30戦無敗のスポルティングCP、19年ぶり優勝に前進。守田英正先発のサンタ・クララは激戦の末…【リーガNOS第30節レビュー】

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【©LigaPortugal】

リーガNOS(ポルトガル1部)の第30節が現地4月29日から5月1日にかけて開催された。日本人選手たちもプレーした今節の全9試合のレビューをお届けする。

サンタ・クララのMFリンコン(写真奥)が3-3ドローに大きく貢献 【©LigaPortugal】

【サンタ・クララ(守田英正所属) 3-3 ボアヴィスタ】

 欧州カップ戦出場権獲得を目指すサンタ・クララと、1部残留を勝ち取りたいボアヴィスタの一戦は計6得点が生まれる激しい打ち合いとなった。まずは17分、FWアルバース・エリスの強烈なミドルシュートでアウェイのボアヴィスタが先制に成功する。1点先行されたサンタ・クララは前半終了間際の45分、相手の甘いクリアのこぼれ球を逃さず、MFリンコンのボレーシュートで同点に追いつく。さらに後半開始直後の50分、リンコンが右サイドから蹴った左足フリーキックを、ニアサイドで待っていたFWカルロス・ジュニオールがヘディングシュート。サンタ・クララは逆転に成功した。しかしリードは長く続かない。69分、ボアヴィスタのMFグスタボ・サウエルのフリーキックがゴールポストに直撃し、跳ね返りのボールがサンタ・クララのGKマルコ・ペレイラの背中に当たってゴールイン。そして75分には中央をパスで破られ、エリスに再び得点を許した。これで2-3とボアヴィスタがリードし、後半アディショナルタイムに突入。サンタ・クララは敗戦濃厚かに思われた。だが94分にドラマが。右サイドから途中出場のDFピエール・サニャが鋭いクロスを上げると、DFファビオ・カルドーソがヘディングシュート。土壇場でサンタ・クララが追いつき、最終スコア3-3のドローで試合終了となった。サンタ・クララに所属する日本代表MF守田英正はリーグ戦16試合連続のフル出場で中盤を力強く支えていた。

【マリティモ 1-0 スポルティング・ブラガ】

 ボールを支配して数多くのチャンスを作ったのはスポルティング・ブラガだったが、枠内シュート数が少なく、なかなか相手のゴールを破れない。耐えていたマリティモは76分、少ないチャンスを生かして決勝点を奪った。右サイドから丁寧にパスをつないで逆サイドまで展開し、最後はフリーになっていたFWジョエル・タグエウが慌てて寄せてきた相手ディフェンスを見事な切り返しでかわし、シュートをゴールネットに流し込んだ。欧州カップ戦出場権争いをする強豪に勝利したマリティモはここにきて3連勝。前節終了時点の15位から12位までジャンプアップを果たし、1部残留に大きく前進した。

【パソス・デ・フェレイラ 1-0 ベレネンセス】

 前半は互いにチャンス少なく、試合が大きく動いたのは後半も終盤に差し掛かってからだった。84分に相手のハンドでパソス・デ・フェレイラがPKを獲得すると、それを途中出場のFWジョアン・ペドロ・シウバが決めて先制に成功する。追いかけるベレネンセスは89分に前線に攻め上がったDFエンリケがゴールネットを揺らしたが、直前のプレーで味方にオフサイドがあったとしてVARレビューの末に得点を認められず。パソス・デ・フェレイラは後半アディショナルタイムにDFエウデル・フェレイラがラフプレーで一発退場となるアクシデントもありながら、5戦未勝利のトンネルを抜けて勝ち点3をもぎ取った。そして5位の座を守り、欧州カップ戦出場権獲得が目前に迫っている。

ジル・ヴィセンテとファレンセの熱戦はスコアレスドロー 【©LigaPortugal】

【ジル・ヴィセンテ(藤本寛也所属) 0-0 ファレンセ】

 ともに何としても1部残留をつかみたい両者の激突は、放ったシュート数も枠内シュート数も同じという互角の戦いになった。ジル・ヴィセンテは21分、MFペドリーニョがゴールポスト直撃のミドルシュートを放つ。すると22分にはファレンセがコーナーキックから決定機を迎え、あとワンプッシュでゴールインというチャンスを相手GKデニスに掻き出された。後半も両チームにチャンスが訪れたが、両GKの奮闘などもあってゴールは生まれずスコアレスドローに終わった。ジル・ヴィセンテに所属する日本人MF藤本寛也は76分から途中出場で試合終了までプレーした。

