スライス前提でティーイングエリアの右端にティアップして左に打つ。これってホントにいいの?

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石井良介のゴルフ・すべらない話:第66回

練習場打席では、打席に対してスクエアに構えて打つのが普通。だけど、スライスで悩む人は、コースに来ると「スライスが出るから右端にティアップして、フェアウェイ左を狙う」人が多い。本当にそれは正しいのか? 試打だけでなくレッスンも人気の石井良介に聞いてみよう。

スライスに悩んでいる人は左端にティアップしてスクエアに構えるべき

前回はアイアンのティアップの高さについて話しましたが、ティアップ界隈の話はまだまだあるので、今週も続けたいと思います。

いきなりですが質問です。ティアップした直後に「なぜそこにティアップしたんですか」と聞かれたら、あなたは即答できますか? 僕が思うに、答えられない方が圧倒的に多い。それと同時に必ず出てくるのが「スライスしても打球が真ん中近くに行くよう、ティイングエリアの右端にティアップしてホールの左サイドを向いて打ちます」という答えなのですが、僕はこれが嫌いです。

なぜかというと、練習場ではみなさん真っすぐに打つ練習をしているにもかかわらず、いざコースに出るとスライスが出る前提で打っているから。これって全然建設的じゃないと思いませんか。

練習場で苦手なホールを想定し、スライスをかけて左を消す練習をしている人は、すごくゴルフのことを考えていますが、ミスを防ぐ練習をしているのに、ミスが前提のプレーをしたのでは成長は望めません。

おまけに左を向いて打った球が真っすぐ飛んでOBになると「いいショットだったのに残念だったね」なんてことになる。真っすぐ打つ練習をして、その通り打てたのにOBなんて、こんな残酷な話はありません。
ですからスライスに悩んでいる人には、ティーイングエリアの左端、何ならティマークとかぶるくらいギリギリのところにティアップし、体はエリアの外に置いて構えてもらいます。そうしてティマーカーに当たらないように振るとスイング軌道がインサイド・アウトになります。

これでフェアウェイの左端、つまり真っすぐな方向を狙って打つと、真っすぐ飛べばフェアウェイの左端、インサイド・アウトが発動すれば左ラフ、スライスしてもフェアウェイ左端に飛び出してから右に曲がって右ラフに止まります。ナイスショットはもちろん、スライスしても助かる確率が上がるのです。

基本的にティアップする場所は、フェアウェイとティーイングエリア、双方のセンターを結んだラインに対してスクエアに近い形で構えられるところがいい。そのラインに対してクロスする方向を向くと真っすぐ向きづらいからです。

例えるなら片側3車線の高速道路に流入する時に、いきなり追越車線まで突き抜けるような感じになります。スライスするかもしれないからとホールに対してクロスするように構えるのではなく、なるべく滑らかな角度で立てるようティアップする位置を考えた方がいいと思います。

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プロのトーナメントを見るとよくわかりますが、上位で争っているプレーヤーはティアップする位置がほぼ同じで、下位の選手ほど違ったところにティアップします。飛距離に差があり、攻め方も違いますが、ティーイングエリアからホールを見た場合にハザードやOBや林は同じところにあるわけで、それらに対して「ここから打てばセーフティ」という場所があるということです。

パー3ならもっとわかりやすく「このホールでこのピンを攻めるにはここがやりやすい」という場所なり向きがあります。

もしトーナメント会場に行て試合を観る機会があったら、プレーヤーが構えたところを後方から見て景色を共有してみるといい。どう攻めようとしているかがわかって面白いし、後々自分の役にも立つと思います。ホールのセンターラインを交差するような球で攻めるプロはほぼいません。そこはアマチュアの方も見習った方がいい点だと思います。

2023年のZOZOチャンピオンシップでのザンダー・シャウフェレ(左)とミンウー・リー(右)のティショットの位置。ほぼ同じ位置で構えている。 【ゴルフサプリ】

石井良介
いしい・りょうすけ。1981年生まれ。『令和の試打職人』として各種メディアに引っ張りだこの人気解説者。PGAティーチングプロA級。You tube「試打ラボしだるTV」が人気。早くからトラックマンを活用したレッスンを開始。高い経験値と分析力で正しいスイング、正しいギアへと導く指導と的確な試打インプレッションに定評がある。

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著者プロフィール

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