【対談】キッズからシニアまでが集う スポーツ文化の発信拠点に

チーム・協会

【©Kumamoto Football Association】

熊本県フットボールセンター(仮称)が2022年夏完成に向けて起工

2016年に発生した熊本地震から5年が経過しました。復旧が進み、被災地は以前の姿を取り戻したようにも見えますが、まだまだ人々の心には、“あの日”の不安や恐怖が鮮明に残っています。そうした中、(一社)熊本県サッカー協会は、熊本地震からの復興のシンボルとして、また県サッカーの新たな拠点として、「熊本県フットボールセンター(仮称)」を、県中央部の嘉島町に建設することになりました。
同協会の前川隆道会長と、センターの運営にあたる(株)熊本フットボールセンター・代表取締役・松下涼太さんに、センター建設に懸ける思いや展望について聞きました。

―2022年8月の完成に向けて動き出した「熊本県フットボールセンター(仮称)」ですが、建設までの経緯を教えてください。
前川 「熊本県フットボールセンター(仮称)」の建設は、2015年の田川前会長就任時に表明された熊本県サッカー協会の中期目標の一つです。同じく中期目標の中にある、「熊本県を全国で有数のサッカー王国に育てる」と並び、協会の悲願とも言える重要な事業です。目標を表明した直後の2016年に熊本地震が発生、さらに昨年からはコロナウイルス感染拡大など、さまざまな困難に見舞われましたが、そうした状況の中でも少しずつ準備を進め、建設地の嘉島町の協力を得て、ようやく建設計画が現実のものとなりました。

―「熊本県フットボールセンター(仮称)」は、全国的にも珍しい「民設民営」の施設とのことですが。
松下 その通りです。同センターは、嘉島町が用地を取得・造成後、熊本県サッカー協会が施設を建設します。施設完成後にグラウンドや収益施設の運営を行うのは、協会が出資する100%子会社「株式会社熊本フットボールセンター」です。

熊本県サッカー協会 会長 前川隆道 【©Kumamoto Football Association】

カフェ、保育園なども併設 熊本のスポーツ文化醸成に寄与

―センターには、どのような施設があるのでしょうか?
前川 サッカーファミリーのためのグラウンドはもちろんのこと、保育園、カフェ、コワーキングスペースなども併設する複合施設として、近隣住民の方々や他のスポーツも交えたスポーツ文化の発信拠点として整備する計画です。
松下 同センター建設の柱の一つは、「熊本県を全国で有数のサッカー王国に育てる」ための拠点づくりです。しかし、センター運営にあたっては、それだけにとどまらず、「持続可能であること」と「スポーツ文化の醸成」という2つのコンセプトを掲げています。施設の維持管理費用を自治体だけに依存することなく、幼稚園、カフェ等の収益施設を通じて“稼ぐ”機能を持つことで、長期に渡って持続可能な施設を目指します。また、サッカーグラウンドとしてだけでなく、さまざまな世代がスポーツを媒介にして豊かな時間を過ごせる場にすることで、熊本のスポーツ文化を醸成していきたいと考えています。

株式会社熊本フットボールセンター 代表取締役 松下涼太 【©Kumamoto Football Association】

―全国的にも珍しい取り組みということで、資金面を含めたさまざまな苦労があると思います。
前川 都道府県協会が単独で専用競技場を建設・運営するという事業は全国的にもあまり例がありません。先ほど松下さんも言ったように、センターは、「熊本を全国有数のサッカー王国に」するための拠点であるのはもちろんですが、地域にサッカーとスポーツの文化を根付かせる上でのモデルケースとしても、全国から注目を集めることになると考えています。
松下 こうした施設は、完成が「ゴール」ではなく、そこを「スタート」として、どのように利活用していくかが重要です。その意味で、今後はサッカーファミリーをはじめ、多くの皆さんのご意見を取り入れながら運営を行っていきたいと思います。一方、コロナ禍で社会経済が疲弊している中、建設には資金面を含め多くのハードルもあり、寄付や出資などを通じた皆様の支えが必要です。現在、そのための呼び掛けを県内のチームや企業をはじめ、各方面にご協力をお願いしているところです。

―最後に、センター完成後の将来像や目標をお聞かせください。
前川 完成までまだ1年近くありますが、すでに私の中ではセンターのグラウンドで次世代の日本サッカーを担う子どもたちが楽しくボールを蹴っている姿を想像しています。さらに、キッズからシニアまで、さまざまな世代の交流の場になることも期待しています。完成の暁には、ぜひ皆様も足を運んでいただければ幸いです。
松下 前川会長のお話に加え、センターでは、立地する嘉島町をはじめとする近隣地域とのつながりも重視しています。カフェやコワーキングスペースなどの利用を通じて、サッカー以外の目的でも気軽に人々が集う場にしていきたいと考えています。それに加えて、出店する店舗などの事業パートナーも、できるかぎり地域の方たちにお願いすることで、地域内でお金や人が循環する仕組みを作ることを目標としています。

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著者プロフィール

熊本県のサッカー界を統括し、代表する団体としてサッカー競技の普及及び振興をはかり、熊本県民の豊かなスポーツ文化の振興、青少年の健全育成並びに県民の心身の健全な発達に寄与することを目的に活動しています。 熊本のサッカー情報を文章や画像、動画と様々な形で発信していきます。

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