【新日本プロレス】「大阪城ホールは“俺のステージ”」オカダ・カズチカに直撃!!

チーム・協会

【新日本プロレスリング株式会社/山本正二】

いよいよ6月15日(月)より新日本プロレスの大会が再開! ここに至るまで団体のトップとしてオカダ・カズチカは何を感じ、何を思っていたのか? さらに大注目の『NEW JAPAN CUP 2020』へ向けての意気込みも直撃! 

撮影/山本正二

ボクにとってはリングに上がってることが日常で、そういう“あたりまえの生活”に戻りたいっていう気持ちがあった。

【新日本プロレスリング株式会社/山本正二】

――さて、オカダ選手。いよいよ6月15日から大会を再開することが発表されました。2月26日の沖縄大会以来、じつに110日ぶりになりますが、率直にどのように受け止めていますか?
 
オカダ 「待ってました!」っていう、それしかないですね。選手もそうですし、きっとプロレスファンもそうでしょうし。あとは「あっ、俺、やっぱりプロレスが好きなんだな」って思いましたね。

――あらためて実感した、と。

オカダ 普通の人なら、あんな痛いことしたくないじゃないですか? でも、「また試合が始まる」って話を聞いて、「本当によかった!」って素直に思いましたから。……やっぱり、ボクにとってはリングに上がってることが日常で、そういう“あたりまえの生活”に戻りたいっていう気持ちがあったんで。

――その第一歩という感じですよね。

オカダ 野球選手やサッカー選手にとってはグラウンドにいることがそうなんでしょうけど、ボクたちレスラーはリングに上がらなきゃ生きていけないというか。やっと、生きることができますね。これで息ができます(笑)。

――逆に言えば、リングに上がれない日々は、気持ちが落ちる部分もありましたか?

オカダ でも、ボクは“復活”のことしかずっと頭になかったんで、そんなにマイナスなことは考えてなかったですかね。そういう中でも、何か情報を発信していかなきゃいけないと思ってましたし。いろんな人がいろんなことをやってましたよね。インスタライブとか、YouTubeとか……。

――積極的にやって頂きましたね。新日本プロレスとしても「Togetherプロジェクト」と題して、さまざまな取り組みが行なわれました。

オカダ そうやって、いろんな人がいろんなことをやってくれたおかげで、ファンをはじめ世間の人も新日本プロレスを忘れないでくれていたと思いますね。

――オカダ選手は3月末の自粛期間中にインタビューした際にも、「エンターテインメントのイベントが中止になっていく中で、インターネットでどう埋め合わせをしていくかが大事だ」とお話されてたんですよ。

オカダ あ、そうでしたっけ。

――ええ。実際、新日本プロレスワールドのCHAOS座談会とか、矢野通選手の誕生日会を開催されたり、あとは本田圭佑さんの『NowVoice』(各界のトップランナーの声を配信するサービス)にも参加されて。

オカダ たまたま、タイミングが重なったものもありましたけどね。ラジオ番組(Tokyofmで毎週日曜日朝6時〜放送中。『SUNDAY RAINMAKER』)とか。

【新日本プロレスリング株式会社】

――結果的にラジオは、自粛期間中にスタートすることになりましたよね。

オカダ ハイ。ラジオを聞いてる人の中には、この大会再開によって「オカダって本当にプロレスラーだったんだな」って思ってもらえるかも知れないですね(苦笑)。

――オカダ選手は自粛期間中にファンの方はもちろん、それ以外にもいろいろな方向で発信されていて。

オカダ そうですね。プロレスファンに届けるものもあれば、プロレスファン以外に届ける部分もありましたし、そのへんは自分だからできたこともあるのかなと。

――あと、オカダ選手が新型コロナウイルス災害対策支援金として、日本財団災害復興特別基金(新型コロナウイルス緊急支援)に個人で500万円を寄付されたのも、プロレス界のトップとしての自覚が伝わってきたというか。

オカダ がんばってくれている医療従事者のかたたちに少しでも役に立ちたいというのもありましたし、医療崩壊となれば結局、ボクたちもプロレスができなくなるじゃないですか? ボクたちがケガしたときに「いまはそれどころじゃない」ってなったら困ってしまいますし。医療従事者の方たちというのは、ボクたちが日頃お世話になってる人たちなので。

