大MOI時代のやさしいドライバー探しは「フェースをスクエアに戻しやすい」かがキーワード

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鹿又芳典の“推しクラブ” こぼれ話 第55回

10Kを超えるような大慣性モーメントが”普通”になった昨今、ドライバー選びに四苦八苦しているゴルファーが少なからずいる。それは大慣性モーメントのドライバーに違和感を覚えるからだ。飛んで曲がらないという効果を生む大慣性モーメントなのに、なぜそのようなことが起こるのか? 自分にとってやさしいドライバーとは? カリスマクラブフィッター・鹿又芳典氏と一緒に考えてみよう。

フェースをスクエアに戻せなければ10Kは邪魔でしかない?

2024〜25年に発売されたほぼすべてのメーカーのドライバーは、慣性モーメントが10K(1万)を超える、もしくは10Kに近いモデルをラインアップさせています。そして、この10KやMAXという表記される大慣性モーメントは、飛んで曲がらないという性能に着地させるためのテクノロジーのひとつです。さらに言えば、そのテクノロジーの恩恵とは『フェースがスクエアな状態でオフセンターヒットした時に曲がりにくくなる』というものです。

このことを踏まえた上で、話をしていきましょう。僕が、自分にとって飛ぶドライバーを作る条件として、まず最初に挙げるのは「インパクトでフェースをスクエアに戻せるヘッド」であることです。それが、ゴルファーによって、ドローバイアスが強いモデルだったり、逆に左に行かないように作られているLSといったモデルだったり、また大慣性モーメントを備えた10KやMAXだったりするわけですね。

なぞなぞみたいになってしまいますが、フェースがスクエアになった時に効果を発揮する性能というのは、フェースがスクエアに戻せなければ邪魔でしかないわけです。ですから、大慣性モーメントであることが、違和感にしかなっていないというゴルファーも少なからずいます。
ただ、ドライバーだけ慣性モーメントが極端に大きくて、他の番手は慣性モーメントがそこまで大きくなっていないという中でも、10KやMAXといったヘッドを違和感なく使えるというゴルファーも大多数います。

こうしたことから考えたいのは、慣性モーメントが自分にとって薬になるのか? 扱いにくい毒になるのか? 薬になるのはどのくらいの大きさの慣性モーメントまでなのか? を理解しなければいけない時代が来ているということです。そのことがわかりやすいのが、ミニドライバー人気の再燃です。ミニドライバーは、決して慣性モーメントが大きくはないですし、ロフトも寝ているし、長さも短い、でもドライバーと飛距離があまり変わらない。そうして、使い始めてるゴルファーが多く現れました。

ですが、だからと言って、慣性モーメントが大きいドライバーがダメだ、ということにはなりません。慣性モーメントによる恩恵は、たしかに大きいのですから、その恩恵には与るべきです。ですから、ゴルファーがするべきなのは、安易にミニドライバーに飛びつくのではなく、フルサイズ(460ccヘッド)の中から、自分が振りやすい慣性モーメントのドライバーを探すことなのです。
ミニドライバーが振りやすいと言って使っている人の多くは、ロフト13度や15度のミニドライバーを喜んで使っています。ですが、ロフト12度のドライバーは嫌がりますし、スプーンくらいヘッドが動かしやすいドローバイアスのヘッドも嫌がります。

しかし、扱いやすいドライバーを求めるのなら、ドローバイアスが強いモデルの大きめロフトがあるじゃないか、という見方もあるんですね。なぜなら、大きいヘッドでスクエアに戻せるのなら、小さいヘッドよりもテクノロジーの恩恵をより強く受けることができるからです。

今回の話から『自分が振りやすいドライバー = 自分が振りやすい慣性モーメント(フェースをスクエアに戻しやすい)』というふうに受け取っていただきたいと思います。クラブの進化に対してそれをどう利用してあげようかを考えて、ドライバー選びをしてみてください。
鹿又芳典
かのまた・よしのり 1968年生まれ。年間試打数2000本超え。全てのクラブに精通するクラフトマン。豊かな知識と評価の的確さで引っ張りだこ。ゴルフショップマジック代表。

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