【 JFAパートナー企画#6 】「24時間365日、ポケモンのことを考えている会社」は、なぜJFAと契約したのか。
【©︎JFA】
ポケモンとサッカー。
一見無縁に思える両者が契約を結んだ背景には、目指す未来の一致がありました。
今回は、株式会社ポケモンのイベントディレクター 山際潤一さんと、JFAの高井康隆マーケティング部部員さんに、JYDパートナー契約の締結によって広がった可能性についてうかがいました。
JFAキッズアンバサダーであるストライカーポケモン『エースバーン』を挟んで、 左に株式会社ポケモンのイベントディレクター 山際潤一氏、右にJFA マーケティング部部員 高井康隆 【©︎AZrena】
子どもから大人まで魅了するポケモンの強み
ーJFAとの協業は、「社会のためになる取り組み」という観点からのものでしょうか?
山際:仰る通りです。今回の取り組みについて、実は『スポーツ』という観点からJFAさんに辿り着いたわけではないのです。
スポーツに限らず、子どもたちや社会のためになる取り組みについて日々新しい試みを模索する中で、JFAさんが子どもたちに向けたサッカーの普及活動をしていることを知りました。
個人的にJFAさんといえば、代表戦や天皇杯などの大会運営・代表選考をされているイメージが強くありましたが、サッカーの裾野を広げる活動にも力をいれられているのだなと。
ーサッカー普及の活動に、どのような関わり方ができると考えられたのでしょうか?
山際:ポケモンには、『ストライカーポケモン』という分類のエースバーンがいます。「エースバーンとJFAさんの活動を組み合わせたら、これまでにない面白いことができるのではないか」と思い、JFAさんにご連絡させていただいたのがきっかけです。
一般的にキャラクタービジネスは、「20年経つと2周目に入る」と言われています。ポケモンは単なるキャラクタービジネスではないのですが、ファンになってくれた子どもが大人になり、そのお子さんが親御さんの影響を受けて同じポケモンを好きになる。この循環が繰り返されるんですね。
ポケモンも25周年を迎えて、会社としての知名度やブランド力は上がってきました。その中で、これまで応援してくださった方々への感謝も込めて、社会に貢献していきたいと考えています。「子どもたちのために」「社会のために」という思いが同じJFAさんとともに、パートナーとして歩んでいきたいです。
ーポケモンさんとの協業を通じ、子どもたちが新しいことを始めた事例はこれまでにもあるのでしょうか?
山際: ポケモンをきっかけにして、子どもたちが何かを始めた事例はこれまでにいくつもありました。体を動かすことやサッカーを始めることに対しても、必ずお役に立てると考えています。
ーJFAとしては、ポケモンさんからお話を伺ってみていかがでしたか?
高井: ポケモンさんとのご縁をいただき、とても嬉しく思っています。
JFAとしてサッカーの裾野を広げる活動を行なう中で、まずは外に出て体を動かすこと、ボールを使って友達と遊ぶことを楽しいと思ってもらえる機会をつくることが大切だと考えています。そのため、子どもたちに向けた活動の中で、ポケモンさんのお力を借りることによって、その機会の体験価値をより楽しいものにできるのではないかと期待しています。
また、ポケモンは日本だけでなく、世界でも人気があり、子どもが大人になっても好きで居続けられる存在なので、そういった点でも、ポケモンさんと一緒にサッカーとの繫がりを長期的に感じてもらえることを目指して活動をしていきたいと思っています。
ポケモンとJFAの取り組みの中心となるストライカーポケモン「エースバーン」 【©︎AZrena】
第一はポケモンを末永く存在させること
山際:実は、最初からビジネス目線での直接的な利益は求めていません。
それよりも、「エースバーンらしい取り組みをしよう」ということですね。その方が、私たちの最大のミッションである「ポケモンを末永く存在させること」につながると考えたからです。
所謂ビジネスはもちろん大切ですが、JFAさんのサッカーに対するお考えと同じように、われわれも子どもたちにポケモンを好きになってもらい、なおかつずっと好きでいてもらうことも同じように大切だと考えています。
そのためには、一匹一匹のポケモンの魅力を知ってもらう必要があると思っています。JFAさんと協力することで、『ストライカーポケモン』という特徴を活かしながら、エースバーンの魅力を伝えることができるのではないかと考えました。
エースバーンは、認知度も人気も高いポケモンです。現在放送中のテレビアニメの主人公が連れていることに加え、ゲームでも最初に選ぶポケモンから進化します。
ですが、JYDの取り組みを通して初めてエースバーンを知る子どもたちももちろんいます。サッカーをきっかけにエースバーンを知ってくれた子どもたちが、サッカーを続けていく過程でエースバーンのことを覚えていてくれたら嬉しいですし、好きになってくれたとしたら、それが何よりの成果と言えるかもしれません。
