今季から巨人の二軍監督を務める阿部慎之助氏が1位に輝いた。主砲、扇の要、チームリーダーとして巨人で選手生活を全うした功労者は、近未来の一軍監督への昇格が有力視される【写真は共同】
プロ野球の一軍監督を経験していない元選手の中で、その座に就く日が待ち望まれるのは誰か? ファンによる投票の結果、現在は巨人の二軍監督を務める阿部慎之助氏が最多票を獲得した。
昨季、19年に及んだ巨人ひと筋の現役生活にピリオドを打ち、指導者の道に進んでまだ1年という阿部氏だが、元木大介ヘッドコーチが虫垂炎の手術で不在だった期間に代行ヘッドコーチとして一軍のベンチに入るなど、近い将来、原辰徳監督の後任に指名されるのは既定路線のようにも映る。もしこれが現実のものとなれば、日本球界をリードしてきた名門球団の長い歴史の中で、初めて捕手出身の監督が誕生することになる。
その阿部氏より早く、内部昇格による来季の監督就任が濃厚と見られるのが横浜DeNAベイスターズの三浦大輔二軍監督だ。3年ぶりに現場復帰した昨季は、アレックス・ラミレス監督の下で一軍投手コーチを務めたが、今季は未来の監督就任を見据えてか二軍監督に配置転換。ラミレス監督の退任が発表される前に実施された今回の投票では、19位にランクされた。
阿部、三浦両氏と同様に近未来の内部昇格が考えられるのが、10位の小笠原道大氏と15位の松井稼頭央氏。今季、栗山英樹監督を支えるヘッドコーチ(打撃コーチを兼任)として、古巣の北海道日本ハムファイターズに14年ぶりに帰ってきた小笠原氏は、現役生活を終えた中日ドラゴンズで二軍監督を4年務めた経験もあり、着実に歩を進めている印象だ。一方の松井氏は選手時代の2018年に、プロ入りから10年を過ごした埼玉西武ライオンズに復帰。1年後に引退したがそのまま球団に残り、二軍監督として2年目のシーズンを終えたところだ(イースタン・リーグは11月1日に全日程終了)。
同じく内部昇格による監督就任が有力視されながら、昨季終了後に東京ヤクルトスワローズのヘッドコーチ職を辞したのが宮本慎也氏。現場に復帰して2年でチームを去り、今季から再び野球解説者、評論家として活動しているが、ランキング9位と、今度は監督としてグラウンドに戻ってきてほしいと願うファンは多い。
その宮本氏や松井稼頭央氏にとっては、PL学園高校の先輩である桑田真澄氏(5位)、立浪和義氏(7位)、そして清原和博氏(18位)もランクインしている。桑田氏と清原氏が12年、立浪氏が11年と、いずれも現役引退から10年以上が経つ。三氏ともその間、二軍も含めてNPB球団で監督・コーチを務めたことはないが、再びユニホームを着てベンチで采配を振る姿が見られる日を多くのファンが待っている。
昨年の引退会見では、プロの世界で監督をするのは「絶対無理」と発言したイチロー氏だが、今回の投票では2位と、多くのファンがその日が来るのを待ち望んでいる【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】
イチロー氏が2位、松井秀喜氏が6位と、MLBで現役生活を終えた2人のレジェンドの日本球界復帰を望むファンも大勢いる。ともに現在もアメリカに生活の拠点を置き、イチロー氏はシアトル・マリナーズの会長付特別補佐兼インストラクター、松井氏はニューヨーク・ヤンキースのGM特別アドバイザーの職にある。いつの日か、NPBで指揮を執る両氏の姿が見られるのか。
MLB経験者では、黒田博樹氏(12位)と新庄剛志氏(20位)もトップ20に入った。MLB時代を含めて通算203勝を挙げた黒田氏は、現役時代の背番号「15」が山本浩二氏の「8」、衣笠祥雄氏の「3」とともに球団の永久欠番となっている広島東洋カープの英雄。かたや先ごろ、現役復帰発言で話題を呼んだ新庄氏は、日本ハムが北海道の地に根付くのに多大な貢献を果たし、パ・リーグの人気向上にも大きく寄与した功労者だ。
現役時代、日本ハムでその新庄氏と鉄壁の外野陣を形成した侍ジャパン(トップチーム)の稲葉篤紀監督は、阿部氏、イチロー氏に次ぐ3番目に多い票を集めた。来年に延期された東京五輪で金メダルをもたらせるか。ファンや野球関係者が大きな関心を寄せているが、五輪後の稲葉氏自身の去就も注目される。その稲葉ジャパンで内野守備・走塁コーチを務める井端弘和氏もランクイン(11位)。16~18年に高橋由伸前政権下の巨人で同職を務めた経験も持つ。
日本代表の一員として、選手時代に06年の第1回WBCで既述のイチロー氏、宮本氏、小笠原氏らとともに優勝を経験した里崎智也氏(4位)、新井貴浩氏(8位)も多くのファンから支持を得た。里崎氏は引退してからの6年間、一度もユニホームを着ていないが、スポナビが実施した「好きな野球解説者ランキング」(下記の関連リンク参照)の投票で1位に輝いたように、キャッチャー出身者ならではの鋭い視点はファンの間で評価が高い。さらに自身のチャンネルで斬新な企画を次々と打ち出すなど、YouTuberとしても人気を集める。
一方の新井氏は現役を退いてまだ2年だが、やはり多くのファンが早くユニホーム姿が見たいと願っている。ドラフト6位指名から名球会入りする地位にまで上り詰めたそのキャリアと経験は、指導者としてもきっと活かされるはずだ。
(企画構成:YOJI-GEN)