということが続いていました。それをもって、3枠から2.5枠にするプレーオフの開催方式について議論しました。その結果J2の3位から6位の勝者とJ1の16位が対戦する形で大会を設定したというのが当時の決定です。
Q:2012年の時のことをお伺いします。勝敗の決定をPK方式ではなく、引き分けの場合は上位が勝つということにしたそもそもの理由はどういった経緯でしょうか。
A:フットボール本部 黒田本部長
J2の3位から6位で昇格プレーオフを行ったのは、J2リーグの中での終盤の盛り上がりを作るということからでもありました。一方で、J2で言えば42節、1年をかけて戦ってきた結果としての年間勝点が尊重されるべきであろうということから、同じJ2のカテゴリーの中での3位から6位の戦いでは、引き分けになった場合は年間で勝点を得た上位チームが勝ち残るべきという議論がありました。
Q:そのうえで、今回、従来通りの方式であっても会場は中立地にするという議論は出なかったのでしょうか。
A:村井チェアマン
理事会では実行委員会で絞られた4つの議論を土台として議論をいたしました。ありとあらゆるパターンが存在しますが、議論のアンケートをとって絞られていく中で、そうした議論は残らなかったということであると思います。
Q:アンケートを2回とられたと村井チェアマンはおっしゃいましたが、アンケートの結果の詳細は教えていただけないでしょうか。どのくらいの割合でどういった意見が出たかを、可能であれば教えていただければと思います。
A:村井チェアマン
1回目のアンケートは全体的な議論の前に、クラブの考え方として出していただきました。2回目は、他のクラブの意見や実行委員会でのコメントを踏まえて修正したものを加えて提出していただきました。一つのクラブでも途中のプロセスで意見が変遷してまいります。また、議論のファシリテーションも1回目と2回目では前提が違ったりします。アンケート結果だけが独り歩きするのは大局観を欠くと思いますので、内容は非公表とさせていただきます。本日開示できることは、実行委員会の中では、従来方式とし議論を続ける案が一番多かったということです。そして、従来から変えない方式と変える方式で言うと、変えない方式の方が、変える方式よりも多かったということだけお伝えさせていただければと思います。
Q:首相官邸に出向かれて入国の件で色々話されたということですが、開幕が迫る中でなかなか監督や選手が入国できないケースがあり、クラブにとっても切実なところもあると思います。新型コロナウイルスの状況や政策にもよると思いますが、具体的にいつぐらいから入国に向けた準備ができそうでしょうか。昨年のようにJリーグバブルでやっていくという見通しはこれからだと思いますが、具体的な見通しがあれば教えてください。
A:村井チェアマン
ピークは越えた感があるのかもしれませんが、国内での感染数はまだ各最多を更新するような状況が続いていますので、我々サイドから具体的な日時を示して、いつまでに入国させてくださいというようなことを、時期を示してお願いすることはありませんでした。また、総理からもいつまでに緩和しますという具体的な条件提示はありませんでした。ただ、クラブとしてはきわめて切実な問題であることは事実で、我々にとって大変大きなテーマであることをお伝えし、ご理解いただいたと思います。総理は、3月には何とか感染が終息の方向に めどが立ってくれれば良いというような言い方をされていたので、何カ月もかかるということではないと期待はしています。
Q:鈴鹿ポイントゲッターズの件なのですが、2月28日にもう一度理事会がありますが、JFLから報告があった場合、Jリーグで開示したり、議論の結果を我々にお伝えいただくような場所はあるのでしょうか。見通しも含めて教えてください。
A:鈴木本部長
本日の臨時理事会は議題が絞られていましたので、特に報告はありませんでした。先般JFLの理事会も行われ、途中経過の報告等を受けております。その報告も踏まえて、2月28日の理事会で審議するかしないか、内部で調整中ですので、現段階で必ず理事会に付議する、付議しないと申し上げることはできません。一旦それを目途に資格に関して検討するということになっていますので今後調整したうえで、理事会で対応していきたいと思っています。
2022年度 第1回臨時理事会後チェアマン定例会見発言録
