最近の共同通信杯のトレンドは?

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【2020/11/8 東京9R 百日草特別 1着 6番 エフフォーリア】

今週は3つの重賞が組まれている。今回は2/14の日曜日に東京競馬場で行われる共同通信杯にスポットを当てることにした。いつものように過去10年のデータを分析し、レースの傾向を探っていくことにする。データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

過去10年の共同通信杯好走馬

■表1 【過去10年の共同通信杯好走馬】

表1は過去10年の共同通信杯で3着以内に好走した馬の一覧。2012年ゴールドシップ、14年イスラボニータ、15年はリアルスティールとドゥラメンテ、16年ディーマジェスティ、17年スワーヴリチャード、19年ダノンキングリーと皐月賞や日本ダービーで好走した馬が数多くみられる。春のクラシックでも通用する実力馬が見つかるレースと言えるだろう。

好走馬の前走レースを調べると重賞組がちょうど半分の15頭で、残りの半分はオープン特別組と1勝(500万)クラス組と新馬組が占めている。前走未勝利組の好走例はなかった。基本的には重賞組のなかで、前走3着以内に好走している馬が有力となるレースだ。

ただ、最近3年の優勝馬は前走1勝クラスを勝ち上がった馬だった。18年1着オウケンムーンは未勝利→500万クラスと連勝中で本競走に出走。19年1着ダノンキングリーは新馬→ひいらぎ賞とデビューから2戦2勝、20年1着ダーリントンホールは前走葉牡丹賞では3着だったが、2走前は札幌2歳Sで3着と好走していた。11年〜17年の間も前走1勝クラス組の好走はあったが、2着と3着ばかりで優勝はなかった。つまりここ3年で急に勝ちだしたのだ。

また、前走新馬組の好走馬3頭中2頭(フィリオアレグロとサトノソルタス)は最近3年のことだ。19年2着アドマイヤマーズや同年3着クラージュゲリエのように前走重賞ウイナーはもちろん有力ながら、前走1勝クラスや新馬組も互角に戦えているというのが最近の共同通信杯のトレンドだ。

次に種牡馬の傾向をチェックしよう。ディープインパクトを中心とするサンデーサイレンス系が圧倒的に強く、30頭中24頭と8割も占める。母父サンデーサイレンス系も含めれば、同系統の血を持たない馬はわずか3頭しかいない。20年1着ダーリントンホールはその3頭のうちの1頭だ。同馬の父New Approachはサドラーズウェルズの系統で、13年2着ゴットフリート(父ローエングリン)と同じだ。17年2着エトルディーニュや同年3着ムーヴザワールドも母父がサドラーズウェルズの系統だった。同系統も本競走と相性がいいようだ。

また、セレクトセール出身馬は、同セールでの取引価格(税込み)を表に記載した。17年1着スワーヴリチャードや14年3着サトノアラジンのような1億円を超えた高額馬も見受けられ、ほぼ毎年1頭は馬券に絡んでいる。こうした観点からも本競走に注目してみるといいだろう。

今年の共同通信杯出走予定馬

■表2 【今年の共同通信杯出走予定馬】

それでは今年の共同通信杯を展望してみよう。出走予定馬は表2の通りだ。

【結論】

フルゲート16頭に対して13頭の登録があったが、牝馬のステラリアとレフトゥバーズは前日に行われるクイーンCに向かう可能性が高い。今年も少頭数の一戦となりそうだ。

実績的にはステラヴェローチェが断然トップだ。2走前にサウジアラビアロイヤルCで重賞制覇を飾り、前走朝日杯フューチュリティSでは2着と好走した。今回のメンバーで、他に前走重賞で3着以内に好走した馬はいないため、ステラヴェローチェは本競走でかなり人気を集めそうだ。同馬が馬券の中心と考えるのが自然だろう。

ただ、最近3年は前走1勝クラスの勝ち馬が本競走を勝利している。その意味では今年はエフフォーリアキングストンボーイに注目してみたい。エフフォーリアは新馬→百日草特別と連勝中で、デビューから2戦2勝と底をみせていない。キングストンボーイは2走前のサウジアラビアロイヤルCでは5着と敗れたが、この時は不良馬場だった。良馬場で行われた前走ベゴニア賞は1着と巻き返した。2018年セレクトセール当歳で7776万円(税込み)で取り引きされた期待馬でもある。この2頭のいずれかがステラヴェローチェに勝つことができるか、という点が今年のレース見どころだ。

前走新馬組ではシャフリヤールヴィクティファルスに注目。ともに父はサンデーサイレンスの系統だが、父がディープインパクト(過去10年に新馬組から出た好走馬3頭はすべてディープインパクト産駒)の前者を上位とみたい。ただ、後者の母父Galileoはサドラーズウェルズの系統。本競走との相性の良さがあるので侮れない。

文:小田原智大(おだわら ともひろ)

1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。
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