JFAさんとのパートナーシップも同様に長期的な期待を込めて取り組んでいます。
ー方向性を一致させ、長期的な目線で取り組んでおられるのですね。
高井:そうですね。ポケモンさんとは、エースバーンにJFAキッズアンバサダーとして子どもたちのサッカーを通した体験価値の向上のための取り組みに参画いただくことや、キャラクターのプロパティを使用させていただくことを主な内容としたJYDサポーターというJYDパートナーシッププランで契約を締結させていただいております。
山際:取り組みを通じて、JFAさんの社会活動の役に立つことができ、子どもたちの健やかな成長にも貢献できます。ポケモンだけが得をすることを善しとしない、弊社らしい取り組みだと思います。
【©︎AZrena】
エースバーンを子どもたちの憧れにしたい
高井:主な活動としては、『キッズ巡回指導』と『キッズフェスティバル』があります。
『キッズ巡回指導』は、47都道府県のサッカー協会と協力して実施している地域密着型の活動プログラムです。キッズリーダーと呼ばれる資格を持ったコーチを地元の幼稚園や保育園へ派遣して、サッカー教室を行なっています。サッカーをやったことのない子どもたちも多くいるので、簡単なボール遊びからはじめて、「サッカーが楽しい」と思えるきっかけ作りを目的とした活動です。
巡回指導の様子 【©︎JFA】
キッズフェスティバルに参加するエースバーン 【©︎JFA】
ーこうした活動の中で、エースバーンはどのような役割を果たしていますか?
山際:これらの活動でのエースバーンの役割は、サッカーの楽しさに気づいてもらったり、サッカーを続ける動機づけをすることです。
そのためにも、エースバーンは子どもたちの憧れの存在でなければなりません。フェスティバルのキックオフセレモニーを任せていただいたり、巡回指導ではキッズリーダーと協力しながらカッコイイ姿を見せられるようにするなどしています。
高井:今後は、子どもたちがエースバーンと一緒に体を動かせるプログラムも作っていきたいですね。今はコロナ禍で制限もあり、エースバーンと子どもたちが直接的なコミュニケーションはできていませんが、今後実施できたら良いなと思っています。
【©︎AZrena】
高井:エースバーンとの出会いをきっかけにサッカーを始めた、という選手が出てくれると嬉しいですね。
子どものころ、アニメやゲームに影響を受けた経験は誰しもあると思います。巡回指導にエースバーンが参加した際、キッズリーダーの方から「エースバーンが来てくれたおかげで、子どもたちがいつもよりも前向きにサッカーに取り組んでいた」というお声もいただいています。
また、「ようこそエースバーン」とバナーが掲げてあったり、ポケモンのぬいぐるみをたくさん置いてお出迎えしてくれたり。どこの幼稚園、保育園でもエースバーンがくることをとても楽しみにしてくださっているのをみると、この活動が受け入れられていると感じることができてとても嬉しく思います。
ーポケモンさんとしては、いかがでしょうか?
山際:今後は、もっと訪問する地域を広げていきたいですね。現在は都市部が活動の中心になってしまっており、全国同じように機会を提供できていません。JFAさんや各都道府県のサッカー協会さんの力をお借りしながら、エースバーンが全国各地を訪問できたら良いなと思っています。
高井:小学校に進学する段階で、サッカーやボール遊びから離れてしまう子どもたちが多くいるという声を全国の現場で耳にします。そのため、「子どもから大人まで」幅広く愛されているポケモンの力を借りながら、サッカーの普及活動を進めることができればいいなと感じています。
一方で、ポケモンは知っているけど、エースバーンというキャラクターを知らないという大人の方は多くいらっしゃいます。普及活動は都道府県サッカー主体となって活動していることが多いので、「エースバーンを派遣できますがどうですか?」と募集をかけても、エースバーンを知らないがゆえに手が挙がらないこともあると感じています。
活動の回数を重ねて、情報を発信し続けることで、ゆくゆくは全国から手が挙がるようにしたいと考えています。
山際:47都道府県のサッカー協会さんに、地元のネットワークを通じて幼稚園などにお声掛けしていただけることはとてもありがたいです。そのおかげで、私たちがこれまで十分にアプローチできていなかった地域にエースバーンが行き、子どもたちと触れ合う機会を作り出すことができます。
弊社の社是は、『ポケモンという存在を通して、現実世界と仮想世界の両方を豊かにすること』。そのために今何をすべきなのかを常に考えながら、JFAさんとの取り組みも続けていきたいですね。
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