サンタ・クララと守田英正は「6cm」に泣き…。安西幸輝は決定機逃すもポルティモネンセの3連勝に大貢献【リーガNOS第27節レビュー】

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【©LigaPortugal】

リーガNOS(ポルトガル1部)の第27節が現地16日から18日にかけて開催された。日本人選手たちもプレーした今節の全9試合のレビューをお届けする。

スポルティングCPは開幕から27試合無敗で首位に立っている 【©LigaPortugal】

【ファレンセ 0-1 スポルティングCP】

 リーグ戦開幕から26試合無敗という歴史的な快進撃で首位を走るスポルティングCPは、序盤から多くのチャンスを作り出して相手ゴールに迫る。しかし、ファレンセの元ポルトガル代表GKベトの好セーブなどにより決定機を阻止され、なかなか先制点を奪うことができない。それでも35分、コーナーキックの流れで二次攻撃を繰り出すと、FWパウリーニョが放ったシュートのこぼれ球に反応したMFペドロ・ゴンサウヴェスが混戦のなかで右足を振り抜き、スポルティングCPに待望の先制点をもたらした。後半はファレンセのベトとスポルティングCPのGKアントニオ・アダン、両守護神による好セーブ合戦に。81分にファレンセは同点ゴールを奪ったかに思われたが、オフサイドによって得点は認められなかった。予想外の接戦を最少得点差で制したスポルティングCPは無敗記録を「27」に伸ばし、首位の座を堅持している。

【ボアヴィスタ 2-0 パソス・デ・フェレイラ】

 残留争いから抜け出すべくもがいているボアヴィスタが、欧州カップ戦出場権争い中のパソス・デ・フェレイラに競り勝った。13分、ペナルティエリア右でボールを持ったFWあるバース・エリスがゴール前に低くて速いラストパスを送ると、相方のFWユスファ・エヌジエが合わせてボアヴィスタに先制点をもたらす。エヌジエは前節も今季初得点を含む2得点を挙げており、2戦3発と調子を上げている。一方、パソス・デ・フェレイラもFWエウデル・フェレイラやFWウイルトンを中心にチャンスを作るが、シュートはボアヴィスタのGKレオ・ジャルディンにことごとくセーブされてしまった。守護神の活躍に応えたいボアヴィスタは41分、右ウィングバックのMFレジー・キャノンが敵陣ペナルティエリア内で相手MFマルティン・カルデロンに倒されてPKを獲得。これを10番のFWアンヘル・ゴメスが冷静に決めて、リードを2点に広げた。パソス・デ・フェレイラも45分にPK獲得かに思われたが、VARによるチェックと主審によるオン・フィールド・レビューも行った結果、反則は認められず。後半は互いに決定機の少ない展開となり、2-0のままボアヴィスタが勝利を収めた。

【ヴィトーリアSC 1-0 サンタ・クララ(守田英正所属)】

 欧州カップ戦出場権争いに食らいつきたいヴィトーリアSCは連敗を「5」でストップし、6試合ぶりの勝利を手にした。リーグ戦13試合連続で先発起用されたサンタ・クララのMF守田英正は15分、果敢な飛び出しでGKと1対1のチャンスを迎えるも、ヴィトーリアSCの守護神ブルーノ・ヴァレラにシュートを打たせてもらえず。この直後の17分、ヴィトーリアSCはテンポの良いパスワークで右サイドを崩すと、味方がゴールポストに当てたシュートのこぼれ球をMFロシーニャが押し込んで貴重な先制点を奪った。後半に入って52分、守田がゴール前に入れた浮き球パスの処理でヴィトーリアSCのDFアブドゥル・ムミンがボールの落下点を見誤る凡ミスを犯し、こぼれ球に反応したFWルイ・コスタがゴールネットを揺らした。しかし、直前にオフサイドがあったことをVARに見破られてノーゴールに。わずか「6cm」の飛び出しによって同点のチャンスが潰えてしまった。リーグ戦13試合連続フル出場を果たした守田は多くのチャンスの起点となって存在感を発揮したが、いずれもゴールには結びつかず。1-0のまま試合終了となり、勝ち点3はヴィトーリアSCの手に渡った。

ジル・ヴィセンテは強豪ベンフィカを撃破 【©LigaPortugal】

【ベンフィカ 1-2 ジル・ヴィセンテ(藤本寛也所属)】

 相手は6連勝中の強豪ベンフィカだったが、ジル・ヴィセンテは勇敢な戦いで勝利をもぎ取った。35分、自陣からカウンターを繰り出すと、右サイドからカットインしたFWアントワン・ロワティーが左足ミドルシュートでジル・ヴィセンテに先制点をもたらした。ベンフィカはダイナミックな攻撃でゴールに迫るが、なかなかチャンスをモノにできない。すると終盤の81分、ジル・ヴィセンテは自陣から速攻を繰り出して左サイドを崩し、FWロウレンシーが追加点を奪った。2点ビハインドを背負ったベンフィカは87分に相手のオウンゴールで1点を返すも、追いつくことはできず。2位ポルトとの勝ち点差は6ポイントに広がってしまった。ジル・ヴィセンテに所属する日本人MF藤本寛也は77分から途中出場し、終盤の逃げ切りに貢献した。

