<国内男子ゴルフ>市原弘大の微笑み返し

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【最後も一緒に歩きとおします©JGTOimages】

■国内男子ゴルフ/ 2020最終戦・ゴルフ日本シリーズJTカップ / 12月3日ー6日 / 東京都稲城市・東京よみうりカントリークラブ(7023y・パー70)/ 3日(大会初日)

2年ぶり、2度目の出場を果たした市原弘大のとなりで、呻き声が聞こえる。今週のバッグを担ぐ前村直昭さん。
「コウダイ、寒いわ」。
「あ…、腰固まってきた」。
「…コウダイ、はよサウナ行こう」。

選手の最年長が藤田寛之なら、キャディは前村さん。
今年52歳になる。
「この年になると、キツイわ…」と、嘆くが数々の選手を勝利に導き、かつては伊澤利光を賞金王に担ぎ上げたスゴ腕。
豪速、と言われる東京よみうりのグリーンの読みも的確だ。
10番。「2メートル以上は曲がるような」(市原)4メートルのバーディパットを読み切った。17番では真横から1.5メートルのきわどいチャンスをアシスト。
前半最後の9番で、「真横から曲がる」2メートルのパーパットを切り抜けたのを契機に、冴えが増した。

38歳の市原自身も、腰痛明けだ。
10月末に、軽いぎっくり腰に。
10日間、何もできず、安静につとめて賞金ランクは30位で、なんとか出場資格に滑り込むことができた。

2年ぶりに挑めることになったシーズン最終戦。
練習日に、コロナ対策で、今年はクラブハウス外に設置された巨大なメディアセンターのドアを叩く市原の姿があった。

「今年も、お世話になった皆さまに……」。
差し入れに選んだのは、自宅近くの池袋で購入したナッツ入りの洋菓子。自ら試食をして歩いて「本当に美味しい」と、思った品を厳選。
仕事中にも手軽につまめるように個包装のものを、と心配りを尽くしたお歳暮を届けた。
「心ばかりの締めのご挨拶です」。

新型コロナウィルスの観戦拡大が始まってすぐに、いち早くチャリティ活動に動いた。
シーズン途中の異例の”人事異動”で「ファンプロジェクト」理事に就任。
激動の1年の締めくくりを、年長キャディと踏みしめる。

足並み合わせて4アンダーと好発進に成功した初日。
プレー後のパッティンググリーンで転がす市原の隣で前村さんが、つぶやく。
「あんまり帰りが遅いと、サウナの温度が下がるんよね…」。
いつもの微笑みで、ベテランの声を肩に受け止めながら、トレードマークの長尺パターを操り、2日目の調整につとめた。
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