【ヴィトーリアSC 2-0 モレイレンセ】

 最近は絶不調が続くヴィトーリアSCだったが、この試合は前半のうちに勝負を決めてしまった。26分、MFロシーニャの蹴ったコーナーキックにDFアンドレ・アマロが頭で合わせて先制点を奪うと、30分にはMFアンドレ・アウメイダが30m級の豪快なロングシュートを叩き込んでリードを広げる。その後はお互いにシュートチャンスを作ったものの、モレイレンセはフィニッシュの精度を欠いて無得点。ヴィトーリアSCはGKブルーノ・ヴァレラを中心に守備陣が得点を許さず、3試合ぶりの完封勝利を飾った。

【トンデラ 0-2 ベンフィカ】

 序盤から試合を支配したベンフィカが、20分で一気に勝負を決めてしまった。12分、左サイドを突破したFWエヴェルトンの折り返しを、逆サイドから走り込んだMFピッツィが冷静に決めて先制。さらに19分、ベンフィカは自陣からカウンター攻撃に転じるとピッツィからのパスを受けたエヴェルトンがペナルティエリア外から狙いすましたミドルシュートを決めてリードを2点に広げた。後半に入るとトンデラは速攻を中心にチャンスを作ったが、ベンフィカのGKエウトン・レイチが守るゴールを破れなかった。リーグ戦3連勝を飾ったベンフィカは、UEFAチャンピオンズリーグのグループステージ出場権を獲得できる2位との差を4ポイントのままキープしている。

元レアル・マドリーのDFファビオ・コエントランはリオ・アヴェで復活 【©LigaPortugal】

【ポルティモネンセ(安西幸輝&中村航輔所属) 0-0 リオ・アヴェ(食野亮太郎所属)】

 90分を通して両チームとも決定機の少ない試合だった。リオ・アヴェは33分にMFゴンサロ・ロドリゲスがGKと1対1のチャンスを迎えるも、シュートはゴールの左に外れてしまう。後半の70分にはポルティモネンセのMFアイルトン・ボア・モルチもGKと1対1の場面を迎えたが、シュートはリオ・アヴェの守護神パヴェル・キーシェクの正面に飛んでしまう。84分にゴンサロ・ロドリゲスが放ったミドルシュートはポルティモネンセのGKサムエルが横っ飛びで弾き出した。最後は両者痛み分けのスコアレスドローで試合終了のホイッスル。ポルティモネンセに所属する日本代表DF安西幸輝は先発フル出場。同クラブ所属の元日本代表GK中村航輔とリオ・アヴェのU-24日本代表FW食野亮太郎はともにベンチ外で出番なしとなった。

【ポルト 3-2 ファマリカン】

 主審への侮辱発言に処分が下され、ポルトは今節から6試合にわたってセルジオ・コンセイソン監督を欠いて戦うことに。だが、指揮官不在でも勝負強さに変わりはなかった。開始8分、DFヘスス・コロナがアーリークロスをあげると、FWメフディ・タレミが頭で落とし、走り込んできたFWトニ・マルティネスが豪快なボレーシュート。ポルトが幸先よく先制に成功する。しかし、19分にコロナが負傷交代を余儀なくされ、44分にはかつてポルトの下部組織に在籍していたMFイヴォ・ロドリゲスの直接フリーキックでファマリカンに追いつかれてしまう。後半も攻勢を強めるポルトは61分、タレミが自ら獲得したPKを決めて再び勝ち越し、75分にはMFオターヴィオのフリーキックにMFマルコ・グルイッチが頭で合わせて移籍後初ゴール。リードを2点に広げた。後半アディショナルタイムに失点して1点差に迫られたポルトだったが、粘り勝ちで2試合ぶりの勝利を飾った。逆転優勝を信じて挑むリーグ戦は残り4試合、勝ち点6ポイント差で首位スポルティングCPを追走している。

【スポルティングCP 2-0 ナシオナル】

 首位のスポルティングCPは、最下位ナシオナルに力の差を見せつけた。最初のチャンスを作ったのはナシオナルだったが、この試合で記録したシュート2本は全て6分までに記録したもの。以降はスポルティングCPに1本もシュートを打たせてもらえなかった。そして、66分に2枚目のイエローカードを受けてナシオナルのMFイブラヒム・アブドゥラヒに退場が宣告されたのが決定打に。チャンスの数は多いものの、なかなかゴールを奪えていなかったスポルティングCPは、83分にコーナーキックの流れから攻め残っていたDFズハイル・フェダルがヘディングシュートでゴールネットを揺らす。そして後半アディショナルタイムの92分に途中出場のFWジョバネ・カブラルがPKで加点し、2-0として勝利を収めた。スポルティングCPはリーグ戦の無敗記録を30試合に伸ばし、2位ポルトの6ポイント差をつけて首位を走っている。リーグ戦は残り4試合、19年ぶりのリーグ優勝が徐々に現実味を帯びてきた。
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著者プロフィール

ポルトガル・リーグはポルトガルのプロサッカーリーグです。プリメイラ・リーガ(またはリーガ・NOS)とも呼ばれる1部リーグは1934年に開設され、現在18クラブで構成されています。

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