30周年を記念した唯一の公式メモリアルフォトブック 制作秘話と写真1枚、1枚に込めた思い【未来へのキセキ-EPISODE 5】
【©KASHIMA ANTLERS】
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クラブ創設30周年を記念して発行された唯一の公式メモリアルフォトブック。
どのようにして、記念となる一冊は作られたのか。制作過程や制作秘話をクラブスタッフが明かす。
鹿島アントラーズが歩んできた30年の歴史をどう紐解くかーー。
9月30日にぴあ株式会社から発売された『KASHIMA ANTLERS 30th ANNIVERSARY BOOK』の制作にあたり、最も頭を悩ませたのがテーマ性だった。
数え切れないほど、膨大な数を記録してきた写真を軸に、誌面を構成することは決めていた。それを年代ごとに区切って、切り取るだけではいささか工夫がない。
何より、これまでタイミングや状況が合わずに、ファン・サポーターの目に触れる機会の少なかった「ストーリーのある瞬間」や「意味のある写真」を紹介したい。
そんな意図の下、キーワードに添って写真をセレクトすることで方向性は決まった。これまた膨大に挙がったキーワードを選定していくと、フットボールにまつわる「11」のテーマで構成することにした。
その時点で、「Extra」となる最後に、スタジアムでいつも一緒に戦ってくれている「12番目の戦士」と、彼らが集うスタジアムにすることも決めた。
【©KASHIMA ANTLERS】
扉に今シーズンの主役ともいえる荒木遼太郎がガッツボーズを決めている写真からスタートしたのは、未来への希望をかき立ててもらうためだ。次ページでJリーグが開幕した1993年5月16日の歓喜を表現することで、一気にタイムスリップしてもらえたらというメッセージを込めた。
また、鈴木満フットボールダイレクターや小笠原満男テクニカルアドバイザーが、ことあるごとに「獲得してきたタイトルよりも、失ってきたタイトルのほうが多い」と口にしてきたように、その姿勢にこそ、アントラーズの真髄は詰まっている。
そのため、栄光だけに目を向けることはなく、悔恨にもスポットを当てた。テーマ2の「SETBACK」で使用した土居聖真が天を仰ぐ表情には、まさに切なさと悔しさ、そして同時に決意すら漂っている。
【©KASHIMA ANTLERS】
明治安田生命J1リーグで優勝した2016年の1stステージで、ベンチの選手たちも含めて抱き合って喜ぶ瞬間は、チームの一体感を感じていなければレンズを向けることはできなかっただろう。内田篤人が引退を決意した2020年8月12日のYBCルヴァンカップで、ウォーミングアップをする彼の姿を写真に収めたのも、いつもとは異なる空気を感じていたからこそだった。
ロッカールームで選手たちが見せる表情、選手同士が熱く語り合う瞬間や抱き合う姿。さらにはたくましさを感じる背中、はたまた無邪気に笑う表情まで、毎試合、毎試合、彼らを追い続けてきたからこそ収められた1枚、1枚がある。
他にも金箔で表現したカバーや20冠の瞬間を掲載した表紙など、こだわりを挙げればキリがないが、長くなりすぎてもと思い、このへんで堪えておこう。
正直、160という限られたページ数のなかで30年という歴史を紐解いていく工程は、うれしい苦悩があった。どのような写真が掲載されているかは、実際に手に取って楽しんでもらえたら。1枚、1枚にストーリーがあり、醸す空気がある。
そこにはきっと、あなただけのアントラーズとのストーリーもあるはずだ。
ぴあMOOK
KASHIMA ANTLERS 30th ANNIVERSARY BOOK
定価:2,800円(本体2,545円+税)
https://book.pia.co.jp/book/b591940.html
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