早大卒のボクシング日本王者・岩田翔吉「2022年、世界を獲る!」
【競技スポーツセンター】
聞き手:石井昌幸競技スポーツセンター所長、学生スタッフ・市原健(教育学部3年)
11月6日、第44代日本ライトフライ級王者となった岩田選手 【早大ボクシング部】
小学校4年生のときから、キックボクシングやボクシングをやっていたのですが、パンチのほうが得意だったので、中学2年ときにボクシングに完全に転向しました。
僕は田中恒成選手(※1)、井上尚弥選手(※2)の弟・井上拓真選手(※3)が同級生かつ階級も同じで、かなり強い選手が集まった刺激のある世代に恵まれました。高校3年生のときの高校総体では、準決勝で田中選手を、決勝で井上選手を倒して優勝できて、忘れられない記憶となっています。
プロボクサーとなって世界チャンピオンになる、ということは子供のころからの目標でしたので、早稲田卒業のタイミングでプロに転向することは、入学前から決めていました。
※1)元WBO世界ミニマム級王者。元WBO世界ライトフライ級王者。元WBO世界フライ級スーパー王者)
※2)「モンスター」の異名を取るWBAスーパー・IBF世界バンタム級王者。元WBC世界ライトフライ級王者。元WBO世界スーパーフライ級王者。
※3)WBOアジアパシフィックスーパーバンタム級王者。元WBC世界バンタム級暫定王者。
芝力人選手にパンチを打ち込む岩田選手。9回TKO勝ちした 【早大ボクシング部】
早稲田のラグビーや駅伝を子供のときから見ていて、エンジのユニフォームも格好いいなと思っていて、大学は早稲田以外に考えられなかったです。高校のライバルたちはすぐにプロに転向しましたが、僕は引退後の仕事のためにも大学を卒業してからプロになろうと思い、早稲田に入りました。
――早稲田大学を選んでよかったなと思うことは何でしょうか。
様々な知識を身に付けられたことです。栄養学やスポーツビジネスのことなど、トレーニング以外のことでもボクシングに生かせる、ということを幅広く学べました。現役を退いた後のことになりますが、キャリアに生かせると思っています。
――大学時代はどのような練習をしていたのですか。
今の17号館を拠点に筋トレなどフィジカルトレーニング、サンドバックを叩いて、スパーリングをやって、江戸川公園から目白通りを椿山荘まで上がって戻ってくる3キロぐらいのコースも走ったりしていました。
岩田選手は石井ゼミ出身。石井所長から早稲田スポーツ公式グッズのトレーナーがプレゼントされた 【競技スポーツセンター】
大学での在籍は重なっていませんがレスリングの五輪金メダリスト・須崎優衣選手(スポーツ科学部4年)とも交流があります。ただ、まさか同じ石井昌幸ゼミとは知りませんでした。一学年上の競泳・瀬戸大也選手とも仲良くさせてもらっています。
――大学時代に記憶に残っている試合は?
ボクシングの早慶戦というと、一般の方はあまりイメージがないかもしれませんが、「伝統の早慶戦」に出るということに本当に憧れていて、最優秀選手賞をいただけたのですが、そのことが記憶に残っています。
早稲田スポーツミュージアムで流れる学生時代の岩田選手の写真 【競技スポーツセンター】
僕は大学を卒業してプロの世界に入りましたが、学問との両立は大変だと思います。しかし、「W」を背負ってスポーツで活躍するということは、日本スポーツ界全体にもよい影響を与えることだと僕は信じてやっているので、後輩たちはその大きな可能性を信じて、トレーニングに励んでほしいですね。また、僕のゆくゆくの夢として早稲田大学ボクシング部の監督になりたい、という気持ちがすごくあります。やはり早稲田のボクシングは強くあってほしいですね。
王者を決めた試合には、ボクシング部の後輩たちがのぼりを作って応援に駆け付けた 【早大ボクシング部】
自分の中で必ずそこにたどり着きたいなと思っているのが、格闘技の殿堂と言われている米・ラスベガスの「MGMグランド・ガーデン・アリーナ」で試合をすることです。日本人選手がアメリカの本場で結果を出すのは、一昔前までは不可能に近いと言われていた時もありました。アメリカでコンディションを作るというのは、時差やトレーニング環境など難しい問題はあるのですが、最近は活躍するケースが増えてきています。早稲田大学ではボクシングで世界を獲っている人はいないので、そこにすごくモチベーションを感じていて、必ず早稲田初の世界チャンピオンになってやろうという気持ちで練習しています。
――2022年の抱負は?
まずは2022年に世界チャンピオンになります。必ず、早稲田史上初の世界チャンピオンとなって、多くの方にボクサー・岩田翔吉を知ってもらい、さらにアメリカを拠点にして、自分がどこまで行けるか、「何階級制覇」といったものにも挑戦していきたいと思っています。世界チャンピオンになるのであれば、アメリカでも日本でもあまり変わらないことなのですが、ラスベガスはボクシングの本場であり、ナンバーワンのエンターテインメントの場所なので、そこで皆が入場から楽しめて熱狂するようなファイトができるボクサーになりたいですし、そこまで自分は行けると信じています。
(左から)ボクシング部・岩崎仁監督、岩田選手、石井所長 【競技スポーツセンター】
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