パの新人王候補をチェック。宮城大弥、伊藤大海、早川隆久の特徴と凄みとは?
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有力候補の3投手は、いずれも例年であれば文句なしのレベル
宮城投手は7月1日時点で9勝、防御率2.10と抜群の投球を見せ、高卒2年目にしてタイトル争いに加わっている。また、伊藤投手もリーグ最下位と苦しむチームにあって7勝を記録し、防御率2点台と素晴らしい活躍を披露。加えて、2020年のドラフトの目玉だった早川投手もここまで7勝を記録しており、前評判通りの堂々たるピッチングを展開している。
いずれも故障なくシーズンを戦い抜けば2桁勝利が見えてくるペースで白星を重ね、防御率も2〜3点台となっているだけに、どの投手も他の年であれば、文句なしで新人王に輝いていても不思議ではないレベルの成績を残しそうな気配だ。今回は、先述した3投手の経歴や具体的な投球スタイルを紹介していくとともに、各種の指標から見えてくる、各投手の大きな長所についても考えていきたい。
伊藤大海投手(北海道日本ハム)
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序盤戦はチームの不振もあって援護や勝ち星に恵まれない時期もあったが、そこでピッチングを崩すことなく安定した投球を継続。その結果、5月28日の中日戦から6連勝と白星がついてきただけでなく、6試合連続で6イニング以上を投げて2失点以下と、投球内容そのものもさらに進化した。
最速150km/hを超える速球を軸に、鋭く落ちるフォークと変化の大きなスライダーで空振りを奪うのが持ち味だ。さらに、ゴロを打たせたい時にはカットボールを交え、打たせて取ることもできる技術を備える点は大きな強みだ。その他にも、チェンジアップ、カーブ、ツーシームといった多彩な球種を持ち合わせており、新人離れした引き出しの多さが安定した投球を実現させている。
早川隆久投手(楽天)
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3月28日の北海道日本ハム戦で6回を無失点に抑えてプロ初登板初勝利を記録すると、4月18日の北海道日本ハム戦から6月6日の広島戦まで自身6連勝を記録。その間のQS達成は8試合中3試合と半数未満だが、かつての田中将大投手のような、「勝てる投手」としての巡り合わせを感じさせもする。中でも、5月16日のオリックス戦ではわずか98球でプロ初完封を挙げるという離れ業を演じ、その優れたポテンシャルを発揮している。
最速で150km/h台に達する速球を軸に、130km/h台中盤から140km/hの高速チェンジアップ、そのチェンジアップに近い球速から鋭く曲がるカットボール、120km/h台の速さでカットボールよりも大きく変化するスライダー、曲がりが大きくブレーキの利いたカーブと、各球種が相乗効果を持つような実戦的な投球スタイルが特徴だ。その完成度の高さを思えば、プロ初年度から活躍を見せているのも納得といえよう。
宮城大弥投手(オリックス)
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今季は14試合に先発して全試合で5イニング以上を消化し、それでいて自責点が4を超えたのは1度だけ。喫した白星も1つのみと、抜群の安定感を発揮している。勝率.900はリーグトップ、防御率と奪三振は同僚の山本由伸投手に次いでいずれもリーグ2位と、各種の数字にもリーグトップクラスの投球内容が表れている。
速球は140km/h台と目を見張る速さがあるわけではないが、横に変化するスライダー、ブレーキの利いた縦に落ちるチェンジアップ、より遅い球速から大きく曲がるカーブと、軸となる3つの球種は、いずれも空振りを奪えるだけの変化量を持つ。異なる球速帯の変化球が全て高いクオリティを備えるため、打者にとっては非常に的を絞りづらい。そうした緩急もあって速球も数字以上の威力を有しており、全ての球で奪三振を狙えるのも強みだ。
指標に目を向けると、それぞれ異なる各投手の特徴が見えてくる
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宮城投手も94.1回で94奪三振と、イニング数とほぼ同数の奪三振を記録。それに加えて、与四球率2.29と水準以上の制球力も備えている。また、一般的に3.50を上回れば優秀とされるK/BBも、3.92とかなり優れた水準に達している。こうした各種の指標からも奪三振と制球の双方を高いレベルで両立していることがわかる。
早川投手は奪三振率が8.47と十分に良い水準ではあるものの、伊藤投手や宮城投手に比べるとこの分野では多少後れを取っている。しかし、早川投手の最大の長所は、なんといっても制球力が非常に優れている点にある。与四球率が1.69、K/BBが5.00と、いずれも素晴らしい数字を記録。新人ながら、既に球界屈指のレベルにあると言える。
新人王争いから、後半戦で一歩抜け出す投手は誰?
今回紹介した特徴や持ち球を把握したうえで今後の登板を見てみると、より具体的な各投手の良さが見えてくるかもしれない。若き好投手たちが見せる圧巻のピッチング、そしてそうそうお目にかかれないほどの熾烈さを極める新人王争いの行方からは、最後まで目を離すことができなさそうだ。
文・望月遼太
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