WBSS準決勝 井上尚弥vs.ロドリゲス

5/19 5:15 スコットランド・SSEハイドロ

井上尚弥、2RでTKO勝ち WBSS決勝進出!

ゲームスコア

大会名
WBSS準決勝

[WBA同級王者]井上尚弥

TKO

[IBF同級王者]エマヌエル・ロドリゲス

2R1:19
※井上が2度目の防衛成功ならびにIBF王座獲得、WBSS決勝進出

総括

ロドリゲスを2RTKOで下し、決勝進出を決めた井上はガッツポーズ【写真:ロイター/アフロ】

 プロボクシングの階級最強決定トーナメント「ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)」準決勝が日本時間19日(現地時間18日)、イギリス・グラスゴーで行われ、初戦をわずか70秒のKOで勝ち上がったWBA世界バンタム級王者の井上尚弥(日本)は、IBF同級王者のエマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)と対戦した。

 井上が17戦17勝(15KO)、ロドリゲスは19戦19勝(12KO)とどちらも全勝同士の対戦となった一戦。ロドリゲスが前に出て井上をロープに詰め1Rを終える。

 しかし、2Rに入り一気に前へ出た井上は打ち合いを仕掛けると、接近戦で右ボディフックから返しの左フックを見舞い、ロドリゲスがダウン。立ち上がったロドリゲスだがダメージは深く、井上は続いて右ボディフック、左ボディフックとダウンを追加しフィニッシュした。

 今回も圧巻のKO劇を見せた井上は、「ロドリゲスも初回すごくプレッシャーを掛けてきて、1Rはどうなることか予想ができない状態でした」と試合を振り返った。

 決勝は5階級制覇のノニト・ドネア(フィリピン)と争うが、井上は「ノニトはキャリアもあってすごい強い選手なのでこれからどう戦うか練りたい。憧れていた選手なので、ファイナルで戦えるのをうれしく思います」と語った。リングに入りインタビューに答えたドネアも「これが運命です。やると予感していて、その試合が実現します。彼はモンスターですからどう戦うかこれから考えます。21歳に戻った感じで頑張ります」と意気込みを口にした。

 今回の勝利で井上は戦績を18戦18勝(16KO)とし、ロドリゲスが保持したIBF王座を獲得した。

  • 井上選手は将来的には(2階級上の)フェザー級まで…

    解説・田口良一選手(元WBA・IBF世界ライトフライ級統一王者)(写真は共同)

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ラウンド詳細

  • 試合前

     フードをかぶり落ち着いた表情で向かうロドリゲスに続き、井上が引き締まった自信に満ちた表情で花道を進む。

  • 1R

     井上は大きく左フックを振ってスタート。ファーストヒットはロドリゲスの右ストレート。ジャブ、左フックとロドリゲスのパンチがよく当たる。しかしクリーンヒットはさせない井上はジャブを上下に放ち、続けて右ストレートを当てる。

     ロドリゲスは被弾しても下がらず、距離を詰めてくる。プレッシャーとジャブで井上をロープに詰めるロドリゲス。井上は右ストレートを放ちながら出ようとするが、ロドリゲスはブロック。

     井上は左ボディを打ち込むがロドリゲスはやはり下がらず、井上をロープに詰める。ジャブで遠ざけようとする井上。だがロドリゲスも右ストレート、ジャブを返してくる。ロドリゲスのアッパーに井上は左フックをカウンターする。ロドリゲスがロープに詰めて1Rを終える。

  • 2R

     井上はワンツーからの左を当てロドリゲスをのけぞらせる。続いて踏み込むと、右ボディフックからの左フックでロドリゲスがダウン。ロドリゲスには鼻血が見られる。

     立ち上がったロドリゲスに井上は左から右ボディフックを打ち込み、ロドリゲスは2度目のダウン。首を振りロドリゲスはダメだという表情を見せる。

     なおも戦いに向かったロドリゲスだが、井上は左ボディフックを打ち込み、3度目のダウンを与えロドリゲスを仕留めた。

  • 井上の試合後コメント

    「常に平常心で戦おうという気持ちでイギリスに乗り込んできたので、その通りにいいパフォーマンスが出せてホッとしています。

     ロドリゲスも初回すごくプレッシャーを掛けてきて、1Rはどうなることか予想ができない状態でした。

     すごくホーム感を感じて、後押ししてくれた会場なので、グラスゴー、すごく思い出深い1日になりました。

    (決勝で戦う)ノニト(・ドネア)はキャリアもあってすごい強い選手なので、これからどう戦うか練りたい。憧れていた選手なのでファイナルで戦えるのをうれしく思います」

  • 試合後

     ここで決勝を争うノニト・ドネアがリングインしてインタビューに答える。

    「(井上は)素晴らしい試合をした。やるべきことをしました。彼は待たないで仕掛けました。ファンが待っていた通りの結果を出した。やりましょう。これが運命です。やると予感していて、その試合が実現します。彼はモンスターですから、どう戦うかこれから考えます。彼はすごいファイターで、知性派でもあります。21歳に戻った感じで頑張ります」

見どころ

渡英後、公開練習に臨む井上(写真右)【Getty Images】

 プロボクシングの階級最強決定トーナメント「ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)」に出場中のWBA世界バンタム級王者・井上尚弥(日本)は、準決勝で同級のIBF王者エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)と対戦する。

 井上が17戦17勝(15KO)に対し、ロドリゲスも19戦19勝(12KO)と、どちらも全勝対決。トーナメントにおいて“事実上の決勝”と目される一戦が実現する。

 高校7冠の井上にロドリゲスはユース五輪金メダルと、ともにアマで優秀な成績を残し、どちらも2012年にプロデビュー。ここまで全勝と共通点を多く持つ。

 ライトフライ、スーパーフライ、バンタムとすでに3階級を制している井上だが、特に現在のバンタム級に上げてからは112秒、70秒と連続の初回KOを披露。スーパーフライ級時代から数えると7連続KOと軽量級離れした破壊力で、世界が“モンスター”の戦いに注目している。12度の世界戦経験も強みだ。

 対するロドリゲスは世界戦の経験こそ井上に譲るが、プロ・アマともに戦績では上回り、身体能力・テクニックともにバランス良く持ち合わせた万能型の選手だ。

 ロドリゲスが卓越した経験とスキルで混戦に持ち込むか、あるいは井上がさらに世界へ衝撃を与えるのか。現地時間18日(日本時間19日早朝)にその答えが分かるはずだ。

  • ローマン・ゴンサレスも効かせるパンチなんですけど、1発の破壊力では間違いなく…

    解説・田口良一選手(元WBA・IBF世界ライトフライ級統一王者)(写真は共同)

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