マリーンズ広報のよもやま話 第24話(2020年編)
あの無観客で行われた開幕戦を私は一生、忘れない。真剣勝負の熱戦の中にどこか寂しさが漂っていた。誰もいないスタンド。いままで満員が当たり前だった開幕戦から一転、スタンドには本当に誰もいなかった。無人の中、けなげに踊るペッパー君の姿がさらに寂しさを増大させた。涙が出そうになるほど悲しくなった。今まで日々を普通だと想い、プロ野球が143試合、スタンドにお客さんを入れながら行うことを普通だと思っていたことがどれほど幸せだったのかを痛感させられた。なにもかもが幸せだったのだ。外で食事をするのも、みんなで飲み会をするのも夏の帰省も夏祭りや花火大会もいつもと変わらぬ日々がこんなに幸せだったのかと改めて感じさせられた。
幸い、プロ野球は少しずつお客さんを入れることができるようになった。シーズン終盤にスタンドは席の半分ぐらい埋まるようになり、それなりの活気を取り戻した。それでも日本プロ野球の華であったジェット風船や応援団によるトランペット応援は戻る事はなかった。どちらも大好きだった私としてはこれまたあの日々がどれだけ幸せだったのかを痛感させられた。
プロ野球界だけではなく色々な業界で制限が設けられ苦しい日々となった。我慢の一年だった。色々な企画が中止を余儀なくされた。準備を重ねたプロジェクトは次々と消えたはずだ。悲しく辛い日々。でもなんとか前を向きたいと思う。2021年はすぐそこにせまっている。どんな一年になるのかは誰も分からない。それは誰も2020年がこんな年になる事が分からなかったのと同じだ。
千葉ロッテマリーンズはこんな時代だからこそ精一杯野球と向き合い、リーグ優勝に邁進したい。リーグ1位でのリーグ優勝となると1974年以来となる。それが現実となる時、きっと多くの感動をファンに届けられるだろう。井口資仁監督はそのためにすでに様々な構想を練り、動き出している。
キャプテンには中村奨吾内野手を指名した。指揮官が指名したリーダーはどんな形でチームを引っ張ってくれるのか?来年、40歳になる鳥谷敬内野手は不惑の年と聞かれ「ボクの人生で迷ったことはない。惑わされることはないと思う」と不敵な笑みを浮かべた。レジェンドが移籍2年目、40歳のシーズンにどのようなパフォーマンスを見せるのか楽しみだ。そしてホークスとのクライマックスシリーズでキラリと輝いた安田尚憲内野手と藤原恭大外野手の飛躍も楽しみだ。令和の怪物 佐々木朗希投手はどのようなデビューを迎えるのだろうか?本当に色々な楽しみがある。
千葉ロッテマリーンズの広報室は様々な視点からいろいろな手法を使い、ファンに明るい話題を提供したい。こんな年だったからこそ、来年はと思う。大変だったけど、なんとか仕事納めをした。そしてなんとか来年を迎えられる。来年はきっとと心に誓う。沈みがちなこんな時代だからこそプロ野球は明るい話題を提供する責務がある。マリーンズはそのために戦う。広報室は選手たちが必死に戦っている姿を、想いを話題としてしっかりと明るく人に伝えたい。有馬記念も終わり2020年は確実に終わりに向かっている。さあ2021年、頑張るぞ!
文 千葉ロッテマリーンズ広報室 梶原紀章
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