ルーキー・笹生優花 圧巻ツアー初V

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【<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>】

 2020-21年JLPGAツアー第2戦、『NEC軽井沢72ゴルフトーナメント』(優勝賞金1,440万円 優勝賞金8,000万円)大会最終日が8月16日、長野・軽井沢72ゴルフ北コース(6,710ヤード/パー72)で行われ、ルーキーの笹生優花が通算16アンダーで初優勝。1イーグル、7バーディーの63をマークし、2位に4打差をつける圧勝だった。通算12アンダー、2位タイは若林舞衣子、藤田さいきが入り、4位は通算11アンダーで、有村智恵。鈴木愛は通算5アンダー、22位タイに終わった。(天候: 晴れ 気温: 29.0℃ 風速: 南南西2.1m/s)

 ルーキーでプロデビュー2戦目の19歳、笹生優花が圧勝でツアー初優勝を飾った。衝撃は飛距離。優勝を、ほぼ手中にしたパー5、16番は第1打を風に乗せ、285ヤードのビッグドライブを披露した。残り195ヤードの第2打を6Iで、ピン手前3メートルへ運ぶ。

 さらに、パッティングでもたぐいまれな感性をのぞかせる。スライスラインを読み切り、イーグルでメモリアルVを不動のものにした。

 日本人の父、フィリピン人の母をもつ。5歳で東京へ移住。当然ながら、来日当初は日本語がわからない。友だちができなかった。そんな時、父・正和さんの付き添い、ゴルフ練習場へ。素晴らしい人生のスタートとなった。

 しかし、最初からうまくいくことはない。小学2年で、1歳下の妹、3歳下の弟と栃木県内でラウンドデビューを果たしたものの、「一番ヘタ」。ただし、我慢強く、一心にクラブを振り続けた。「宮里藍さんのようなプロゴルファーになる」と誓い、小学3年時、単身で母の実家のフィリピンへ。正和さんが日本とフィリピンを往来し、父娘で練習に取り組んだ。というのは、フィリピンでは、父がコースの会員であれば、未成年の子どもは無料でプレーできるなど、環境が整っていたからだ。

 11歳から米国、カナダ、東南アジア、豪州など16カ国を回る。アマチュア大会を転戦した。そして、昨年11月、JLPGA最終プロテストで合格。黄金の国、ジパングへ戻った。

 かわいい子には旅をーというたとえではないが日、英、フィリピン、韓国、タイの5か国語を流暢に話す。他にも「数字の数え方、プレーをするのに必要な会話程度なら」と、中国語、スペイン語などもオッケーだ。家族間の会話は、「日本語、英語、タガログ語のごちゃまぜ」という。一方で、「日本語が一番難しい。おしゃべりはできても、漢字が使いこなせない」。

 幼少時、通っていた東京の小学校では、ハーフであることをからかわれることもあったそうだ。「私は男の子にも、イヤなら近寄ってくるんじゃねえよ、と言い返した。気にしてはいなかったし、いじめられた記憶もない」と、おおらかな人柄も魅力のひとつ。さらに、「あなたはどこの国の人」と質問を受けると、「日本人であり、フィリピン人。両方ですよと答える。私が周囲の方から、どう見られているかより、みんなをリスペクトしている。だって、そのほうが平和でしょう」と笑っていた。

 世界基準の19歳。日本で実績を積んで、世界へチャレンジする計画を立てている。正和さんは、「アニカ・ソレンスタムがつくった、アメリカツアーの賞金女王8回の記録を抜きたい、なんて話している」と苦笑しながら漏らした。規格外の飛距離、語学力、明るい性格から、実現させてしまいそうに思えてくる。
東京・銀座の日本刀専門店とスポンサー契約を結んでおり、キャップのつばに刺繍された『刀』の1文字が際立つ。一刀両断のツアー制覇。その資質は、確かに折り紙付きだった。(宮脇 廣久)
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