――たしかにプロレスラーにとっても、医療はとても身近な職業ですよね。

オカダ それはケガだけじゃなく、健康管理という面でもそうですしね。「何か返さなきゃダメだな」と思ったんで寄付をさせていただいた。ただ、それだけですね。

新日本プロレスワールドで、お客さんを動員する大会までの過程をみなさんにも感じてもらいたいですね。日常に戻るまでの過程を。

――6月16日からは中止となっていた『NEW JAPAN CUP』(以下、『NJC』)が開催されることが発表されました。取り急ぎ、7月3日までの大会はお客さんを入れない状態で開催されることになります。

オカダ しょうがないですよね。この状況下ですし。国が「緊急事態宣言」を解除したとはいえ、ボクたちプロレスラーも抗体検査は受けてやりますので。

――そこは万全を期して臨むと。

オカダ ……やっぱり自分たちが欲しいものは、自分たちで手に入れにいく必要があると思うんですよ。たとえば水が飲みたかったらコップを置いて雨が降ってくるのを待つんじゃなく、川に水を汲みにいけばいいわけで。

――いろいろ制約はあるけど、まずはリングに上がることから始めるというか。

オカダ もちろん「プロレスはお客さんがいたほうがおもしろいでしょ」っていう声もあると思いますし、それは当然そうだと思います。でも、新日本プロレスの長い歴史の中で、お客さんが入らない大会というのは今回の9大会しかないわけじゃないですか? 
 
――そうですね。ある意味、スーパーレアケースというか。
 
オカダ 逆にその9大会を映像で観られるわけなんで。できるだけ『新日本プロレスワールド』の配信を生で観てもらって、お客さんを動員する大会までの過程をみなさんにも感じてもらいたいですね。日常に戻るまでの過程を。

――その過程もファンの方と一緒に共有していけるというか。

オカダ ええ。そうして、いずれは前のような状態に戻れたらいいなと思います。

1回戦の相手が外道さんなんで(ニヤリ)。ここで相手がジェイとかだったらアレですけど、自分にとってはいいウォーミングアップですよ。

【新日本プロレスリング株式会社】

――大会再開のタイミングで、いきなりシングルのトーナメントに臨むという点に関してはどうですか。ファンの方は歓迎の声が多いですが、選手にとっては過酷なのかなと。

オカダ あ、そこは大丈夫です。一回戦の相手が外道さんなんで(ニヤリ)。ここで相手がジェイ(・ホワイト)とかだったらアレですけど、自分にとってはいいウォーミングアップですよ。

――外道戦は6月17日に行なわれます。かつて行動を共にしていた二人の対決は話題になっていますが、このカードは過去に一度だけ、2018年の12.14後楽園でも実現してるんですよね。当時はオカダ選手を裏切ってBULLET CLUB入りをした外道選手との遺恨マッチという色合いが濃かったですが。

【新日本プロレスリング株式会社】

オカダ やってますよね。……まあ、『NJC』開催ということで盛り上がってきたのかわからないですけど、中には「1回戦でオカダは外道に負けるんじゃないか?」って言ってる“バカ”がいるんですよ。悪いですけど、ここはあえて言わせてもらいますよ、“バカ”って。

――そこだけは我慢がならないと。

オカダ 「もし結果がそうなったら、新日本プロレスは終わりだよ」って話じゃないですか? 相手が強ければ、お客さんがいないっていう試合の空気を知るのも含めて、いろいろなシミュレーションをしなきゃいけないんですけど、そこは外道さんなんで大丈夫かな、と。

――試運転にはもってこいだと。ちなみに外道選手との過去の因縁という部分はいかがですか?