2022年2月16日(水)17:30〜
オンラインにて実施
登壇:村井満 チェアマン
樋口順也 競技運営部長
陪席:原博実 副理事長
黒田卓志 フットボール本部長
〔司会より決議事項について説明〕
本日14時から臨時理事会後を開催させていただきました。本日の議題は、「2022 J1参入プレーオフ決定戦の大会方式および試合方式について」です。
《決議事項》
1.2022 J1参入プレーオフ決定戦の大会方式および試合方式について
昨年12月に事務局の意図せぬ形で理事会にて決議し、公表させていただいた案件でございますが、本日の理事会にて決議をいたしましたので、ご報告させていただきます
2022シーズンの決定戦については、従来の方式どおり、90分間の試合を行い勝敗が決しない場合は、明治安田生命J1リーグ年間順位16位のクラブを勝者とすることにいたしました。
なお、競技運営部部長の樋口より、今回のJ1参入プレーオフ決定戦の大会方式および試合方式の決定に至る経緯、結論に関してご説明させていただきます。
〔競技運営部樋口部長より説明〕
今回の議論に関し、少し過去の議論についても、遡ってご説明をさせていただきます。
2012年からJ1昇格プレーオフを導入しており、J1とJ2の入れ替えは3枠で実施していました。
2018年から入れ替えを2.5枠に変更して、現在のJ1参入プレーオフを運用しているところです。近年、2017年から4回ほど昇降格に関する議論をしています。
まず、2017年の議論です。
このときは、枠数を3枠から2.5枠に変更しています。また、それに伴って昇格プレーオフを参入プレーオフへ変更しています。J1・16位と勝ち上がったJ2クラブが戦う決定戦は90分間で勝敗が決しない場合、J1・16位のクラブを勝者とするというルールを、この際に決定しています。
その後、2019年にもう一度議論をしています。
この際の議論のテーマは、参入プレーオフ・決定戦の大会方式を変更するか否かでした。2017年の議論の際は、90分でJ1・16位が勝者となると決めましたが、延長・PK戦まで行うべきではないかという議論があがり、この時に実行委員会・理事会で議論しています。複数回の議論の結果、この時は2020シーズンの大会方式は変更しない。ただし、2021シーズン以降の大会方式については、もう一度議論をするという取り決めをしていました。
2019年の議論が終わった直後に、新型コロナウイルス禍の状況となり、そこから2年間、参入プレーオフは実施していません。2020年3月頃に、もう一度昇降格に関して議論をし、この時は降格は無し、昇格を2枠にしています。
そして、シーズン終盤の秋口から冬頃に、2020シーズンを降格無しとしたことにより、2021シーズンのクラブ数がJ1・20クラブになっているため、それを1年間でどのように戻すのかを議論いたしました。この時、昇格を2、降格を4にして入れ替えに関するプレーオフは実施しないということを決定しています。その際に2022シーズン以降は元に戻すことにしていました。そして、今回の議論に続きます。
昨年12月の実行委員会・理事会において、リーグ事務局の本来の意図とは異なる内容で決議をして、発表いたしました。従来の大会方式と同じとするならば、90分で勝敗が決しない場合、J1・16位のクラブが勝者とすべきだったところを、延長・PK戦まで実施するという内容で発表いたしました。メディアの皆様からご指摘をいただき、誤りに気づいたため、1月から改めて議論を開始しています。実行委員会で3回、今日の臨時理事会も含めた理事会で2回、今回の大会方式に関し議論いたしました。各クラブからも様々なご意見をいただき、最終的に今日の臨時理事会に至るまでに4案に絞りました。
(1)「従来の大会方式」から変更しない
(2)2022シーズンは「従来の大会方式」から変更せず、2023シーズンに向けて継続議論を行う
(3)J1ホーム開催/延長・PKまで実施/外国籍はJ2にあわせる
(4)中立地開催/延長・PKまで実施/外国籍はJ2にあわせる
本日の臨時理事会でこの4案を提案し、最終的な議論の結果、今シーズンについては従来の大会方式から変更しないが、2023シーズンに向けて継続的に議論を行くという結論に至っています。
〔村井チェアマンよりコメント〕
