【最後の青春ドラマ】高校3年時の“運命の出会い”がプロへの道を切り拓く〜第98回全国高校サッカー選手権大会・大島僚太(川崎フロンターレ)

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第98回全国高校サッカー選手権大会が12月30日(月)に開幕します。高校年代の大舞台に立った選手はどのような青春時代を過ごしてきたのか。ここではSAMURAI BLUE(日本代表)として活躍する大島僚太選手の高校時代のストーリーをお届けします。

ようやくつかんだレギュラーポジション

地元である静岡県の静岡学園高校に進学した大島僚太は、1年次は上級生に交じらず1年生チームでプレー。このチームは「1年生の時は2、3回しか負けた記憶がない」と大島が回顧するほど、県内外で強さを誇った。

2年次には先輩たちのチームでプレーするようになったが、絶対的なレギュラーポジションをつかみ取るには至らない。「その年はけが人が本当に多く、それでやっと出られるレベルでした」と言うように、チャンスは与えられるが“レギュラーの代役”という立ち位置だった。

3年次になってやっとレギュラーポジションをつかんだが、簡単にことは運ばない。夏のインターハイで全国への切符を手にしたが、直前で疲労骨折。ベンチには座っていたものの、監督の判断もあってピッチに立つことはできなかった。その時の悔しさは今でも覚えている。

「あの時は悔しかったですね。チームも最初のほうで負けてしまいました。チーム内での競争もそうですけど、当時は『ピッチ内にいる選手の中で一番になりたい』と思いながら常にプレーしていたので、全国の舞台で、そういう気持ちでプレーしたかった。それができなかったこともあって悔しかったです」

そんな大島に転機が訪れる。舞台は高円宮杯全日本ユース(U-18)サッカー選手権大会だった。青森山田高校、立正大淞南高校、ジェフユナイテッド市原・千葉U-18、名古屋グランパスU18、横浜F・マリノスユース。並み居る強豪を打ち破り、静岡学園は高校勢で唯一、準決勝に進出した。この大会を、大島は「すごく楽しかった」と笑顔で振り返る。

「いろいろなチームがいて、自分を上回る選手が大勢いました。そういう選手たちのプレーに引っ張られて良くなっていく自分が見えた気もしました。たくさんの発見があった大会だったと思います」

人生を左右する出会いを引き寄せた

準決勝ではサンフレッチェ広島F.Cユースと対戦した。チームは敗れこそしたが、大島の存在感は際立っていた。そして、ここで大きな出会いが訪れる。川崎フロンターレでスカウトをしていた向島建氏が、母校の応援がてら試合を見に来ていたのだ。これがプロへの扉を開くきっかけとなる。

「その時は大学進学を考えていたんですが、『一人で学ぶ』と書いて『大学』という字になりますよね。大学でサッカーをするならそれだけ自分自身を律しなければならないけど、それはできないだろうという判断もあり、大学に行ったらサッカーはしたくないと思っていました。だから広島戦に(向島)建さんが応援に来てくれなければ、プロになる道はなかったと思いますし、天と地ほどの差がある人生になっていたかもしれないですよね」

その言葉の後、大島は「もしプロの話が来なかったら、すっきりやめていたと思います。ある意味、自分の中でそれぐらい自信を持っていたのかもしれません」と続けた。そこまで自信を持てていたのはなぜだったのか。大島の中には明確な理由がある。

「静学に入ってくる選手は、Jクラブユースに上がれたけどより厳しい環境に身を置きたいという選手、複数のオファーの中で静学を選んだという選手ばかりです。そういうメンバーの中で『僕が一番になる』と決意して頑張りました。そして、自分の中でのやり切ったという感情が自分の中であったので、『これでプロになれないならもういいや』という思いがありました」

当時の大島を1学年下の後輩として見ていた長谷川竜也(現川崎フロンターレ)は「やっぱり誰よりもサッカーがうまかった」と称している。その上で「あの人がプロになれなかったら、プロというのはどれだけレベルが高いんだ? と思っていました。だから決まった時は『だよね』という感じでしたね」と笑顔を見せた。

ついにプロへの道筋が決まった大島は、「高校生活の集大成で、注目度も一番高い」全国高校サッカー選手権大会の舞台に立つ。「狩野健太さん(現徳島ヴォルティス)みたいな選手になりたい」。大島が背負ったのは、中学時代に憧れた先輩がかつて身につけていた伝統の10番だった。

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著者プロフィール

日本サッカー協会(JFA)は、日本サッカー界を統括し代表する団体として、サッカーを通じて豊かなスポーツ文化を創造し、人々の心身の発達と社会の発展に貢献することを目的に活動しています。 JFA公式Webサイトでは、日本代表からグラスルーツまで幅広いサッカーの現場の話題をお届けします。

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