オカダ そこはもう、何とも思ってないですね。もはや恨んでるわけでもなんでもないんで、普通に『NJC』の1回戦として闘うだけです。

(決勝の相手は)誰でもいいですよ、ボクは本当に。……ただし、「大阪城ホールならオカダ・カズチカでしょ」とは思ってますけど。

――外道選手を下した場合、6月24日(水)の2回戦では永田裕志vs鈴木みのるの勝者と対戦することになります。

オカダ ……まあ、鈴木さんが来るのかなと思いますけど。でも、闘いたいのは永田さんですね。

【新日本プロレスリング株式会社】

――おっ、そうですか。

オカダ 永田さんとはひさしくシングルマッチをやってないので。過去にも『G1』で一回やったくらいじゃないですかね。

――2015年の8.12後楽園の公式戦で当たっていますね。逆に鈴木選手とは何度もシングルで激闘を展開されてます。
 
オカダ 去年のイギリス(8.31ロンドン)のIWGPヘビー戦とか、年一くらいでやってるんで。……しかし、トーナメントの山を4つのブロックにわけて見ると、ボクがいるところはラクな感じがしますね。逆に“このあたり”はかなりの潰し合いになりそうですけど(※右上のトーナメントブロックを指して)。

――棚橋弘至vsタイチ、飯伏幸太vsザック・セイバーJr.のIWGPタッグを巡り遺恨が生まれた二試合が行なわれ、SANADA選手や鷹木信悟選手も同じ山にエントリーしてますね。トーナメント表の全体を見たときに、優勝決定戦に上がってきそうな選手、気になる選手などいますか?

オカダ う〜ん。どうですかね。誰でもいいですよ、ボクは本当に。……ただし、「大阪城ホールならオカダ・カズチカでしょ」とは思ってますけど。

【新日本プロレスリング株式会社】

――今回の決勝の舞台は7月11日(土)大阪城ホールですが、たしかに15年からの同会場での『DOMINION』のメインは、すべてオカダ選手が飾っていますし、数々の伝説を創ってきました。

オカダ フフフ。「相手は誰だろうが関係ない、ただし大阪城ホールは俺のステージだ」っていう感じですかね。

(観客動員イベントは)社会的に見てもかなり早いほうですよね。いち早く大会を開催できる新日本プロレスのパワーというものを見せたい。

【新日本プロレスリング株式会社/山本正二】

――『NJC』優勝を果たせば、翌日の7月12日(日)大阪城ホールの『DOMINION』では内藤哲也選手のIWGPヘビー&IWGPインターコンチネンタル王座に挑むかたちとなります。この大阪城二連戦は通常の3分の1程度の席数で開催しますが、これについては?

オカダ “いい新日本プロレス”を見せたいと思いますね。それは試合だけじゃなく、コロナ対策もしっかりやって、ひとつの会社として素晴らしいなと思われるように。「ここまで徹底してやってます」しかも「試合も凄くおもしろいです」と。その結果として「大会は大成功しました」というかたちにしたいですよね。サッカーのJリーグもちょっとずつ、観客を動員して始めるそうですし。

――Jリーグは7月10日以降の試合から、観客を入れて行うことで合意したようですね。

オカダ おそらく新日本は2番目になる可能性が高いですし、コレは社会的に見てもかなり早いほうですよね。なので、いち早く大会を開催できる新日本プロレスのパワーというものを見せたいです。それは選手だけじゃなく、新日本の社員ひとりひとりが前を向いて取り組んできたことが、いまにつながってると思うので……。
 
――選手だけではなく、新日本プロレスという会社にとっても、さまざまな意味で勝負どころというか。
 
オカダ それに「新日本プロレスがこうしてるなら、ボクたちはこうしよう」って、プロレス業界にかぎらず、もしかしたら野球や他のジャンルの参考になるかも知れないですし。そこは、おたがいにいいところを取り入れて、一日も早く以前のように戻れたらいいですね。

内藤さんにしてみれば、その一日しかチャンスがないわけで、負けたら一瞬で「史上初の二冠王者って何だったの?」ってなると思いますよ。

【新日本プロレスリング株式会社】

――7.12大阪城のダブルタイトルマッチについて伺わせてください。以前、オカダ選手はIWGPヘビーにしか興味がないと発言されていますが、そのあたりについては?
 
