「この試合だけは別物」。気持ちをこめたプレーで釜石に、東北に勇気を届ける
昨季の復興祈念試合には4000人に迫る観客が来場し、レギュラーシーズン唯一の勝利を呼び込んだ。今季、キャプテンを務める村上陽平は「個人的にもけがからの復帰戦でしたし、本当に多くの人の応援が力になったのを覚えています」と1年前を振り返る。
26歳のスクラムハーフは宮城県気仙沼市の出身。震災当時は小学6年生だった。「震災の数日前にも大きな地震があったので、校庭に避難した直後は『またか』というような楽観的な雰囲気もあったんですけど、迎えに来た保護者の顔がもう青白くて。そこでことの重大さに気付かされました」村上は「友だちは『家が流された』と言っていたし、自宅も目の前まで津波が押し寄せた」と当時のことを克明に語ってくれた。
あれから14年。震災後、さまざまなことに勇気付けられてきた村上は、被災地のクラブで、キャプテンとして、人々を勇気付ける立場となった。
「(3月11日は)釜石、東北にとって特別な日です。個人的にはすべての試合が重要なのでそこに優先順位を付けないのですが、このタイミングで行うこの試合だけは別物だと思っています」一番大事なのは「いかに気持ちのこもったプレーを見せられるか」。
個人としてはもちろん、キャプテンとしての声掛け、選手へのアプローチなども含めてその姿勢を促進していく。ここでの白星はただの1勝ではない。暫定2位のRH大阪に、前半戦最後の試合、そして復興祈念試合で勝利することは、後半戦に向けてこの上ない勢いをもたらすはずだ。
特別な思いで臨む選手たちと、惜しみなくチームを後押しするファンの声援。困難を打ち破るべく、釜石は何度でも立ち上がる。
(髙橋拓磨)
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