【FC東京 永井謙佑】自分たちの強みを出して勝ちたい

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日本代表とFC東京との往復

――代表に招集される度にゴールを挙げ、調子を取り戻しているようにも見えるのですが、日頃から、日本代表と東京でやることはあまり変わらないとも言っていますよね。あくまで継続しているなかで、代表でも結果が出ているということなのでしょうか?
永井謙佑 結局、積み重ねですね。フォワードの選手は1点入ると波にノるという生き物だし、それがチームの結果にも反映するポジションでもあるので。でもまずは(個人よりも)チームの勝利が最優先。自分が、点が取れていないからといってエゴイスティックにやろうとは全然思わないし。たぶん、ディエゴ(オリヴェイラ)も同じ考えだと思う。

――実際、ディエゴのコメントは「自分が点を取ってもチームが勝てなかったので喜べない」「自分自身のゴールはないがチームが勝ててよかった」、このふたつに集約されますよね。記者泣かせとも言えますが。組織のなかで個が発揮されて、チームもいい結果になる。
永井謙佑 僕たちのポジションは仲間に活かされるもの。周りに活かしてくれる仲間がいないと活きないポジションであり、ほとんどのゴールはみんなに活かされて取れたものです。みんながつないでつないで崩して、本当に最後の「決めてください」の位置なんで。東京はみんなで守って、みんなで攻めて、誰もが献身的にやるチーム。ディエゴもぼくも自分が自分が、というよりは、チームの勝利を優先的にピラミッドの一番上に置いておいて、その次に自分のゴールなりアシストという結果を求めてやっているのかなと思います。

――日本代表はFC東京とはちがうチームですが、ある程度地続きの感覚でプレーできていますか?
永井謙佑 守り方としては、東京でやっていることをそのまま意識して取り組めています。この前であれば、南野拓実選手が出ればぼくが絞りますし。でも相手のレベルもあって(モンゴル戦に先発出場)、そこまで守備をするシーンはなかった。でもその次(タジキスタン戦)の途中から出たときはボランチの位置を気にしながらやっていました。やっぱりどのチームもそこが起点なので。そこをいかにうまく消せるかが大事。ああやって勝っている展開のときこそ、(相手の)バックパスの数を増やせばうしろは休めるし。

――継続して代表に選ばれつづけていること自体はいいことではある?
永井謙佑 そうですね。でも自分が30(歳)で入っていると想像はしていませんでしたけれどね、正直。

――五輪代表の延長で、20代でやるという想定だった?
永井謙佑 どうなんですかね。サイドをやっていたので、そこまで日本代表でやっているというイメージはわかなかった。

――なかなか30代までつづくフォワードもあまりいないような……
永井謙佑 興梠慎三選手(浦和)や小林悠選手(川崎)は点も決めていますよね。ぼくも純粋なフォワードとしてプレーしているのは長谷川健太監督の時だけなので。これまではサイドハーフやワイドもやっていましたから。

――やっぱり選手は起用法で変わってきますよね。まして、現代は国際的にも切り換えを早くするサッカーの時代。そこで永井謙佑の特長が活きやすい時代が来ているんじゃないか。
永井謙佑 どうですかね。そんなに若くないですから(笑)。

――でもハードワークできて脚が速くて点を決められるとなると、どのチームでも重宝されると思いますよ。
永井謙佑 やっぱりフォワードが守備をしないと、絶対にうしろがキツくなる。みんなが同じ方向を向くには、そこをがんばってあげないと。うしろが一生懸命守っているのに、なんで攻撃の選手は(守備を)やらないんだよと思われたら、点が入らないときにチームが分裂すると思うし。みんなががんばっていれば、そういうときでもうしろは日頃がんばってくれているから、オレたちも(失点)ゼロで歯を食いしばってがんばってやろうよという気持ちでやってもらえると思う。チームスポーツはそういうところが大事だと思う。

――優勝争いをする大事な時期に代表に行くわけですが、これはこれで気持ちを切り換えて?
永井謙佑 そこは気持ちを切り換えてやっています。代表は代表で、チームのためにやらないといけないことはたくさんあるので。戻ってくれば東京のために100パーセントでやりますし。なので、やっているスタイル自体は変わらない。そんなに気にしていないですけどね、代表でもチーム(FC東京)でも。場所が変わるだけであって。代表に行ったからといってプレースタイルが変わるわけではないので。