オカダ 変わらないです。IWGPヘビーにしか気持ちはないですね(キッパリ)。

――そこは変わりませんか。

オカダ ええ。なんか、二冠王座になって魅力が上がったかって言ったら、そういうことでもないと思いますし。まあ、それはまだ防衛戦が一回しか行なわれてないからかも知れないですけど。

――内藤選手は2.9大阪城でKENTA選手を下して初防衛に成功しましたが、それ以降はストップしてますね。

オカダ 内藤さんも、ここで存在感を示せなきゃヤバいと思うんですよね。そういう意味で言うと大会が再開する中で一番重要なのは、「誰が魅せるか」じゃないですかね?

――なるほど。

オカダ たとえ『NJC』で優勝しても、次の日に負けたらそれで終わりなんですよ。最終的には、7月12日の大阪城で勝った人間が主役になると思います。トーナメントを勝ち進んでも、内藤さんが勝ったら「主役を持っていかれる」というか。

――あくまで重要なのは12日だ、と。

オカダ 逆に内藤さんにしてみれば、その一日しかチャンスがないわけで、負けたら一瞬で「史上初の二冠王者って何だったの?」ってなると思いますよ。きっとチャンピオンはチャンピオンで、だいぶプレッシャーのある闘いだと思いますね。

――逆に『NJC』が盛り上がれば盛り上がるほど、どんどんタイトルマッチのハードルが上がるというか。

オカダ そうですね。『NJC』の期間中は、「アレ? 俺、何もしてないじゃん」っていう取り残された状態になるでしょうし。まあ、やっぱり大阪城ホールなんで、ボクがベルトを獲って、またチャンピオンとしていろんな姿を見せていきたいなと思いますね。

いろんな業界がどこも厳しい状況ですけど、ボクらは「さすがプロレスラーだな!」と思われるように、みなさんに元気を与えていかないと。

【新日本プロレスリング株式会社/山本正二】

――最後に、前回の自粛期間中のインタビューでオカダ選手は「2020年はプロレス界にとって、ものすごい年になる」と発言されてましたが、いまの心境はいかがですか?

オカダ もちろん、その気持ちに変わりはないです。ボクたちはプロレスしかないんで、それをこの3カ月半できなかったぶん、残りの2020年後半は思い切りプロレスをやって、盛り上げるしかないですね。ボクも「オールスター戦をやりたい」とか言ってましたけど、現状はまずボクたち新日本のパワーを見せるときなのかなと思いますね。

――なるほど。

オカダ いまは「やっと新日本プロレスが復活する!」っていう楽しみがある状況じゃないですか。お客さんが少ししか入れられない中で、団体の垣根を越えた夢のカードをやっても、そこまでの感動を与えられないと思うんですよね。だから、やるとしても「いまじゃないな」っていうのは感じてます。

――まずは新日本プロレスの団体としての力が問われる局面というか。

オカダ ええ。その底力みたいな部分を見せていかなきゃないですし、そこで十分に楽しみは伝えられると思うんですよね。だって、3カ月以上も新日本プロレスの試合がなかったんですもん。この『NJC』でボクが外道さんに負けると思っちゃうくらい、人によっては考えが偏っちゃっているみたいですし……(苦笑)。

――そこは試合をすることでシッカリと正したいと。

オカダ やっぱり、2020年後半に関しては新日本プロレスの……、申しわけないですけど、プロレス界じゃないんです。2020年後半に関しては新日本プロレスのパワーを見せていきたいなって思いますね。いまはプロレスにかぎらず、いろんな業界がどこも厳しい状況ですけど、ボクらは「さすがプロレスラーだな!」と思われるように、みなさんに元気を与えていかないと。どれだけボロボロになっても、立ち上がる姿を見せるのがプロレスラーなので。そこをシッカリ見せたいですし、みなさんにも見てもらいたいですね。
(了)
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著者プロフィール

1972年3月6日に創業者のアントニオ猪木が旗揚げ。「キング・オブ・スポーツ」を旗頭にストロングスタイルを掲げ、1980年代-1990年代と一大ブームを巻き起こして、数多くの名選手を輩出した。2010年代以降は、棚橋弘至、中邑真輔、オカダ・カズチカらの台頭で再び隆盛を迎えて、現在は日本だけでなく海外からも多くのファンの支持を集めている。

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