これまでの議論のプロセスについて、樋口部長よりご説明いたしました。本来、新型コロナウイルス前の状態に戻すということであれば、従来方式だと思っていたのですが、延長・PK戦と誤った記載をしてしまったことが、今回の議論の入り口となりました。
記載ミスでしたので、従来方式に戻して議論を終えることも方法論としてなかったわけではないのですが、新型コロナウイルス禍以降、議論が十分にできていないことから、現時点でできる限りの議論はしようということで、実行委員で何回か議論を重ねてきました。
本日は4つの大枠で議論いたしました。(1)(2)は従来どおりの大会方式です。(3)(4)は大会方式を変えて、延長・PK戦まで行うということです。従来どおりか、延長・PK戦まで行うかが大きな分岐点ですが、従来どおりとする意見においても、意志を持って従来どおりがいいということか、まだまだ議論が十分にしつくされておらず、他の議論も多々あるので全体感をもって議論をすべきと分かれています。延長・PK戦とするという意見でも、開催を中立地で行うか、J1ホームで行うかというところが分かれていましたが、従来どおりでいくか、決着をつけるかというところが議論の分岐点でした。
本日の議論の冒頭で、クラブが何回も議論を尽くし、アンケートも2回行い、様々な意見を出していただいたことをお伝えし、また実行委員会の議論をリスペクトし、十分理解した上で議論をしていただきたいこと、J1・J2のクラブ選出の理事の方々も、理事会では個々のクラブの代表でなく、リーグ全体の視点で議論することをお願いし、議論をスタートしました。
結論として、従来どおりながら、もう少しリーグで議論をしていこうという最終結論に着地したのですが、事前のアンケートでも、この意見が一番多かったと理解しています。
議論すべき要素ですが、一つには今後、ACL等の大会方式が変わってくることが想定されること。またワールドカップの隔年開催、もしくはACLの大会方式の改革がJリーグにどのような影響を与えるか。日程的にどのような影響を与えるかも、視野に入れた方が良いのではないか。
日程が影響するところでは、現在の一発方式の開催地をホームにするか、中立地にするかという議論。入れ替え戦をH&Aの2試合で行うことができれば、より公平になりますが、今年はそういう日程をワールドカップイヤーのため取れませんでした。今後は、スケジュール面も考慮して永続的な施策を考えた方が良いのではないかという意見もあります。
また、今後J3とJFLの間で入れ替え戦が想定されますが、J1・J2の入れ替えのフォーマットを決めるだけではなく、リーグ全体としてJFLも含めた 入れ替えの考え方を固めた上で、個々の議論をした方が良いのではないかという議論もあり得るかもしれません。
思想として、しっかりと決着をつけることに重きをおくのであるならば、リーグ戦全部に延長を無くしPK戦をやるというようなことも極論ではあり得るわけです。リーグ戦の戦い方は、PK方式があるのが正しいのか、そうではないのか、引き分けも十分リーグ戦としては考えられるのか、ノックアウト方式のカップ戦とは違うリーグ戦のあり方をもう少し議論すべきではないかというところもあったと思います。
それから、J2 4位・5位・6位がプレーオフで昇格することがということも議論になっています。本当に強いものが勝つということで言うと、J2・3位とJ1の入れ替え戦が正しいのではないか。これをJ1・J2入れ替え戦ということだけで議論をすると大局観を失うので、全体のJリーグ全体としてどうあるべきか、リーグ戦の考え方はどうあるべきか、勝ち点はどこまでリスペクトすべきなのかなどをもう1回整理して議論していこうというのが、大枠の議論のストーリーラインだったと理解しています。
これまでもJリーグは、年間勝ち点をリスペクトした考え方を前提として参りました。一時期は2ステージ制もありましたが、やはり、1年間をかけて勝ち点を取ったところをリスペクトするという思想から、2年で2ステージ制を廃止したのは記憶に新しいところです。直近ですと、本年度、J2からJ1に2チームが自動昇格のみとさせていただきました。これを議論した時も、自動昇格は1、プレーオフを行って出場権を獲得した1チームが昇格とする起案もありました。その時に理事会は、やはりJリーグは年間勝ち点をリスペクトすべきということが過去からの考え方であり、自動昇格とプレーオフによる昇格が1と1という同数はあり得ないとし、必ず年間勝ち点で昇格する数の方が多くなることを求めました。これまでの議論の下敷きの中にも、年間の戦い方をリーグ戦においては重視するという考え方が土台にありましたが、今後、場合によってはJ2内のプレーオフでも年間勝ち点をひっくり返して上がることを是とするのかどうかの議論もしっかり踏まえた上で、その延長線上にある入れ替え戦の決着の仕方も議論しようということだったと思います。
