「Black Lives Matter」を8分掲げたタイラーライトが優勝、オーストラリア・グランドスラム初戦

チーム・協会

【© WSL/ Dubar】

9月13日〜14日に開催されたオーストラリア・グランドスラム初戦で、タイラー・ライトが復帰後初となる優勝を果たした。

タイラーは、第1回戦のヒートが始まってから439秒(約8分間)「Black Lives Matter」と書かれたサーフボードを片手に膝をつき、片手を上げて黙祷を続け、その後1位通過。決勝戦では7度の世界タイトル保持者ステファニー・ギルモアを倒し、この初戦を制した。

オーストラリア・グランドスラム初戦「Tweed Coast Pro」

今年11月からハワイで開幕予定の2021年サーフィンチャンピオンシップツアー。そのプレイベントとして行われている特別シリーズが「WSLカウントダウン」だ。

WSLカウントダウンは基本的に国を跨がない形のコンテスト。初戦『Rumble at the Ranch』はカリフォルニアにあるケリー・スレーターのウェーブプール「サーフランチ」で8月に開催され、ココ・ホー&フィリッペ・トレドが優勝した。

9月〜10月はオーストラリアで3戦、ヨーロッパで2戦用意されている。
「サーフランチ」でのイベントと異なり、それぞれがシリーズ戦となり、オーストラリアは『Australian Grand Slam of Surfing』の名称でストラディ、キャバリタ、マーガレットリバーが舞台に選ばれた。
その3戦のうちの一つ、キャバリタを舞台とした『Tweed Coast Pro』が9月13日〜14日に開催された。

キャバリタはNSW州とQLD州の境目にあり、ビーチブレイクながら右側にある自然のヘッドランドのおかげで地形が安定しているのが特徴。
初日は3-4ftレンジ、最終日は2-3ftレンジのまずまずのコンディションに恵まれていた。

参加選手は開幕戦に合わせてオーストラリア入りしてから滞在を続けている南アフリカのCTルーキー、マシュー・マクギリヴレイ以外は全てオーストラリア人。

ウィメンズはステファニー・ギルモア、サリー・フィッツギボンズ、タイラー・ライト、ニッキ・ヴァン・ダイク。

メンズはオーウェン・ライト、ジュリアン・ウィルソン、ライアン・カリナン、ウェイド・カーマイケル、エイドリアン・バッカン、イーサン・ユーイング、ジャック・ロビンソン、コナー・オレアリー、モーガン・シビリックとジャック・フリーストーンを除く全てのCT選手が揃っていた。

【PHOTO:© WSL/ Dubar】

タイラー・ライトが復帰後初優勝

(左)イーサン・ユーイング(右)タイラー・ライト 【PHOTO:© WSL/ Dubar】

2019年の最終戦、18ヶ月振りのコンテストに復帰してファイナルまで進んでいたタイラー・ライト。
初日にはアメリカを中心に世界中に広がっている人種差別問題を主張して大きな話題になっていた。

タイラーはR1のヒートが始まってから439秒(約8分間)、「Black Lives Matter」と書かれたサーフボードを片手に膝をつき、片手を上げて黙祷を続けた。
約8分間というのは、1991年以降、警察に拘留されて命を落としたオーストラリアの先住民1人につき1秒と考えての時間。その後、海に入ったタイラーは難なく1位通過した。

QFではサリー・フィッツギボンズ、SFではニッキ・ヴァン・ダイク。最後にローカルのステファニー・ギルモアを最後に倒して復帰後初の優勝を決めたのだ。

「ステフとファイナルでサーフィン出来て最高だったわ。彼女は私の最大のアイドルの一人だし、今は親友でもあるの。このコロナ禍の中、ステフは多くの人をサポートしているし、毎日一緒にサーフィンやトレーニングをしている。’Black Lives Matter’と連帯して社会正義と平等のために立っている私にとってこのイベントは大きな意味を持つの。サーフィンの舞台に立つ機会を与えてくれたことに感謝しているわ」
タイラー・ライト

CT返り咲き組みのイーサン・ユーイングがメンズを制した

【PHOTO:© WSL/ Dubar】

幻となった2020年CTシーズンはQSからの返り咲き組が多かったのをご存知だろうか?

フレデリコ・モライス(PRT)、アレックス・リベイロ(BRA)、ミゲル・プーポ(BRA)。そして、オーストラリアのイーサン・ユーイング、コナー・オレアリー。

実に5名ものサーファーが夢の舞台に戻っていたのだ。

その中でもルーキーイヤーの過大な期待に結果を残せなかったイーサンが生まれ変わったようなサーフィンで強豪を倒し、ファイナルでは南アフリカのCTルーキー、マシュー・マクギリヴレイを相手にパーフェクトに近い9.77をスコアして圧勝。

まだ22歳のイーサンは『Australian Grand Slam of Surfing』の1戦に組まれているストラディの出身であり、今タイトルの最有力候補として名乗りを上げた。

「最高の気分さ。素晴らしいイベントだったし、ファイナルでは全てが自分の思い通りになった。一日中、本当に楽しい波だったので、ハイスコアを出すことが出来たのさ。マシュー・マクギリヴレイは素晴らしいサーフィンをしていた。彼に勝つためにファイナルではハイスコアが必要だと思ったんだ。WSLが出してくれた結果を嬉しく思う。まだコンテストに出場出来るのは嬉しいね」
イーサン・ユーイング

ローカルのステファニー・ギルモアが2位

【PHOTO:© WSL/ Dubar】

2019年の最終戦にタイラーとファイナルを争って優勝。
レイン・ビーチェリーに並ぶ7度のワールドタイトルを持つステファニー・ギルモアは生まれ育ったこのビーチでパフォーマンスが出来たことを大いに喜んでいた。

「再びコンテストジャージを着てみんなに会えた最高のイベントだった。ファイナルに進出しただけで満足している。序盤に戦略ミスをした一方、タイラーは素晴らしい波を選んでいた。ずっと追いつこうと努力したけどね。でも、ここでパフォーマンスが出来て嬉しい。再びこの舞台に戻れたことも本当に良かったわ」
ステファニー・ギルモア

ダークホース、マシュー・マクギリヴレイの活躍

【PHOTO:© WSL/ Dubar】

開幕戦に合わせてオーストラリア入りしてからコロナ禍に巻き込まれ、帰国便もなくなってしまい滞在を続けている南アフリカのCTルーキー、マシュー・マクギリヴレイ。
J-Bayがホームの23歳が強豪を相手にこれだけの結果を残すのを予想した人は少なかっただろう。

スモールウェーブでの圧倒的なスピードとテクニックは2021年シーズンの活躍も期待させるほどだった。

「この舞台でファイナルに進出なんて、最高さ。素晴らしいイベントだったし、イーサンとの対戦は特別だった。彼とは以前にもファイナルで対戦したことがあり、負けていたので、仕返しをしないとね。オーストラリアに残るのは大きな決断だった。南アフリカにいる家族や友人を思うと寂しいけど、戻るのが楽しみさ。このオーストラリアのグランドスラムに出場することは自分のキャリアにとって良い決断だと思う」
マシュー・マクギリヴレイ

『Australian Grand Slam of Surfing』は残り2戦、9月〜10月のベストデイ2日間を利用して開催。
開催の可能性がある7日前にイエローアラートが発令される。
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