スポルティングCP、次節にも19年ぶり優勝決定の可能性。ポルト対ベンフィカは激戦の末に…【リーガNOS第31節レビュー】

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【©LigaPortugal】

リーガNOS(ポルトガル1部)の第31節が現地5日から7日にかけて開催された。日本人選手たちもプレーした今節の全9試合のレビューをお届けする。

スポルティングCPのペドロ・ゴンサウヴェスは今季18得点目で得点ランキング首位に並んだ 【©LigaPortugal】

【リオ・アヴェ(食野亮太郎所属) 0-2 スポルティングCP】

 ボール支配率では五分だったが、スポルティングCPが無敗首位の貫禄を見せつけた。序盤からチャンスを多く作った首位クラブは25分にPKを獲得する。ゴール前の混戦でリオ・アヴェのDFイヴォ・ピントがハンドを犯し、VARがそれを見逃さなかった。このPKをMFペドロ・ゴンサウヴェスが決めて先制すると、その後も主導権を握って離さず。後半の63分にはFWパウリーニョが、相手ディフェンスのクリアボールを拾って豪快なボレーシュートを突き刺して勝負を決めた。スポルティングCPのリーグ戦31戦無敗は、同一シーズン内の無敗記録としてリーグ史上最長。他会場で2位ポルトがベンフィカと引き分けたため、次節の結果しだいで19年ぶりのリーグ優勝が決まる可能性が出てきた。リオ・アヴェに所属するU-24日本代表FW食野亮太郎はベンチ入りしなかった。

【スポルティング・ブラガ 1-1 パソス・デ・フェレイラ】

 昨季の13位から5位へと大躍進を遂げているパソス・デ・フェレイラは、今節の結果により来季の欧州カップ戦出場権を確定させた。26分、FWジョアン・アマラウのコーナーキックにFWジョアン・ペドロ・シウバが打点の高いヘディングで合わせてパソス・デ・フェレイラに先制点をもたらす。その後もチャンスは多く作ったが、枠内シュートは前半の得点シーンの1本だけで、なかなか追加点を奪えない。すると76分にお粗末な形でPKを献上してしまった。パソス・デ・フェレイラのGKジョルディは自分の背後に相手FWガレーノが残っていたことに気付かず、地面に置いたボールを掻っ攫われそうになる。そこで慌てた守護神は、ガレーノに足をかけて倒してしまった。そして、ガレーノ自らPKを決めてスポルティング・ブラガは同点に追いつく。スコアはそれ以上動かず、1-1で試合終了となった。1ポイントを積み上げて勝ち点を49に伸ばしたパソス・デ・フェレイラは6位以上でのフィニッシュが確定し、来季から新設されるUEFAヨーロッパカンファレンスリーグの予選出場権を獲得した。

【マリティモ 0-1 ジル・ヴィセンテ(藤本寛也所属)】

 序盤からお互いに多くのシュートチャンスを作り出す展開となり、32分にアウェイのジル・ヴィセンテが先制に成功する。MFヴィトール・カルバーリョのロングボールに、FWサムエル・リーノが抜け出して右足一閃。マリティモのディフェンスラインが乱れた一瞬の隙を突いてゴールネットを揺らした。一度はオフサイドで無効になりかけたものの、VARチェックによりオンサイドであったことが確認され、無事にゴールとなった。飛び出した際、サムエル・リーノとオフサイドラインの距離はわずか32cmだった。後半は両チームともチャンスの数少なく、0-1のまま試合終了となった。勝利したジル・ヴィセンテに所属する日本人MF藤本寛也は2試合連続の途中出場となったが、出番を与えられたのは最終盤の90分からで、目立った活躍は見せられなかった。

ポルトは逆転優勝に向けて崖っぷちに立たされている 【©LigaPortugal】

【ベンフィカ 1-1 ポルト】

 優勝争いの行方を左右する「オ・クラシコ」は大激戦となった。先制したのはベンフィカだった。ポルトが絶好機を決めきれないでいた23分、巧みな足技やMFラファ・シウバとのパス交換でペナルティエリア手前まで到達したFWエヴェルトンが相手のタイミングを外した絶妙なシュートを放ち、ベンフィカに先制点をもたらした。だが、この後のベンフィカはVARによって3度のビッグチャンスを逃してしまった。前半アディショナルタイムにはラファ・シウバが敵陣ペナルティエリア内でポルトのDFウィルソン・マナファに倒されて一度はPKが宣告されたものの、VARによって直前に味方のオフサイドがあったとして無効に。後半に入った57分にはMFジオゴ・ゴンサウヴェスがポルトのDFザイドゥ・サヌシに倒されてPKを獲得したかに思われたが、VARの介入によりジオゴ・ゴンサウヴェスがファウルを“もらいにいった”と判断され、再びPKは取り消された。

 度重なるピンチをギリギリで切り抜けたポルトは75分、コーナーキックの流れからこぼれ球を拾った途中出場のMFジョアン・マリオが右サイドで仕掛けてクロスを上げ、ゴール前でMFマテウス・ウリベが合わせて同点に追いつく。互いにチャンスを生かしきれない展開で後半アディショナルタイムに突入した92分、ベンフィカは自陣からの速攻でMFピッツィがゴールネットを揺らすも、VARで起点となったパスの際に味方のオフサイドがあったと判定されてノーゴールに。見どころの尽きなかった一戦は1-1のドロー決着となった。この試合で引き分けた2位ポルトと1位スポルティングの勝ち点差は8ポイントに広がった。リーグ戦は残り3試合で、次節でスポルティングが引き分け以上の場合、19年ぶりの優勝が決まる可能性が出てきた。

【モレイレンセ 2-2 ナシオナル】

 最下位からの逆転残留を目指すナシオナルは27分、フリーキックからMFジョアン・ヴィガーリオがゴールネットを揺らした。しかし、これはオフサイドにより得点と認められず。それでも43分に再びフリーキックのチャンスを得ると、ジョアン・ヴィガーリオの意表を突いたグラウンダーのボールにモレイレンセのFWフェリペ・ソアレスが触ってオウンゴールに。ナシオナルが先制に成功する。後半に入って62分、今度はモレイレンセがフリーキックからゴールを奪った。クロスバーに跳ね返ったボールをDFナウエル・フェラレシが押し込んで同点に追いつく。負けられないナシオナルは74分、FWブライアン・リアスコスの左サイドからの折り返しに、直前に投入されたばかりのFWブライアン・ロシェズが合わせて再び勝ち越す。だが、リードしたのもつかの間。81分にモレイレンセがFWアンドレ・ルイスのゴールで追いつき2-2に。残留の可能性はまだ残っているものの、ナシオナルにとっては痛すぎるドローとなってしまった。

【ベレネンセス 1-0 ポルティモネンセ(安西幸輝&中村航輔所属)】

 ポルティモネンセは10分に絶好調のFWベトがゴールネットを揺らすも、直前に味方選手のファウルがあったとされて無効に。対するベレネンセスは前半アディショナルタイムに先制点を奪った。48分、フリーキックの場面で前に出たポルティモネンセのGKサムエルが目測を誤り、こぼれ球にFWマテオ・カシエラが詰めてゴール。結局、この1点が決め手となりベレネンセスが勝利を収めた。ポルティモネンセに所属する日本代表DF安西幸輝は後半開始から途中出場したが、チームを勝利に導くことはできず。同クラブのGK中村航輔はベンチ入りせず出番なしに終わった。

サンタ・クララに所属する日本代表MF守田英正は17試合連続のフル出場 【©LigaPortugal】

【ファマリカン 1-0 サンタ・クララ(守田英正所属)】

 欧州カップ戦出場権獲得を目指すサンタ・クララは、35分にMFネネがラフプレーで一発退場となり苦しくなった。その後も何とか耐えてはいたが、数的優位のファマリカンに主導権を握られ、81分にペナルティエリア内のハンドでPKを与えてしまう。これをMFイヴォ・ロドリゲスが決め、ファマリカンが先制に成功した。10人になったサンタ・クララに反撃するだけの余力は残されておらず、リーグ戦5試合連続勝利なしに。日本代表MF守田英正はリーグ戦17試合連続のフル出場を果たしたが、1人の力でスコアを動かすことはできなかった。

【ファレンセ 2-2 ヴィトーリアSC】

 ヴィトーリアSCは開始2分、ピッチ中央付近で相手からボールを奪うとカウンターに移り、最後はMFロシーニャが先制ゴールを挙げた。しかし、リードしていた時間は短かった。12分、ファレンセのMFライアン・ゴールドのクロスにFWペドロ・エンリケが合わせ、あっさり同点に追いつく。さらに27分、ヴィトーリアSCはミスから失点を重ねてしまう。味方からのバックパスを処理しようとしたGKブルーノ・ヴァレラにペドロ・エンリケがプレッシャーをかけてボールを奪い、そのまま無人のゴールを陥れた。ボールを支配していたのはヴィトーリアSCだが、より多くの枠内シュートを放ったのは1部残留を目指すファレンセだった。1点リードされたヴィトーリアSCに追い討ちをかけたのは51分のDFイーサー・サルマンの退場だ。その後もボールを支配しながら同点に追いつけず後半アディショナルタイムへ。すると91分に大ベテランがチームを救った。左サイドを突破したMFルーベン・ラメイラスの速いクロスに、逆サイドからFWリカルド・クアレスマが飛び込んでヘディングシュート。同時に交代出場した2人が土壇場で同点ゴールを生み出し、ヴィトーリアSCは辛くも勝ち点1をもぎ取った。17位からの1部残留を目指すファレンセは、残り3試合で安全圏の15位まで勝ち点差3ポイントに迫っている。

【ボアヴィスタ 1-1 トンデラ】

 序盤から試合を支配して多くのチャンスを作ったのはボアヴィスタだったが、トンデラのGKペドロ・トリゲイラの好セーブ連発に阻まれなかなかゴールを奪うことができない。すると77分、ボアヴィスタは自陣でクリアボールを拾われたところからショートカウンターを食らい、DFリカルド・アウヴェスのスルーパスに抜け出したFWマリオ・ゴンザレスにゴールネットを揺らされてしまった。ただ、守護神に頼りきりだったトンデラの守りも最後までは保たず。87分、右サイドをえぐったボアヴィスタのDFナタンの低いクロスにFWアルベルト・エリスが滑り込んで同点ゴールをゲット。勝てる試合の流れながら痛恨のドローに終わったボアヴィスタは勝ち点1の積み上げにとどまり、昇降格プレーオフ圏の16位から抜け出すことができなかった。
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著者プロフィール

ポルトガル・リーグはポルトガルのプロサッカーリーグです。プリメイラ・リーガ(またはリーガ・NOS)とも呼ばれる1部リーグは1934年に開設され、現在18クラブで構成されています。

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