【新門司NOW】暗雲を切り裂け!諦めない背番号2

ギラヴァンツ北九州
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崖っぷちだ。前節のアウェイ・ジェフユナイテッド千葉戦に敗れ、J2残留圏内とは勝点2差となり、残すは2試合。もし、次節のホーム最終戦・栃木SC戦に勝てなかった場合、他会場の結果によってはJ3降格が決定してしまう。
この瀬戸際で、多くのサポーターが待望していた男が存在感を増している。生粋のムードメーカー・新井博人だ。ルーキーイヤーの2019シーズンこそ、J3優勝&J2昇格に大きく貢献したが、昨季と今季は打って変わって大苦戦。満足に出場機会を得られない日々が続いたが、第39節レノファ山口FC戦でついに今季初メンバー入り&初出場を果たした。
個人、チーム共に苦難となった今シーズン。出場機会を得るまで、そして運命の残り2戦に向けて、今の気持ちを聞きました。



「やっとっていう感じでしたね!」―初のメンバー入りを果たした時の気持ちについての質問に対する答えだ。どんな状況でも笑顔を絶やさない根っからの明るい性格だが、ようやく屈託のない笑顔を見られたような気がした。どれだけポジティブな性格であっても、シーズンの大半を過ぎてメンバー入りが一度もなければ、普通は気持ちが切れるものだろう。それでも、新井選手は諦めなかった。

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「ここ最近、練習中からずっと調子がいいのはわかっていて、練習試合でも良いプレーをできている自覚はあったので、メンバー入りできた時は率直に嬉しいという気持ちと、出たら気負わずにいつも通りプレーしようというのは意識していました。
今シーズンは、いくら練習してもメンバーにすら入れなくて、正直腐るじゃないですけど『もう無理かな…』という時もありました。けど、ミクスタで上から試合を観ていて、味方が点を取ったりして皆が喜んでいるシーンとかを見ると、やっぱり僕もピッチで一緒に喜びたいと思った。その度になんとか自分の気持ちをもう一度奮い立たせられたんです。『よし、今週も頑張ろう!』って」

「あと、やっぱり僕はサッカーがめちゃくちゃ好きなんですよ。もちろん、悔しかったり落ち込んだりしますけど、サッカーをしていたら楽しいし、もう出られないなら割り切って楽しんでやろうかなっていうのもあったんです。そうすることで、いいプレーもできて、メンバー入りにもつながったんだと思っています。そういう気持ちでいたことは、今までと違う部分でよかったことなのかもしれません」

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人前では苦しんだり悩んだりする姿を見せない彼ならではの”自己昇華”を図り、シーズン終了間際にチャンスを掴み取った。だが、この長期間の苦難を乗り越えられたのはサポーターの支えや励ましがあったことも自覚している。

「あまりSNSで発信はしない方なんですけど、誕生日だったかな、一回メッセージを出した時にたくさんのコメントをいただきました。『頑張って』とか『早く試合に出て』とか。実はもう皆さんに忘れられていると思っていたので、嬉しかったし励みになりましたね」

「試合に絡まないと毎日が本当に面白くないんです。同じ日常を繰り返して、刺激もあまりなくて…。だから試合に出て刺激も受けたいし、喜びたかった。山口戦はインアウト(途中出場からの途中交代)しましたけど、悔しいというか嬉しいという感情が強かった。出られたこと、得点が入った時に皆と喜べたこと…やっとチームの中に入れたという気持ちになれました。皆と競り合える中にいられることが嬉しかった」

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時間はかかったが、確かな一歩は踏み出せた。次は自らのプレーで勝利を呼び込むことを目指す。

「次の試合でメンバー入りできるのかはわかりません。ただ、出られたら今までの悔しさとかをプレーにぶつけて、勝って残留できたら苦しかった今年一年は報われるのかなって。今はそれだけが目標です。自分の最大の力を出して残留を決めて、皆で喜びたいですね。
そして、やっぱり勝利のダンスをしたいです!それで暗い部分を明るくして…。ホームで今年踊れてないですから、最後に皆で踊りたいですね!」

2018年末、重苦しい雰囲気に包まれていたクラブを、ひまわりの被り物がチームで(日本で?)一番似合う男は、わずか1年で一変してみせた。再び立ち込める暗雲を切り裂くのは、唯一無二のポジティブで真っすぐで明るい心、そして諦めない精神を持つ背番号2の存在かもしれない。

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著者プロフィール

イタリア語で"ひまわり"という意味の「Girasole」と"前進する"という意味の「Avanzare」を組み合わせた造語。ひまわりは、ホームタウン北九州市の市花で、太陽に向かって力強く伸びていく元気を象徴する。「Girasole」は、本来「ジラソル」と発音するが、ここでは「ジラ」部分を「ギラ」と読み、太陽の輝きと躍動を想起させる強い語感に。「北九州から、日本、アジア、そして世界へと飛躍すべく、常に成長・前進を続ける光り輝くチームであり続けたい」「サポーターや地域が輝き、元気になる、その象徴でありたい」という願いが込められている。

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