ダートの新馬・未勝利戦を圧勝する馬が増加中!?
【2021/12/18 中山6R 新馬戦 1着 11番 タヒチアンダンス(1番人気)】
現3歳世代新馬・未勝利戦(ダート)タイム差ベスト11
■表1 【現3歳世代新馬・未勝利戦(ダート)タイム差ベスト11】
明け3歳になってからランクインした馬はいないが、1月22日の中山ダート1200m新馬戦ではクールライズが1.5秒差で優勝(12位タイ)。また集計期間外にはなるが、1月29日・中京ダート1200m未勝利戦では初ダートのバトルクライが2着に1.7秒差をつけるなど、年が明けてからもダート戦で圧勝を飾る馬は出ている。
新馬・未勝利戦(ダート)で2着馬に1.0秒以上の差をつけた優勝馬数
■表2 【新馬・未勝利戦(ダート)で2着馬に1.0秒以上の差をつけた優勝馬数】
この表でひとつ気になったのは、現3歳世代の対象馬(2着と1.0秒差以上の優勝馬)は上位人気に推された馬が多くなっていることで、全39頭中30頭は1〜2番人気だった。年によってブレはあるものの、全体としては穴馬が圧勝するケースが減っているとみていいだろう。
新馬・未勝利戦(ダ)優勝馬平均人気、単勝平均配当
■表3 【新馬・未勝利戦(ダ)優勝馬平均人気、単勝平均配当】
新馬・未勝利戦(芝)で2着馬に0.6秒以上の差をつけた優勝馬数
■表4 【新馬・未勝利戦(芝)で2着馬に0.6秒以上の差をつけた優勝馬数】
もし芝でも圧勝馬が増えているのであれば、たとえば有力馬が分散する傾向が強まったとか、完勝態勢に持ち込んでも最後まで気を抜かせずに追うジョッキーが増えた、など考えられることはいくつかあったが、これらは当てはまらないことになる。
この「ダート戦だけ」ということから思い当たるのは新種牡馬だ。今年、ダート戦で活躍が目立つ新種牡馬といえばドレフォンとArrogate(米国繋養、2020年死亡)。ダートの新馬・未勝利戦で1.0秒以上の差をつけて勝った馬を調べると、種牡馬別の現3歳世代トップはシニスターミニスターの5頭だったが、これに次ぐ2位がドレフォンの4頭、そして3位がArrogateの3頭だった。もちろん要因はこれだけではなかろうが、両者の産駒だけで全39頭中7頭を占めているのだから非常に大きい。今後、この中から大物が誕生する可能性も十分にあるだろう。
新馬・未勝利戦(ダート)を1.0秒差以上で勝った主な活躍馬
■表5 【新馬・未勝利戦(ダート)を1.0秒差以上で勝った主な活躍馬】
以上、ダートの新馬・未勝利戦を圧勝した馬についていくつかデータを調べてみた。現3歳世代に該当馬が多いことはデータから裏付けられた一方で、芝の新馬・未勝利戦は例年並みという数字だった。ダートで好結果を残しつつある新種牡馬・ドレフォンやArrogateの影響はありそうだが、現状でははっきりとしたことは言いづらい。現3歳世代の今後や、この夏以降にデビューする2歳世代の成績もみていきたいところだ。
文:浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。
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