日本プロ野球におけるレギュラーシーズン勝率の決定要因

日本スポーツ産業学会
チーム・協会

【野球イメージ】

リーグ別に解析した結果を2点に要約

プロ野球選手個人のパフォーマンスを評価する研究が、近年、日本においても進んでいますが、投手力や得点力など球団別のデータを用いて、これまでに、レギュラーシーズン高勝率の決定要因が2つのリーグの間で異なるかが明らかにされていません。

この点を明らかにするために、本研究では、両リーグの救援投手陣の力量差が注視されている点に留意して、レギュラーシーズンの勝率決定要因を計量的な手法でリーグ別に解析しました。2013-2020年シーズンの球団別のデータを用いた解析の主な結果は、次の2点に要約されます。双方とも球場の大きさに関連しています。

第一は、投手の「奪三振数/与四球数」の上昇が勝率を高めるインパクトはセ・リーグよりもパ・リーグの方が大きいことです。他方、1試合あたり四球数が1個増加する時の勝率に対するインパクトが1試合あたり安打数1本増加のそれを上回っているセ・リーグ球団は、投手のパフォーマンス悪化を攻撃力アップで補うことができます。

第二は、1試合あたり盗塁数の増加が勝率の上昇に寄与しないことです。解析の結果は、パ・リーグの一部の球団は盗塁を戦術として選択可能であるものの、セ・リーグ球団は盗塁を戦術として選択しない方が良いことを示唆しています。

このようなリーグ間の差異が見出された理由として、相対的に小さい球場における試合数が多いセ・リーグ球団の方が、ホームランへの依存度が大きいことを挙げることができます。1試合あたり被本塁打数の少なさが高い勝率の決定要因であることを重視し、1試合あたりの被本塁打数を減らすような配球をセ・リーグの投手が工夫すると良いと考えられます。

熊谷成将 西南学院大学経済学部
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

日本スポーツ産業学会は「スポーツ産業の健全な発展に寄与できる学会」「産官学の共同による開かれた学会」「国際性豊かな学会」等を中心テーマとし、平成2年に設立されました。 当学会が運営している「SPORTS BUSINESS ONLINE」は、論文誌「スポーツ産業学研究」、情報誌「Sports Business & Management Review」に続く第3の情報媒体として2021年に開設したWebジャーナルです。 コンセプトは「スポーツビジネスのあらゆる情報が集結するオンラインジャーナル」。 本学会が主催するセミナーや学会大会などの情報(案内・プログラム・講演録)や、論文記事情報などを中心に様々な情報を発信しています。

新着記事

編集部ピックアップ

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着コラム

コラム一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント