【マッチプレビュー】2021年JFL第29節 いわきFC対東京武蔵野ユナイテッドFC
【©︎IWAKI FC】
前節ソニー仙台FCが敗れたことで、ついにJ3昇格圏の4位以内に王手をかけたいわきFC。今節勝てば、他チームの成績にかかわらず昇格が決まる。
そんな大一番の対戦相手・東京武蔵野ユナイテッドFCは、東京23区及び武蔵野市をホームタウンとするサッカークラブ。1939年に創設された横河電機製作所(現・横河電機)の社内同好会・横河電機サッカー部をオリジンとし、1999年よりJFL参戦。2003年に社内組織から離れ、チーム名を横河武蔵野FCに改称。2009年にはリーグ2位に輝いた。
2015年、Jリーグ参入意思を表明。翌2016年よりチーム名を「東京武蔵野シティFC」に変更し、武蔵野市をホームタウンとしてJリーグ百年構想クラブに認定された。だが、クラブはここから苦境に立たされる。
2017年にJ3クラブライセンスを申請するも、ホームの武蔵野市立武蔵野陸上競技場がJ3基準を満たさず不交付。そこで2019年、5年以内のスタジアム新設を約す施設基準の例外適用要件を用いてライセンス交付にこぎつけ、順位もJ3昇格可能圏内の4位に入った。しかし昇格要件の観客動員1試合平均2000名以上をクリアできず、JFLに残留。その後、5年以内のスタジアム建設のメドが立たないことからJリーグ参入を白紙とし、翌2020年には百年構想クラブからも脱退した。
そして2021年1月。クラブは状況の打開を図る。
運営元の一般社団法人横河武蔵野スポーツクラブは、関東サッカーリーグ1部の新興クラブ・東京ユナイテッドFCを運営する一般社団法人CLUB LB&BRBとの合弁で「株式会社東京武蔵野ユナイテッドスポーツクラブ」を設立。同社が武蔵野シティFCトップチームを運営することになった。
それに伴い、トップチームは名称を「東京武蔵野ユナイテッドFC」と改称し、東京武蔵野シティFCの資格を承継してJFLに継続参戦。東京ユナイテッドFCは新体制の下、純粋なアマチュア社会人チームとして運営されることとなった。
JFL所属で武蔵野地域に基盤を持つものの、J3昇格への道が見えない武蔵野シティFC。大型スポンサーを持ち東京23区からのJリーグ参入を掲げるも、関東サッカーリーグ1部の壁に跳ね返されてきた東京ユナイテッドFC。両チームが互いの存続を懸け、考え抜いた結果の策といわれている。
運営元の合弁に伴い、チームは東京ユナイテッドFCの選手を一部受け入れるとともに、「THE HEART OF TOKYO〜東京のど真ん中で、都民のココロのスポーツクラブに〜」という理念を掲げ、ホームタウンを武蔵野市及び東京23区全域に拡張。現状のJリーグ昇格意思は定かではないが、経営基盤の充実により「東京第4のJクラブ」を目指す日がやって来ることを期待したい。
初対決は昨年10月25日のアウェー。いわきFCは前半14分にMF寺村浩平(現在は奈良クラブにレンタル移籍中)がPKを決め先制。その後も攻め続けるが追加点を取れない。そして40分にFKを決められ、76分にはCKから決勝ゴールを許し1対2で敗れた。セットプレーからの2失点による敗戦。昨シーズン最終節「あと1勝」に泣いただけに、思い返すほどに悔やまれる試合だった。
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試合は14分、左サイドを抜け出したMF岩渕弘人のクロスにFW古川大悟が頭で合わせて先制。41分に追いつかれるも、後半からバスケス・バイロンを投入。72分にバイロンがヘッドで決勝ゴールを挙げ、その後も攻め続けて2対1の快勝となった。
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■「連戦で大事なのはコンディションとメンタル」田村雄三監督
武蔵野さんはおそらく4-4-2で守ってショートカウンターを仕掛けてくる。昨年や前回の戦いのように全員が自陣で守り切ることはないでしょうが、後ろに重いことは変わらないはず。それをどのように崩すか。そして変な奪われ方をしたらやられてしまうので、DF陣はショートカウンターにしっかり対応できる選手を選びたい。そしてセットプレー。前節FKから失点しているので、対応を突き詰めたい。
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土曜日の青森戦を終え、日曜にリカバリーとストレングス。武蔵野さん向けの練習は月曜、火曜の2日のみでした。追い込めない連戦のスケジュールで大事なのは、コンディションとメンタル。なるべくフレッシュな選手を使いたいし、誰が新たに台頭してくるかが楽しみです」
■「どんな形であれ、先制したい」村上佑太アナリスト
警戒すべきはMF石原幸治選手。チーム得点王でスピードがあり、相手の背後を取る動きに長けており、カウンターは要注意。それと両SBがロングスローを投げてきます。それほど上背のある選手はいませんが、直近の試合でもロングスローで何度もチャンスを作っており注意が必要。また前節、ラインメールさんにFKから得点を許しており、今節はセットプレーで絶対にやられないようにしたい。
ここ最近、ホームのJヴィレッジスタジアムで勝てていないことを考えると、先制点がほしいところ。先に点を取れれば気持ちも楽ですし、相手も出てこざるを得なくなる。我々のよさも出せるでしょう。だから、どんな形であれ先制すること。先制して自分達のペースで試合を運べるよう、しっかり準備します」
■目指しているのは、滑り込みの昇格ではない。
現在、16勝7分け3敗の勝ち点55。首位Honda FCと同勝ち点で、消化試合数が1試合少ない2位。そして今節勝利を挙げれば4位以内、すなわちJ3昇格が確定する。ただし、チームが見すえているのは滑り込みの昇格ではない。リーグ優勝、そして「70得点/30失点」だ。
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田村監督は前節と今節、そして週末のFC刈谷戦までの3連戦をトータルで考えた選手起用を明言。GKは前節、射庭康太朗が久々にフル出場し、貴重な経験を積んだ。シーズン開幕から先発を続けてきた守護神・坂田大樹は今節、復帰するのか。
そしてDF陣は前節、ビルドアップに長ける小田島怜、DF陣ナンバーワンのスピードを武器に復調してきた黒澤丈、負傷復帰以降、左足で存在感を示す田中龍志郎が先発したが、メンバーの実力は横一線。中3日となる今節、どの選手が絡むかが注目される。
両サイドは日高大、嵯峨理久の二人が基本だが、ともに前線での起用もオプション。中盤の核は闘志あふれるプレーを見せる山下優人。ここ最近は高い攻撃センスを発揮する宮本英治、前節に先発した黒宮渉、攻撃力のある関野元弥のうち、山下のパートナーを務めるのは誰か。
アタッカー陣は前節、岩渕弘人が2得点、古川大悟、吉澤柊、鈴木翔大、平岡将豪がそれぞれ1ゴールを挙げた。多様な人材がひしめき合う中、今節は誰がスターティングメンバーに入り、誰が交代出場でドライブをかけるのか。そして右サイドを切り裂くMF金大生、バスケス・バイロンの登場はあるのか。
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