オーストラリア代表110キャップの“賢人” 37歳を迎えなお見せるラグビー小僧の素顔
今季手にした3勝は、いずれもビジターゲームでのもの。2月27日の練習後のハドルで、前節今季初出場を果たしたキャプテンのパトリック・タファは「今季まだ、ホストゲームで勝てていない」と仲間に声を掛けた。
3連勝を飾り、3位に浮上した花園Lだが、入替戦出場に向けて、取りこぼしが許されない状況が続くのも事実。内弁慶ならぬ“外弁慶”から抜け出すためにも勝利が必要となる江東BS戦だが、チームに緩む気配はまったくない。
活気ある練習の中心にいる一人が、1月17日に37歳の誕生日を迎えたウィル・ゲニアである。「一番大きいのは練習のクオリティーが上がったことですね」。ディビジョン1昇格を最優先目標に掲げながらも、世代交代も図りつつチーム作りを進めるのが今季の花園L。僚友、クウェイド・クーパーがリザーブとなる試合も増える一方で、ゲニアはいまだに不動のスクラムハーフとしてチームの心臓部を司る。「本当は、河村(謙尚)や人羅(奎太郎)もほかのチームなら(試合に)出られると思うのですが、ゲニアは一段上なのでね」と過去の実績や年齢に捉われない起用を意識する向井昭吾ヘッドコーチも、絶大な信頼を寄せている。
あたかも若手のように目を輝かせながら、グラウンド上を駆け、ボールをさばく。「僕のモチベーションは、チームが大好き、ここにいる人たちが大好きなこと。それにこの年齢になってもラグビーが大好きだし、まだまだやれると思っています」とその意欲に陰りはない。
D1に昇格させる喜びも、D1から降格する悔しさもかみ締めてきた花園Lの賢人は「D1に昇格することばかりを考えるのではなく、いまやれることを徹底的にやること。そうすれば(昇格の)チャンスは現れてくる」と言い切った。
前節は2トライの活躍を見せたゲニア。37歳のラグビー小僧は、そのプレーと背中でチームをけん引する。
(下薗昌記)
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