結論でいうと、1年間かけてしっかり議論して、あるべき姿を考えるので、2022シーズンは従来方式を暫定的な位置付けで踏襲するということを、最終的には全会一致でお認めいただきました。
質疑応答に入る前にもう一つお話します。今日、本件を議論した後に私と木村専務理事で首相官邸に行き、岸田総理と直接お話しをする機会をいただきました。NPBの斉藤コミッショナーと一緒に、野球・サッカーともに新規の外国籍選手の入国をお認めいただけていない状況であることから、選手・家族、そしてコーチングスタッフの今後の入国緩和を要請いたしました。こうした話が、両団体にとってとても重要であることは認識しており、改善すべく善処していくというコメントをいただきました。具体的に、いつから緩和されるかは、今後、政府に委ねることになりますが、前向きに検討いただけるということでした。
〔質疑応答〕
Q:制度の思想的背景ということで、年間勝点のお話をされていましたが、上位カテゴリーを優遇するという思想的背景があるのでしょうか。J1を経験したクラブがJ2にも十分いるので、入れ替えは必要ないだろうとか、現行制度の流れの中での思想的背景があれば教えてください。
A:村井チェアマン
これ以上J1経験クラブを増やしたくないということが思想的にあるわけではありません。むしろ逆で、いわゆる枝葉が高く天まで届くのがJ1、それを支える幹はJ2、根っこを貼るのがJ3だとすると、太い幹であることはJリーグの全体の成長にとっては極めて重要ですので、J2で高みを知っているクラブが多いことは我々にとってはプラスだと思っています。なるべく上げにくくしたい、J1経験チームを減らしたいということがあるわけではないです。むしろ逆だろうと思います。
上がりやすさ、上がりにくさというのは言葉として非常に誤解を招きやすいのですが、自動昇格3より2.5の方が落ちにくいのは、数字的には事実です。昇格枠数については、J118クラブの内の3クラブが自動降格だった当時、22枠だったJ2から落ちるのは1、1.5だったと思います。
リーグ全体の公平性、適正性、世界のフットボールの昇降格を見たときに、18分の3に関して修正すべきところで言うと、確かに数字的に落ちにくくする議論がその当時ありました。今回は、むしろ落ちやすい、落ちにくいという思想的な背景というよりは、リーグ戦としてあるべき決着の付け方とはどのようなことかということが、議論の中核だと思っています。
また、確かに過去においてはJ2の6位で上がってきたチームが、昇格して早々に1年で姿を消していくというような、年間を戦い抜く競技力が整わず、早々に降格を繰り返すということが事象としてありました。
先ほど樋口が過去の議論について説明しましたが、この辺りの反省や議論をしっかりと続けてきて最終的にあるべき姿に近づいたかというと、まだ十分な議論を果たせていないというのが今回の結論でした。この辺りのあるべき昇降格の在り方をもう少し議論しようというのが今回の議論でした。数字の制限ありきの議論では全くありません。
Q:そもそものところを教えていただきたいのですが、2017年議論で今回の形になった理由。引き分けの場合はJ1クラブが残留、決定戦はJ1クラブのホームで開催することになった理由、経緯を教えてください。
A:フットボール本部 黒田本部長
2017年に3枠から2.5枠にするときに、ご説明した「従来の方式」にしています。当時は世界的に見てJ1の降格率が高いということ、J2の3枠目の昇格クラブが翌シーズンJ1で戦うもののすぐに降格してしまうこと、さらに加えるとしたら、J1のクラブでACLに出場クラブがJ2に降格することを心配し、ACLに全力で望めず、その結果ACLで優勝できなかったということが続いていました。それをもって、3枠から2.5枠にするプレーオフの開催方式について議論しました。その結果J2の3位から6位の勝者とJ1の16位が対戦する形で大会を設定したというのが当時の決定です。