【モレイレンセ 2-3 トンデラ】

 アウェイに乗り込んだトンデラは、序盤で大量リードを手にする。4分、10分、12分と立て続けにゴールネットを揺らしたスペイン人FWマリオ・ゴンザレスが12分間でハットトリックを達成してチームに3点のアドバンテージをもたらした。しかし、28分にコーナーキックからモレイレンセのDFスティーブン・ヴィトーリアにゴールネットを揺らされると、43分には中央を簡単に崩されてFWラファエウ・マルチンスに追加点を許してしまった。後半はモレイレンセの猛攻に晒されながらゴールを許さず、トンデラはエースのハットトリックで手にしたリードを守り切った。マリオ・ゴンザレスはハットトリックによってリーグ戦二桁得点を達成し、得点ランキングでも12得点で3位タイに躍り出た。

【ベレネンセス 2-0 マリティモ】

 直近3試合で勝利から遠ざかっていたベレネンセスにとって、残留争いに巻き込まれないためにも勝利が必須の試合だった。35分にFWマテオ・カシエラが敵陣ペナルティエリア内で倒されてPKを獲得すると、それをMFミゲウ・カルドーソが決めて先制に成功する。しかし、試合を通して多くのシュートチャンスを作ったのはマリティモだ。ベレネンセスが90分間でシュートを6本しか放てなかったのに対し、マリティモは21本を記録した。それでも最終的に勝利したのはホームのベレネンセス。終盤の88分に前がかりになった相手を速攻で攻略し、途中出場のMFチコが追加点を奪って2-0に。そのまま試合終了となり、ベレネンセスが4試合ぶりの勝ち点3を手にした。

ポルティモネンセのFWベトは決定的なゴールを連発して大ブレイク中 【©LigaPortugal】

【ファマリカン 0-1 ポルティモネンセ(安西幸輝&中村航輔所属)】

 この試合でヒーローになったのは、またしても絶好調のFWベトだった。ポルティモネンセの最前線でブレイク中の若手ストライカーは前半アディショナルタイムの49分、左サイドからのクロスにMF安西幸輝が飛び込むも、ヘディングシュートは相手ディフェンスに当たってしまう。そこからこぼれ球を巡って混戦となり、安西がつついたボールをベトが豪快にゴールへ蹴り込んだ。右サイドMFとして先発起用された安西は後半開始直後の48分、ベトからのスルーパスに抜け出して決定機を迎えるも、GKにシュートをブロックされてゴールとはならず。後半アディショナルタイムの91分に元浦和レッズのFWファブリシオと交代してピッチを退いた。ファマリカンに2倍の数のシュートを浴びながら1点を守り切ったポルティモネンセは今季初の3連勝。そして9位の座を死守している。なお、同クラブ所属の日本代表GK中村航輔はベンチ入りしなかった。

【リオ・アヴェ(食野亮太郎所属) 0-0 スポルティング・ブラガ】

 3位のベンフィカがジル・ヴィセンテに敗れたため、4位のスポルティング・ブラガにとっては勝ち点差を詰める大きなチャンスだった。にもかかわらずスコアレスドローという痛恨の結果に終わった。今後の欧州カップ戦出場権争いに影響を及ぼす試合になったかもしれない。序盤から高い位置でボールを奪い、多くのチャンスを作ったブラガだったが、リオ・アヴェのGKパヴェル・キエシェクも好セーブ連発でゴールを許さない。80分にはリオ・アヴェのFWジェルソン・ダラが危険なタックルで一発退場を宣告され、ブラガは数的優位を手にしたが、それでも相手の堅い守りを崩しきれなかった。なお、リオ・アヴェに所属するU-24日本代表FW食野亮太郎はベンチ入りしたものの、3試合連続出番なしに終わった。

【ナシオナル 0-1 ポルト】

 ポルトは開始5分でナシオナルにPKを与えてしまうが、絶体絶命のピンチでGKアグスティン・マルチェシンがスーパーセーブを披露して失点の危機を回避。20分にはFWメフディ・タレミが相手GKにプレッシャーをかけてボールを奪うと、MFヘスス・コロナからリターンパスをもらってゴールネットを揺らした。この日のポルトは相手にも多くのチャンスを作られたが、ゴールだけは死守。最後まで1点リードを保ち、UEFAチャンピオンズリーグ敗退のショックを引きずることなく勝利を収めた。2位ポルトと首位スポルティングCPとの勝ち点差は6ポイントのまま変わっていない。
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著者プロフィール

ポルトガル・リーグはポルトガルのプロサッカーリーグです。プリメイラ・リーガ(またはリーガ・NOS)とも呼ばれる1部リーグは1934年に開設され、現在18クラブで構成されています。

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