天才的ターンが巻き起こすディープインパクト 畑田汰一(前編)
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5000番台初優勝
初々しさが残るベビーフェイス 【(C)BOATRACE】
18年12月に始まったこの大会も、今回で6回目。スタートした当初はルーキーズがスピードターンで席巻する傾向が強く、団体戦ではルーキーズがリードする展開が多かった。そのゆくえをさらにスリリングにするために、さまざまな試行錯誤がなされ、女子トップレーサーがずらり揃うレディースに対して、登番5000番台の新人が数多く参戦するルーキーズ、という構図がこの常滑では用いられている。さすがにキャリアを積んだ女子トップクラスと新人では女子に分があって、常滑では終始レディースがリードする展開。最終的には大差をつけて、レディースチームが団体優勝を果たしている。
そんななか、ルーキーズから鮮烈な走りでファンを驚愕させる若者があらわれた。畑田汰一だ。すでに3回の優勝を重ねており、一部のファンの間ではニュースター候補と騒がれていたが、全国的に注目される大会での快走で、その名は一気に広まったと言えよう。デビューから3年にも満たない畑田は、これで今年の最優秀新人の最右翼となった。今年はまだ10カ月ほども残されているが、その間にどんな衝撃的な活躍を見せてくれるだろうか。
5000番台選手として初の優勝! 【(C)BOATRACE】
デビュー期の勝利はその1勝だけだったが、勝率2.78は同期のなかでトップ。デビュー2期目には1着数も舟券絡みもぐっと増えて、勝率を3.69に伸ばした。デビュー3期目も順調に成績を伸ばし、勝率は4.63。19年9月の芦屋では初の予選突破を果たしてもいる。初めての準優勝戦はフライング。ちょっとほろ苦い体験ともなった。
デビュー4期目はちょっとした足踏みで、勝率は4.79と微増にとどまった。予選突破も一度もなく、本人としてはもどかしい半年間となったことだろう。その分の鬱憤をまとめて晴らしたのはデビュー5期目。期初めの一戦は地元戸田のゴールデンウィーク開催で、2度目の予選突破を果たしたどころか、準優勝戦を勝ち抜いて優勝戦に駒を進めたことで、ファンをおおいに驚かせてみせた。同支部のスーパースター・桐生順平と優勝を争ったことは、4着に終わったとはいえ、大きな経験となったはずである。
その勢いを駆って臨んだ、次節の江戸川。ここで畑田はさらにファンの目を丸くさせる。予選を6戦3勝で勝ち抜いて準優勝戦に進むと、その準優勝戦も1着で2度目の優出。優勝戦は2号艇で、2コースからの発進となり、1マークは強気にまくってバック先頭。そのままゴールして、デビューから約2年で初優勝を果たしたのだ。展開に恵まれたものではなく、自力でイン選手を沈めての優勝はインパクト絶大。そして何より、これが登番5000番台の選手が優勝した初めてのケースとなった。3000番台初優勝は大嶋一也。4000番台初優勝は田村隆信。いずれもSGウィナーである。ここまで順調にステップアップしてきた畑田だが、この5000番台初優勝は今後の出世を確約するとも言える、大きなトピックを作り上げた。5000番台の牽引役として、名乗りをあげるかたちとなったのである。
(後編に続く・・・)3/15(月)更新予定
2021年3月1日更新 文:黒須田守(BOATBoy) 写真:池上一摩(BOATBoy)
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