Q:2012年の時のことをお伺いします。勝敗の決定をPK方式ではなく、引き分けの場合は上位が勝つということにしたそもそもの理由はどういった経緯でしょうか。
A:フットボール本部 黒田本部長
J2の3位から6位で昇格プレーオフを行ったのは、J2リーグの中での終盤の盛り上がりを作るということからでもありました。一方で、J2で言えば42節、1年をかけて戦ってきた結果としての年間勝点が尊重されるべきであろうということから、同じJ2のカテゴリーの中での3位から6位の戦いでは、引き分けになった場合は年間で勝点を得た上位チームが勝ち残るべきという議論がありました。
Q:そのうえで、今回、従来通りの方式であっても会場は中立地にするという議論は出なかったのでしょうか。
A:村井チェアマン
理事会では実行委員会で絞られた4つの議論を土台として議論をいたしました。ありとあらゆるパターンが存在しますが、議論のアンケートをとって絞られていく中で、そうした議論は残らなかったということであると思います。
Q:アンケートを2回とられたと村井チェアマンはおっしゃいましたが、アンケートの結果の詳細は教えていただけないでしょうか。どのくらいの割合でどういった意見が出たかを、可能であれば教えていただければと思います。
A:村井チェアマン
1回目のアンケートは全体的な議論の前に、クラブの考え方として出していただきました。2回目は、他のクラブの意見や実行委員会でのコメントを踏まえて修正したものを加えて提出していただきました。一つのクラブでも途中のプロセスで意見が変遷してまいります。また、議論のファシリテーションも1回目と2回目では前提が違ったりします。アンケート結果だけが独り歩きするのは大局観を欠くと思いますので、内容は非公表とさせていただきます。本日開示できることは、実行委員会の中では、従来方式とし議論を続ける案が一番多かったということです。そして、従来から変えない方式と変える方式で言うと、変えない方式の方が、変える方式よりも多かったということだけお伝えさせていただければと思います。
Q:首相官邸に出向かれて入国の件で色々話されたということですが、開幕が迫る中でなかなか監督や選手が入国できないケースがあり、クラブにとっても切実なところもあると思います。新型コロナウイルスの状況や政策にもよると思いますが、具体的にいつぐらいから入国に向けた準備ができそうでしょうか。昨年のようにJリーグバブルでやっていくという見通しはこれからだと思いますが、具体的な見通しがあれば教えてください。
A:村井チェアマン
ピークは越えた感があるのかもしれませんが、国内での感染数はまだ各最多を更新するような状況が続いていますので、我々サイドから具体的な日時を示して、いつまでに入国させてくださいというようなことを、時期を示してお願いすることはありませんでした。また、総理からもいつまでに緩和しますという具体的な条件提示はありませんでした。ただ、クラブとしてはきわめて切実な問題であることは事実で、我々にとって大変大きなテーマであることをお伝えし、ご理解いただいたと思います。総理は、3月には何とか感染が終息の方向に めどが立ってくれれば良いというような言い方をされていたので、何カ月もかかるということではないと期待はしています。
Q:鈴鹿ポイントゲッターズの件なのですが、2月28日にもう一度理事会がありますが、JFLから報告があった場合、Jリーグで開示したり、議論の結果を我々にお伝えいただくような場所はあるのでしょうか。見通しも含めて教えてください。
A:鈴木本部長
本日の臨時理事会は議題が絞られていましたので、特に報告はありませんでした。先般JFLの理事会も行われ、途中経過の報告等を受けております。その報告も踏まえて、2月28日の理事会で審議するかしないか、内部で調整中ですので、現段階で必ず理事会に付議する、付議しないと申し上げることはできません。一旦それを目途に資格に関して検討するということになっていますので今後調整したうえで、理事会で対応していきたいと思っています。
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