マリーンズ広報のよもやま話 第12話

千葉ロッテマリーンズ
チーム・協会

【千葉ロッテマリーンズ梶原 紀章広報メディア室長 撮影 加藤夏子】

 インタビュー、会見などで広報が立ち会うのにはしっかりとした理由がある。もちろんどのようなことを話をしたかを把握するためでもあるが、フォローをすることも大事な仕事だ。質問に困惑したり、回答に戸惑った時に広報の方に顔を向けることがある。その時は質問の内容を自分になりに解釈して少し簡単な言葉に置き換えてみたり、例えの回答を口にしてあげることで答えやすい環境を作り直す。雰囲気が固い時には場を和ますことも必要だ。そしてどうしても答えにくい質問が来たときには、広報が代わりに「その質問はちょっと本人も答えずらいと思います」とやんわり拒否してあげることも大事だ。

 もう一つあるのが回答の意図が取材者に伝わっていない時だ。それはその場の空気で感じ取り、取材が終わった時に「先ほどの回答はこういう意味ですよ」となるべくフォローをしてあげるようにする。そうしないと間違った方向で報道されることがある。

 そういう意味では最近、一つ私は大きなミスを犯してしまった。埼玉西武に敗れて自力Vが消滅した8月12日の試合後の井口資仁監督の会見。「自力Vが消滅しましたが?」という記者の質問に、監督は「それは関係ない」と回答した。これはつまり、自力Vはあくまで数字が表すものであって、消えたからといって、進むべき道は変わらないという意味だ。なにしろ自力Vと言うのは不思議な言葉で、翌日にマリーンズが勝って、ホークスが負けると自力Vは復活するのだから、消滅したからといってなにも状況が変わるわけではない。だから監督は「それは関係ない」と答えた。

 ただ、残念ながらこれが報道の見出しとなると、少しニュアンスが変わって受け取られてしまった。一部の読者に優勝なんて関係がないというような趣旨の発言と捉えられてしまった。これは明らかにその場に立ち会っていた広報である自分のミスだ。試合後の記者会見が終わった後に記者に今の発言の真意がしっかりと伝わっているかを確認する作業を行っていれば避けられたし、さらにいうと「この言葉はしっかりと報道をしないと誤解をされるので、その点は宜しくお願いします。」と一言、念を押すべきだったと思う。

 プロ野球広報というのはチーム、監督、選手の魅力を伝え、イメージアップに貢献しファンに喜んでもらうために存在する。そういう意味で私はその責務をこの時、怠ったことになる。基本中の基本のケアレスミスを長い間、この仕事に携わっていながら起こしてしまった。井口監督には大変申し訳ない事をしてしまったと今でも後悔をしているし、今後はこのような事が絶対にないようにしなくてはいけない。いつでもマイナスを想定して、広報活動は行わないといけないのだ。

文・千葉ロッテマリーンズ広報メディア室 梶原 紀章(かじわら・のりあき)

 1976年8月18日生まれ、大阪府吹田市出身。東京都私立郁文館高校〜関西大学。99年に産経新聞社に入社後、サンケイスポーツ運動部に配属し、00年にオリックス担当、01年から04年まで阪神担当。05年に千葉ロッテマリーンズに入団し主に広報業務を担う。11年にはチケット営業を経験。現在は広報メディア室室長
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