LIFE TIME BOXING FIGHTS.3
12/31 東京・大田区総合体育館
井岡が判定勝ち 初防衛に成功
ゲームスコア
[王者]井岡一翔 |
○ |
3判定0 |
● |
[同級1位]ジェイビエール・シントロン |
判定詳細:116-112、116-112、115-113
※井岡が初防衛に成功
総括
井岡一翔が判定の末、初防衛に成功【写真:田村翔/アフロスポーツ】
ボクシングWBO世界スーパーフライ級タイトルマッチが31日、東京・大田区総合体育館で開催された。
今年6月、日本人初の4階級制覇を成し遂げた井岡は今回が初防衛戦。同級1位のジェイビエール・シントロン(プエルトリコ)と対戦した。
オリンピックに2大会連続で出場し、プロ12戦無敗のシントロンは井岡を上回る身長(井岡:164.2センチ、シントロン:169.7センチ)とリーチ(井岡167センチ、シントロン179センチ)を持つサウスポー。
しかし井岡はこの難敵に対し、初回からリーチと強打を恐れず前に出て展開。接近戦に持ち込んで左右のボディブローを放っていく。
ボディブローは必然的に距離が近くなるため、打ち終わりや入り際にシントロンの左ストレートを浴びる場面もあった井岡だが、口から血を流しながらも作戦を変えない。
ボディの効いたシントロンはやがてパンチの威力が落ちてクリンチも見せ始め、ロープを背負っての攻防となる。シントロンが左フック、左ストレート、井岡がジャブ、右ストレート、ボディブローと互いに最後まで打ち合う展開となり、試合は判定へ。
ジャッジ3者は116-112、116-112、115-113といずれも井岡を支持し、井岡が初防衛に成功。
試合後、「チャンピオンとして息子が生まれて初めての試合だったので、気持ちとしても今まで以上にプレッシャーはありました」と井岡は胸中を語り、喜びと安堵(あんど)に涙を光らせた。(協力・長谷川亮)
ラウンド詳細
-
試合前
これが世界初挑戦となるシントロンだが、落ち着いた表情でリングに向かう。対する井岡は視線を下にし、集中した様子でリングに入る。
-
1R
上背で井岡を上回るシントロンはサウスポーから右ジャブを飛ばして井岡をうかがう。井岡は頭を振ってかわしながら前進して右ボディストレート。
シントロンの右ジャブ・左ストレートは目先でかわし当てさせない。シントロンのパンチはよく見えている印象の井岡。しかしシントロンは残り約30秒で左ストレートをヒット。
井岡も接近して右ボディストレートを打ち込む。
-
2R
シントロンは右ジャブで探り、1Rより力を込めた左ストレート。井岡は被弾しても下がらない。リーチのあるシントロンに対しプレッシャーをかけていく作戦か。
接近戦ではボディを打つ井岡だが、シントロンは左右に足を使い、跳び込みざまの左ストレートを当てる。しかし井岡は臆さず、接近して左右ボディフックを放つ。 -
3R
右ジャブを伸ばすシントロンだが、井岡はガードを高くして距離を詰め、左右ボディフックから右ストレートをヒット。
シントロンは足を使って距離を取り、井岡から離れようとする。だが、井岡はガードを上げ体を振ってシントロンに迫る。ガードからの右ストレートを伸ばすが、シントロンはそこへアッパーを突き上げ、フック、ストレートとフォロー。 -
4R
口から出血が見られる井岡。シントロンの左ストレートがとらえ、やや動きが止まるが、井岡も中間距離からの右ストレートを当てる。
しかしシントロンもスピードある左ストレート。井岡は間合いを詰めてフックでのボディ打ち。再び距離を詰める井岡はワンツーを当てると、シントロンは嫌がってクリンチしようとしてくる。
だがシントロンはアッパーの連打で井岡を遠ざけんとする。井岡はこれを冷静にさばき、再び左ボディ。シントロンはややガードが下がってくる。
-
5R
シントロンに対しプレッシャーをかけて前に出る井岡だが、シントロンの左ストレートがタイミングよくとらえ一瞬足が止まる。
しかし井岡は前に出て右ストレートを打ち込み、手応えのあったボディを左右フックで追撃する。恐れず向かう井岡がシントロンを下がらせる展開に。
井岡がさらにボディフックを左右で見舞うと、シントロンはダメージがあるのか、嫌がってクリンチしてくる。しかし井岡は組ませず、ボディストレートを打ちラウンドを終える。 -
6R
シントロンはアッパー気味のストレートで井岡を下がらせようとするが、井岡は逆に距離を詰めて左右のボディフックを打ち込む。
