ディエゴ・フォルラン特別寄稿「マドリーダービー」

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アトレティコ・マドリーとレアル・マドリーによるマドリーダービーが近づいている。ダービーはどのシーズンも唯一無二のスペクタクルを提供してきたが、首位で迎える今回はアトレティコの面々にとって極めて特別な一戦となる。シーズンは長く、一時の不調で全てを台無しにしてしまう危険性もあるので、慎重に「1試合、1試合」歩んでいかなければならない。それでもアトレティコはタイトルレースの本命という評価を自分たちの力で勝ち取りつつある。そして3月7日のダービーを無傷で終えれば、彼らはさらにタイトルに近づくことになる。

今季のアトレティコは各ポジションにトップレベルの選手を揃えた豊富な戦力を維持し、素晴らしいシーズンを実現している。遅かれ早かれチームの顔となるだろうジョアン・フェリックスに加え、前線には新たにルイス・スアレスも加入した。1月に34歳を迎えたが、今季のパフォーマンスは今も彼がトップクラスのストライカーであることを証明している。ウルグアイ代表の彼のことはよく知っているが、時間の経過と共にアトレティコでのプレーに馴染んできたように見える。親友のレオ・メッシとは最後まで得点王争いを繰り広げるはずだ。スアレスのアトレティコ移籍は本人にとってもクラブにとっても素晴らしい決断だったと言える。

2018年の引退後はラ・リーガのアンバサダーを務める傍ら、指導者としてのキャリアをスタートしたフォルラン 【(C)LaLiga】

今やアトレティコの代名詞となった堅守をベースに、何年もかけて経験とプレーを熟成させてきた末に今季の成功がある。タイトルに飢えている彼らは、さらなる飛躍を遂げるために着々と準備を整えてきたのだ。ディエゴ・シメオネは選手たちのポテンシャルを最大限に引き出すだけでなく、チームに眠っていた王者のスピリットを呼び覚ます術も心得ていた。2012年のヨーロッパリーグ優勝にはじまり、2014年にはラ・リーガを制し、2度のチャンピオンズリーグ決勝進出を経て、2018年には再びヨーロッパリーグ優勝を果たした。もうシメオネのサイクルは終わったと何度も言われながら、今季も彼らはビッグタイトル獲得に向けて邁進している。

「今のアトレティコでプレーしていたら…」

自分がアトレティコでプレーした4シーズンにもヨーロッパリーグとUEFAスーパーカップを勝ち取った。シーズン32ゴールを記録し、ゴールデンシューを受賞することもできた。近年の成功の扉を開いたのはあの時代だったが、今のアトレティコは自分がいた頃のチームとはレベルが違う。たった4ヶ月の差ですれ違いになったことが残念だ。シメオネの指揮下でプレーできたらどれだけ良かっただろう。時に28、9歳の自分が今のアトレティコでプレーする姿を想像してしまうのだが、間違いなくはまっていたはずなんだ。何より今はお互いをよく知るスアレスもいる。

素晴らしいシーズンを送るアトレティコを見ていて残念に思うのは、ファンがそのプレーをワンダ・メトロポリターノで観られないことだ。これまで様々な国の様々なクラブでプレーしてきたが、情熱的かつ献身的で、どんな時でも応援をやめないロス・コルチョネロスは、クラブのイムノにもある通り「Coraje y Corazón(勇気と魂)」そのものだ。自分がプレーしていた頃のビセンテ・カルデロンがそうだったように、今季のワンダ・メトロポリターノも毎週末がお祭り騒ぎになっていたことだろう。何より、文字通りタイトル争いを左右するレアル・マドリーとのダービーは、最高の雰囲気の中で行われていたはずなのだ。

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