【新門司NOW】先制の歓喜の裏で…”緊急DF会談”で語られたこと

ギラヴァンツ北九州
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【©GIRAVANZ】

前節、10戦ぶりの白星をレノファ山口FCとの『関門海峡ダービー』でもぎ取った。決勝点を生んだ椿直起選手や高橋大悟選手(※高は梯子高)には当然大きなスポットライトが当たったが、山口の終盤の攻撃を最後まで跳ね返し続けたGKと最終ラインの奮闘ぶりも、同じくサポーターの皆さんの胸を打ったのではないだろうか。
そんな彼ら、あの厳しい状況を無失点で耐え凌げた背景に、ある印象的なシーンがあった。高橋選手の先制ゴールが決まったあと、まるで失点した後のように厳しい表情で言葉を交わしていたのだ。時間にして2分弱、ピッチ上での”緊急DF会談”で何を話していたのか、昨日のリカバリー終わりに聞いてみた。

田中 悠也選手「先制したあと、最初は僕と貴志くんと仁くんで話をしていたら、健太くんも入ってきて。なぜか(野口)航くんは来なかったけど(笑)。とりあえず残り15分の試合の進め方、終わらせ方について話しました。絶対に勝たないといけない試合だったし、一回後ろは冷静にやろうと。だから終了のホイッスルが鳴ったあとは、貴志くんが飛びついてきたり、とにかく皆で喜び合いました」

河野 貴志選手「ホームのSC相模原戦で先制してもらったのに、それを守り切れずに逆転されたこともあったので、なるべく冷静に、冷静に、っていうことをお互い意識して。それまでは得点した後に僕たちも後ろで抱き着いて喜びあったりしてたんですけど、昨日は抑えましたね。それこそ、ホームでの東京ヴェルディ戦とか相模原戦は得点したあと嬉しすぎて泣きそうになっていたのに、山口戦ではめちゃくちゃ冷静だったんですよ」

福森 健太選手「相模原戦で先制後にすぐ失点したり他にも痛い失点の仕方が多くて、その時も後ろは後ろでしっかり声をかけてやっていたんですけど、頑張り方が統一できていなかったというのがあって。先制してもちろん嬉しかったですけど、勝ち切ることが大事だと思っていたし、ちょうどその時近くにいた後ろの選手たちでメンタルの部分と守備のやり方を確認して、それを前に伝えようということで話していました」

生駒 仁選手「最初に話したのは、後ろの僕たちが崩れないでやろうということ。あとは時間が時間だったので、やることをはっきりして、シュートに行くのかキープするのかを後ろからしっかり声掛けしていこうということですね。得点した直後に失点することもあったので、同じことは繰り返さないように皆意識していて、それで話すことになったんだと思います」


後半ATや先制直後の被弾という手痛い経験をしっかり活かし、誰から指示を受けるわけでもなく、ピッチ上で意思疎通をして”無失点”という満点回答を出して見せた。
しかも、河野選手曰く「岡さん(岡村和哉選手)が入って5枚になる感じもしていたので、そうなった時にも皆で臨機応変にやっていこう、中をしっかり固めて外に外に、とやっていこう」ということまで話しあっていたのだそうだ。チームとしての確かな成長を感じた。

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ただ、ゴールを割られそうな危ないシーンも多くあったのは事実。

福森選手「最後は後ろを5枚にしたり、やり方を変えたこともあると思うんですけど、なんですかね…。やるべきことをやったとしても、入る時は入るし、入らない時は入らないもの。山口戦でも終盤に入ってもおかしくない場面もあった。ひょっとしたら運という要素かもしれないですが、その運をつかめるように、日頃の練習や試合中のああいう話とか、やれることを皆でしっかりやっていかないといけないと思っています」

やれることをやる―シンプルだが、ここからさらに胃がキリキリするような厳しい戦いが続くと予想される中で、最も重要なことかもしれない。
そして、残り3試合、とにかく勝点を一つでも多く積み重ねるには、守備陣の踏ん張りが不可欠なのは間違いない。

生駒選手「やっぱり押し込まれる時間とか苦しい時間が多くなるとは思うんですけど、GKやDF陣が崩れたらチームも崩れると思うので、そこは試合前にも皆で話しています。どんなことがあっても僕たちが崩れないという意識を強くもって臨んでいきたいと思っています」

田中選手「ゼロに抑えたら負けることはないし、勝点は取れるので、とにかく失点しないことを意識してやります」

河野選手「後ろの僕たちがブレたらチームは崩れてしまうと思います。哲平さん(上杉GKコーチ)にも言われていますが、常に声掛けをして、集中してやり続けること。そうすればゼロに抑えられる自信はあるので」

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今回のミニインタビューの最後に、河野選手がサポーターの方への感謝を口にしていた。
「本当にサポーターの存在が大きかったし、おかげで最後まで頑張れました。勝ったあと、皆さんがあんなに喜んでくれていたのを見ると本当によかったと思ったし、もっと頑張ろうと思えました!」。

山口戦の勝点3は、この状況でも諦めずゴール裏を埋めつくしてくれたサポーター、そんな皆さんに勝利を届けようと最後まで闘い続けた選手たち、その両者の気持ちが呼応してできたパワーの結晶だったように思う。終盤の相手の猛攻時、選手の視線の先に映る黄色一面のゴール裏はどれだけ心強かったことだろう。

運命を左右するラスト3ゲーム、そのうち2つは遠方のアウェイで、ホームや先日の山口戦のような雰囲気ではプレーできないかもしれない。だが、山口でのラスト15分を経てまた一つ逞しさを増したDF陣なら、きっとチームを救い、サポーターが待つ北九州に勝点を持って帰ってきてくれるはずだ。
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著者プロフィール

イタリア語で"ひまわり"という意味の「Girasole」と"前進する"という意味の「Avanzare」を組み合わせた造語。ひまわりは、ホームタウン北九州市の市花で、太陽に向かって力強く伸びていく元気を象徴する。「Girasole」は、本来「ジラソル」と発音するが、ここでは「ジラ」部分を「ギラ」と読み、太陽の輝きと躍動を想起させる強い語感に。「北九州から、日本、アジア、そして世界へと飛躍すべく、常に成長・前進を続ける光り輝くチームであり続けたい」「サポーターや地域が輝き、元気になる、その象徴でありたい」という願いが込められている。

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