シントロンがジャンプするような不規則なパンチを放ってきても井岡は当てさせず、顔にもストレートを放ち意識を散らし、左ボディフックを放つ。
距離を容易に詰めるようになってきた井岡。ジャブからの右ボディアッパーでシントロンをとらえる。 -
7R
井岡はガードの意識を落とすことなくシントロンに向かう。シントロンは右アッパー、左ストレートと放つが井岡はそれをしっかりとかわす。
フットワークを使いシントロンを追いかける井岡だが、このラウンドはジャブとステップ、クリンチに阻まれヒットの数が減る。
それでも井岡はボディを中心とした攻めでシントロンを削っていく。
-
8R
井岡は右ボディストレートを入れ、やはり前に行く。ワンツーからの左フックを当て、その後でシントロンが足を滑らせスリップ。
ボディを打ちに間合いを詰めると、シントロンはクリンチしてくる。その合間にシントロンは左ストレートを当てるが、井岡はパンチが見えているからなのか、ダメージを見せない。 -
9R
ジャブを伸ばしてくるシントロンだが、井岡は臆さず左右のボディフック。だが、レフェリーからパンチが低いと注意を受ける。
シントロンの左ストレートは頭をかわし当てさせない。井岡はボディフックの連打を続け、シントロンの左フックを被弾するが、右ストレート、ジャブ、ボディフックとヒットの数を増やしていく。 -
10R
シントロンは左ストレートを放つが、井岡も左ジャブ、右ストレートを当て返す。距離を詰め、左右ボディフックを放つ井岡に対し、シントロンは左ストレートを打ち、再び距離を作ろうとする。
しかしここで井岡が右ショートストレートを決め、シントロンはよりリングを回るようになる。井岡はシントロンをロープに詰めて左ボディフック。このパンチが効きクリンチするシントロン。
井岡はワンツーから左ボディフック。右ボディアッパーでもシントロンの腹を打つ。 -
11R
井岡はジャブ、ストレートで追っていくが、シントロンは頭を下げ、クリンチを駆使して逃れようとする。シントロンは井岡のボディストレート、左ボディフックに嫌がる様子を隠せない。
井岡の打ち終わりに頭を脇の下へ入れるようにしてクリンチする場面が目立つ。井岡は左フックを連続で当て、右ボディストレート。シントロンは逃げるようになりながらの応戦となる。 -
12R
シントロンは11R開始直後と同様に手首のテーピングがほどけ、レフェリーの指示を受けセコンドに巻かせる。試合が再開し両者ジャブを打ち合うが、井岡は被弾があっても頭を振って受け流し、右ストレート、左フックを当てる。
シントロンも左ストレート、右フックを放つ。井岡が右ボディストレートを当てればシントロンは右フック。パンチの威力が落ちているシントロンだがフットワークは健在。
井岡に右フックを当て、試合を終える。終了のゴングが鳴ると両者とも手を上げ勝利をアピールする。 -
判定
判定詳細:116-112、116-112、115-113
井岡が初防衛に成功。 -
井岡一翔の試合後コメント
「ありがとうございました。この瞬間をみなさんにお見せしたかったので最高の気持ちです。
(前に出るのは)基本的な作戦だったんですけど、チャンピオンの強さと世界戦の厳しさを教えようと思って、絶対に負けたくない気持ちで戦いましたし、応援してくれるみなさんの声援が力になりました。
チャンピオンとして息子が生まれて初めての試合だったので、気持ちとしても今まで以上にプレッシャーはありました。また応援よろしくお願いします」
見どころ
実に8回目となる井岡一翔(Reason大貴)の大みそか決戦。今回は日本初の4階級制覇で獲得した、WBO世界スーパーフライ級王座の初防衛戦となる。
迎えるジェイビエール・シントロン(プエルトリコ)は同級1位でオリンピック2大会連続出場。ここまでプロ12戦無敗で、ランキングも1位につける技巧派選手だ。8月に江藤光喜(白井・具志堅)と争った挑戦者決定戦で、2Rにダウンを奪って判定勝ちし、今回の試合に駒を進めた。だが、これが初挑戦で、井岡は世界戦だけでも17戦15勝2敗とシントロンの戦績を上回る。
経験に劣る相手を一蹴し、さまざまな対戦が持ち上がるであろう、来年につなげられるか。(協力・長谷川亮)
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