――アジア2次予選という難しさがあると思います。さきほど仰っていたように、それほど相手が(前からプレッシャーをかけて)来ない。最終予選だと相手が強いので自ずとプレッシャーがかかり拮抗した試合になるけれども、そうではないと。そういうやりにくさはありますか。
永井謙佑 モンゴル戦も相手は攻めてこなくて、うしろに人がたくさんいる。だからポジショニングをよくして半歩の差で触らないと、ああやって引かれた相手から点を取るのはなかなか難しいのかなと思います。

――そういうなかで代表に選ばれつづけ、刺激になる、あるいは得るものとはなんですか。
永井謙佑 選手それぞれにボールの持ち方や運び方にいろいろなパターンがあるので、勉強になることはたくさんありますね。

――体力的な疲労はあるかもしれないけれども、そういう刺激があって精神的なほうは……
永井謙佑 メンタル的にキツいとかはないですよ。戻ってきてケアをして試合をして、という。この前のタジキスタン戦はベンチスタートだったので、なおさら疲れを感じなかったというか。まったく試合に出ないほうが、動いていない分キツいのかなとは思います。やっぱり代表に行くと(コンディションを)上げるところがないから。だから試合をしているほうがコンディションはいいんじゃないかと思います、遠征の疲れはあっても。ずっとコンディション調整をしているよりは、試合のほうがいい。どこかで刺激が入るので。

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ホーム2試合にかける気持ち

――アウェイ8試合を終え、いよいよラストホーム2試合です。
永井謙佑 やっぱりホーム味スタで試合ができるということにはメリットしかない。もう3カ月以上ホームで試合をしていないので、純粋に嬉しいです(笑)。やっぱりファン・サポーターのみなさんも同じ気持ちだと思いますし、やっと(ホームで)やれるぞ、というわくわく感もあります。優勝争いをしている状況でどのくらいファン・サポーターが来るんだろうという期待感もありますし。いろいろな楽しみがありますね。

――この8試合味スタを留守にしているうちに、サポーターとの距離感というのはどうなっているんでしょう。
永井謙佑 いやー、このアウェイ8連戦の間にすごく深まっているんじゃないかと思いますけどね。やっぱり、勝ったり負けたり引き分けたりしながら来ていますし。すごくいいですよ。

――変な言い方になりますけど、楽ではない展開、適度な敗戦によって、適度な危機感を共有できているのではないかと。
永井謙佑 (勝敗のペースは)こんなもんじゃないかな、と思っていました。やっぱりアウェイは難しいし、そんなに簡単な世界じゃない。ぼくらも最初ホームで(試合がつづいて)、ファン・サポーターからたくさんのパワーをもらって勢いに乗った部分もあったので、そこに戻ってできるという心強さはすごく感じます。相手は絶対に嫌だと思いますよ。

――上位は拮抗していますし、最後の笛が鳴る1秒まで優勝が決まらないのでは?
永井謙佑 最終戦までもつれると思います。本当に「最後の1秒まで」一戦一戦集中して、ホーム2試合を含めた、ラスト3試合勝つつもりでいます。

――それこそ最後の1点を決めたり、最後の1秒まで走っている可能性もあるかもしれません。
永井謙佑 個人としては行けるところまで行こうというイメージなので最後までピッチに立っていないかもしれない。90分間保たせようとか、全然考えていなくて。監督が「ああもう、こいつ行けないな」と思えば、代えてくれると思うので。その状態になるまで常にやるだけだと思っています。やっぱり前線が(プレッシャーをかけに)行かないとスイッチが入らないし、ラスト3つは自分たちの強みを出して勝ちたい。シーズンの序盤はみんなが連動して激しいサッカーをやっていたので、もう一回そこに戻って“強い東京”を見せないとダメだなと感じています。そのためには自分が行けるところまで行って、バトンをつなぐじゃないけれど、(田川)亨介がいたり、(ナ)サンホがいたりするので。
ピッチに立っている最後の1秒まで、飛ばしてやるつもりです。

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著者プロフィール

FC東京は、「東京都」全域をホームタウンとする、日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)に所属するプロサッカークラブ。

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